唯物史観と国家論 (講談社学術文庫 882)

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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061588820

作品紹介・あらすじ

「国家=統体」説と「国家=機関」選の二大系譜を止揚しつつ、マルクス・エンゲルスが拓いた国家論の新地平-。その「幻想的共同体」論の視座と構制を、唯物史観の形成過程に即し鮮やかに検証する。本書は、著者の公刊した唯一の「国家論」輯であると同時に、壮大な広松社会哲学の方向性を示唆する"里程標"として久しく覆刊が待ち望まれていた、物象化論の立場より成る国家理論の嚆矢である。

感想・レビュー・書評

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  • 内容が濃く、唯物史観が何たるかを徹底的に解説している本である。
    唯物史観とは、単なる「下部構造が上部構造を決定する」という経済決定論ではなく、エンゲルス自体も「ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日」においても、上部構造の反作用を論考している。実際にフランス国家発展において、経済構造が上部構造を決定した事例は少ないように思える。
    また原因と結果は相互に連関しあい、相互作用となるとも、エンゲルスは述べている。カントは原因と結果を別と捉えており、それを批判したとも述べる。

    その後は長々と、ホッブスやルソーの国家論の歴史を紐解いている。著者は衒学趣味があるのかと思えるくらい、周りくどく、難解であった。
    ただひとつだけ言えるのは、マルクス・エンゲルスは国家そのものに関する著作を残しいない。私有財産及び国家の起源くらいのものであるが、あくまでも歴史である。

    後半の第二部では、マルクスがブルジョワ代議制と呼ぶ国家についての批判である。最終的にマルクスの理論に国家の理論をつけたのは、レーニンである。結局著者は最終的に何が言いたかったのか分からなかったが、題名どおりマルクス、エンゲルス、レーニンの国家に対する考え方の解説の本として読むにしても、少々難解である。ただ今一度、ドイツイデオロギーを読んでみようとは思えた。

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