密教の哲学 (講談社学術文庫 884)

著者 :
  • 講談社
3.57
  • (1)
  • (2)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 37
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061588844

作品紹介・あらすじ

人の心の深淵に眼をひらき、そこで成就される個と全との神秘的な合一に、初めて確かな洞察を向け、それを全身的に把握する実践と儀礼の体系をつくり、上げた密教-。本書は、空海が体系化した教学を中心に、密教のもつ世界観・認識論・実践哲学・仏陀論などの基本的な構造を明らかにした。2千年に及ぶインド仏教の歴史全体の結実であり、また、仏教伝播の総決算ともいわれるその神秘思想に迫る。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 密教の本を数冊読んだ後に本書を手に取りました。その意味ではその順序で良かった。もしいきなり本書を手に取っていたら全然意味がわからなかったと思います。その意味では密教初心者がいきなり読む本としてはオススメできません。

    本書は題名通り密教を哲学的に分析している本になります。哲学の名の通り、一つ一つの思想を多面的・論理的に見て、「この思想はこういう見方もある、ああいう見方もある」という解説や、過去論争があった点などについて丁寧に説明されています(なかには、この論争は些細すぎて意味がない、という著者の感想も書かれていて、それはそれで面白かったです)。入門書と比べてすぐれているのは、難しい概念をかなり丁寧に説明してくれているので(入門書ではかなりさっと簡単に説明するだけなのでイマイチ理解できない)、そこは理解が深まります。その意味では、本書は入門書と辞典の間くらいの位置づけという感じでした。繰り返しになりますが密教の分野の知識をある程度身につけてきた(すでに本数冊は読んだという)読者であれば本書もオススメいたします。

  • 空海の真言密教の立場を中心に、密教の思想の体系的な意義について論じている本です。

    「「学術文庫」版まえがき」で著者は、密教研究の歴史を振り返りつつ、本書の意義について語っています。近代以降の仏教学は初期仏教の研究を中心としていましたが、やがて大乗仏教の研究が進展しました。そうした研究動向に対して、本書では「密教の哲学」というタイトルが示すように、「密教の基本的な哲学体系を明らかにすることを目的とした」と著者は述べています。実証的な議論を重視する仏教学の研究にそったものであるというよりも、空海によって大成された真言密教の哲学的な体系性に目を向け、その内在的な理解をめざしたものであるということができるように思います。

    とはいえ、著者自身の自由な解釈にもとづいた議論が展開されているのではなく、密教の教学上の概念に密着しつつ、その相互連関を内側から解き明かすというアプローチがとられており、比較的手堅い議論がなされているという印象もあります。個人的には、もうすこし大胆に密教思想の意義を著者自身のことばで語ってほしかったという思いもあります。

  • とにかくフラットに密教のことを書き連ねている。一気に読むには体力いるけど手元に置いてたまに引っ張り出すと使えそう。

    中盤のマンダラの構造の詳細説明が興味深い。

  • リアル教科書。
    でも、曼荼羅の解釈は教授と違うので比較図書状態。

  • なんか難しすぎると言えば難しいんだけども知りたいことを調べる裏づけの資料とかにはなるかと。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1927年-2009年。埼玉県に生まれる。東京外事専門学校(現東京外国語大学)蒙古科および東京大学文学部印度哲学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専攻博士課程単位取得満期退学。文学博士(東洋大学)。専門はインド哲学、仏教学、密教学。大倉山文化学院研究員、東洋大学文学部教授などを経て東洋大学名誉教授。妙楽寺(東京都八王子市)住職などを歴任したほか、1967年に日本印度学仏教学会賞を受賞する。著書や論文が多数ある。

「2017年 『古代インド哲学史概説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

金岡秀友の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×