砂時計の書 (講談社学術文庫 917)

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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061589179

作品紹介・あらすじ

暖かな書斎の一隅で、白い砂粒が音もなく滑り落ちていく。この静謐を、知的観想の時を、わたくしたちはいつくしむ。砂時計は地球的時間の象徴である。夜明けとともに起き、一頭の獲物を得るまで狩りをした"アド・ホックな"行動様式の忘れ形見である。自ら作り出した歯車時計に支配される近代文明の逆説を、ドイツの文豪ユンガーは勁く静かに批判する。古今の文献を駆使して語る、ユニークな宇宙論。

感想・レビュー・書評

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  • ある映画においてその存在を初めて知ったエルンスト・ユンガー。
    劇中においての透徹とした眼差しに興味を持ち、著作を手にとってみた。

    歯車という具体的で抽象的な軛に支配され、それに気づかない現代人への警鐘とアドホックな行動様式への憧憬。

    他の著作も読んでみたくなる内容だった。

  • 砂時計マニアが時計、時間、歯車等々について朗々と語る教養溢るるエッセイ。自分の中でエッセイ=軽い読物であったのですが、期待を裏切る格調の高さに萌えました。例えるならばエルガーの行進曲。訳者の日本語力に脱帽。

    一文一文がカッコ良くてウットリ。ユンガーの別の本が読みたかったのですが、図書館になかったのでこちらを借りました。大当たりでした。大変好みです。手元に置いて少しづつ読むべき書ですね。返却期限が迫り駆け足で読みで後悔、又借ります。

    ※人文書院版を読みました。訳者も同じ今村さんなので、ほぼ同じ内容かと思われます。人文書院版には『時計と時間をめぐる文明論』という副題が付いていることを申し添えます。

  • 人にとって「時」というものについて。

  • 『読書の軌跡』阿部謹也より

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著者プロフィール

ドイツの思想家、小説家、ナチュラリスト、軍人。1895年、ハイデルベルクのプロテスタント家庭に長男として生まれる。1914年、第一次世界大戦に志願兵として出征。西部戦線で戦い、1918年プロイセンの最高勲章プール・ル・メリットを最年少で受賞した。1920年、戦記の傑作『鋼鉄の嵐』を出版。その後、賠償に喘ぐ敗戦国ドイツの復興をめざす〈保守革命派〉に身を投じ、マルティン・ハイデガーやカール・シュミットらの共感を得た。ナチス政権誕生を予見する『労働者』を書いたが、ヒトラーが独裁を確立するや距離を置き、森に隠棲して昆虫採集などに没頭する。1939年に書いた小説『大理石の断崖の上で』が後に〈抵抗文学〉として評価される。同年、国防軍に復帰してパリに進駐。戦後の欧州再生ビジョンを記した秘密文書「平和」は反ナチスの軍幹部に回覧され、1944年7月のヒトラー暗殺計画の支柱となった。戦後は「20世紀のゲーテ」と呼ばれ、日記、エッセイ、小説、往復書簡など旺盛な執筆活動で1982年にゲーテ賞を受賞した。1985年、ユンガーの名を冠した昆虫学賞が創設された。1998年、102歳で死去。

「2019年 『ガラスの蜂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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