櫻史 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061589162

作品紹介・あらすじ

ただ「花」といえば「桜花」を指すといわれるほどに、春爛漫の桜は日本人に格別の意味を持つ。ようやく長い冬が去り、光あふれる春の訪れ。その証しとして美しい薄桃色の花が万朶と咲き匂うとき、私たちの春の歓びは極まる。桜と日本人のかかわりの歴史を、上古より現代まで七期に分け、桜花にまつわる逸話・詩歌・人物のあらゆる事柄についてまとめた。国文学研究の第一人者による比類なき"桜"讃歌。

感想・レビュー・書評

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  • 昔、大学の基礎ゼミで「梅と桜」という主題で論文を書く時に参考文献として使用した。
    これ単体で読むというよりは収集された文献を更に辿っていくべきものであり、他の方のつまらない等の評価も分からなくもない。
    ただ、まだインターネットのない時代にこれまでの事例を集めたことは本当にすごく、そして論文でも助かりました。

  • 上古から現代(初版S16年)まで、櫻に関する事柄をひたすら挙げたもので少々退屈。著者は国文学者の山田孝雄。
    ちなみに、現代(昭和16年)の櫻の新名所として、江戸川(神田川)、靖国神社(明治12年から植え付)、千鳥が淵公園(英国大使アーネスト・サトウが櫻を植えたの東京府に寄付)があげられている。

  • 実は数年前に半分足らずの地点で挫折、今年の花の季節までには読んでしまおうと登録。

    まず日本で花といえば桜のことだという言揚げに始まり、
    神代から現代(大正)までの桜にまつわる幅広い逸話・詩歌・人物が取り上げられる。
    万葉集・古今集・新古今集と梅と桜の詠歌数を比べ、万葉では劣勢だった桜が、
    新古今では逆転したことを心底嬉しく誇らしげにしるし、
    また南殿の桜の変遷を詳述したあと『櫻花党の記憶すべきところなり』などと書くところに、
    稚気満々の愛嬌があり微笑ましい。

    『七年見(まみえ)ず普賢堂/蝶また東西の墻(かき)を過ぎがたし
    乱後花に逢ふは春の夢に似たり/一枝の晴雪衣に満ちて香(かんば)し』
    これは応仁の乱により二分された京都で、ほんの近くの桜さえ敵の占領地にあったため、
    数年ぶりにやっと花見をすることが出来た感動を綴った文章に付された詩。
    こういったものがおびただしく紹介されている。桜色のシャワー。

    和歌や古文には、著者の子息の山田忠雄(新解さんでおなじみ)によるかなり字余りだけど
    ユニークな現代語訳が付されている。
    「櫻史」自体は漢文脈で二重否定が頻出するところがやや難といえば難か。

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著者プロフィール

1875-1958。国語学者、国文学者。独学の人として知られ、契沖、真淵、宣長以来の伝統に連なる最後の国学者と評される。東北帝国大学教授、神宮皇學館大学学長を歴任し、貴族院議員を務める。主な著書に『国語学史要』(1935年)、『日本文法学概論』(1936年)、『櫻史』(1941年)、『国語学史』(1943年)など。

「2019年 『君が代の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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