- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061589179
作品紹介・あらすじ
暖かな書斎の一隅で、白い砂粒が音もなく滑り落ちていく。この静謐を、知的観想の時を、わたくしたちはいつくしむ。砂時計は地球的時間の象徴である。夜明けとともに起き、一頭の獲物を得るまで狩りをした"アド・ホックな"行動様式の忘れ形見である。自ら作り出した歯車時計に支配される近代文明の逆説を、ドイツの文豪ユンガーは勁く静かに批判する。古今の文献を駆使して語る、ユニークな宇宙論。
感想・レビュー・書評
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ある映画においてその存在を初めて知ったエルンスト・ユンガー。
劇中においての透徹とした眼差しに興味を持ち、著作を手にとってみた。
歯車という具体的で抽象的な軛に支配され、それに気づかない現代人への警鐘とアドホックな行動様式への憧憬。
他の著作も読んでみたくなる内容だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
砂時計マニアが時計、時間、歯車等々について朗々と語る教養溢るるエッセイ。自分の中でエッセイ=軽い読物であったのですが、期待を裏切る格調の高さに萌えました。例えるならばエルガーの行進曲。訳者の日本語力に脱帽。
一文一文がカッコ良くてウットリ。ユンガーの別の本が読みたかったのですが、図書館になかったのでこちらを借りました。大当たりでした。大変好みです。手元に置いて少しづつ読むべき書ですね。返却期限が迫り駆け足で読みで後悔、又借ります。
※人文書院版を読みました。訳者も同じ今村さんなので、ほぼ同じ内容かと思われます。人文書院版には『時計と時間をめぐる文明論』という副題が付いていることを申し添えます。 -
人にとって「時」というものについて。
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『読書の軌跡』阿部謹也より