モーツァルト (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061589490

作品紹介・あらすじ

モーツァルトは、父親にヨーロッパ中をひきまわされていた従順な神童時代ばかりでなく、一生を通じて漂泊する人であった。イタリア、フランス、南北ドイツのあらゆる音楽の流れに身をひたし、バッハやヘンデル等の影響下において彼等と対決し、18世紀音楽の完成者となった。わが国の音楽批評の先導者が、楽曲の細部に即して語りつつ稀有の天才の全体像を構築した、陰影に富むモーツァルト論集

感想・レビュー・書評

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  • 2022/2/11

  • 吉田秀和 「モーツァルト」論考集

    小林秀雄のモオツァルトの理解を深めたいと思い読んでみた。本書にある専門用語や楽譜がよくわからないが、著者は モーツァルトのアレグロに目付けしているよう

    取り上げられていた
    フルート四重奏曲ニ長調K285第一楽章(アレグロ)
    弦楽五重奏第四番ト短調K516 第一楽章(アレグロ)
    をYouTubeで聴いてみた

    聴いたことあると思う。疾走感ある一定のテンポ と 変化し続けるメロディ、ハーモニー(コード進行)が甘美で、時間を忘れ感傷的にさせる。小林秀雄の「かなしさは疾走する。涙は追いつけない」を少し追体験したように思う

    著者の「モーツァルトのアレグロは祈りもすれば、咬笑もする」という表現は、小林秀雄の「かなし」と同義なのだと思う












  • (2006.07.09読了)(1990.12.26購入)
    今年は、モーツァルト生誕250年ということですので、積読の中から「モーツァルト」を探し出して、読みました。
    吉田さんが、モーツァルトについて書いてきたものを一冊にしたものと言うことで、1947年から1969年までのものが収められています。
    著者が「あとがき」でも書いているように、一冊読み終わっても、モーツァルトの全体像にはなっていないということです。「モーツァルト」については、文庫や新書でたくさんの本がでていますので、本屋で目次などを見比べて自分の知りたいことが書いてありそうなものを選ぶのがいいでしょう。

    ●モーツァルトの近代性(2頁)
    モーツァルトの近代性というものを、日本で最初に指摘した人は、川上徹太郎氏である。氏は、モーツァルトの音楽は、次の瞬間、どう転じるかわからないと言う予感がして、恐怖を覚える―という風なことを、書いていた。
    ●モーツァルトの音楽(30頁)
    モーツァルトには、いつも流動してやまない癖に、緊張への方向付けに曖昧な点がある。モーツァルトにとっては、方向があるから道があるのではなくて、道があるから、そこを行くのである。その道が何処に行くか、どうしてそんなに案ずることがあるだろう。出発の時に既に道は決まっていたのだ。その道中で別の道に魅せられたら、どうして曲がっていけない理由があるだろう。
    ●耳(79頁)
    なぜ、古来高級な音楽と言われているものの出来具合が、他の曲とどう違うかを綿密に調べ、そこに作曲家の耳の微妙さの刻印を見出さないのか?そうしてその作曲家の思想を考えるならば、そうした微妙な耳を持ち、大雑把な簡単な音楽を書いて済ますことのできぬ人間の宿命を思わねばなるまい。モーツァルトも微妙な耳に恵まれたおかげで、随分苦しんだに相違ない。
    ●中原中也(116頁)
    中原は、当時の手回しの蓄音機のぜんまいを自分で巻くのが好きだった。人に巻いてもらって聞くと、なんだか身が入らないと言うのである。
    ●感激の記憶(135頁)
    わたし達の記憶と言うものは、頼りないもので、経験している最中は、こういう事は生涯忘れないだろうと言うほど感激するのだが、感激したと言う事実は後々まで強く生きていても、何で感激したか、その実体と言うか、詳しい中身を、もう一度しっかり思い出すのは、楽ではない。
    ●酒の値段(139頁)
    小林秀雄さんの説によると「酒の値段ほど正直なものはないのであって、酒は、洋の東西を問わず、値段の高いものほど、必ずうまいのであって、間違いはないのだ」そうである。
    ●唯一の音楽家(195頁)
    ある人が「セビーリャの理髪師」の作曲家ロッシーニに、ベートーヴェンをどう思うかと聞いたとき「彼は偉大な音楽家だ」と答えたので、それではモーツァルトは?と重ねて聞くと、ロッシーニは「彼こそ唯一の音楽家だ」と返事したと言う話があります。
    ●音楽の美(200頁)
    「モーツァルトを通じて、音楽は美となった」
    ☆モーツァルトに関する本(既読)
    「レコードのモーツァルト」吉田秀和著、中公文庫、1980.06.10
    「モーツァルトを求めて」吉田秀和著、白水社、1982.10.30
    「モーツァルトを聴く」海老沢敏著、岩波新書、1983.10.20
    「新モーツァルト考」海老沢敏著、日本放送出版協会、1984.10.01
    「モーツァルト」高橋英郎著、講談社現代新書、1983.11.20
    「モーツァルト」柴田治三郎著、岩波ジュニア新書、1983.12.12
    「モーツァルト」田辺秀樹著、新潮文庫、1984.10.25
    「わが友モーツァルト」井上太郎著、講談社現代新書、1986.10.20

    著者 吉田 秀和
    1913年 東京生まれ
    東京大学仏文科卒業
    音楽評論家

    (「BOOK」データベースより)amazon
    モーツァルトは、父親にヨーロッパ中をひきまわされていた従順な神童時代ばかりでなく、一生を通じて漂泊する人であった。イタリア、フランス、南北ドイツのあらゆる音楽の流れに身をひたし、バッハやヘンデル等の影響下において彼等と対決し、18世紀音楽の完成者となった。わが国の音楽批評の先導者が、楽曲の細部に即して語りつつ稀有の天才の全体像を構築した、陰影に富むモーツァルト論集

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著者プロフィール

1913年生まれ。音楽評論家。文化勲章、大佛次郎賞、讀賣文学賞。『吉田秀和全集』他著書多数。

「2023年 『音楽家の世界 クラシックへの招待』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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