現代の哲学 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061589681

作品紹介・あらすじ

ニイチェが「神が死んだ」と予言した現代は、従来の価値体系が崩壊し、思想史の上でもルネサンスの時代に比すべき大きな転換期をむかえている。そのなかでフッサール、メルロ・ポンティ、レヴィ・ストロースら現代の哲学者たちが、心理学や言語学、人類学などの人間諸科学と交流しながら追求する哲学の新しい方向とは何か。そして彼らが負った共通の課題とは…。人間の存在を問う現代哲学の書。

感想・レビュー・書評

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  • 反哲学入門の続きのような感覚で読み始めたけど、ちょっと趣が違う。哲学に限らず20世紀の学問・思想の限界(理性の崩壊)から話が始まり、そこを突破するための存在論・認識論の新しい地平、生理学などの力を統合し進む現象学中心の展開を見る。後半マルクス主義の潮流あたりは特に難しくてあんまり読めていないなと思う。
    自分にとっての「体」の持つ意味、心と体の分かちがたく結びつく様、世界内存在としての企投の場であるということを検討してからの言葉の検討、言葉とは思考のからだであるという流れがとても美しく、頭の中で強く広く響く。今まで持っていた言葉への違和感がするする解き明かされていくようで気持ち良かった。

    鶏のエサ実験や失語症や色名健忘の話が面白かった。私は相貌失認とそれに関連してひどい方向音痴なのだが、これを読んで相貌失認はおそらく記憶の問題ではなくて鶏のエサ認識のように対象の差異を相対的に細かく認識する機能の欠陥なのではないかと感じる。
    方向音痴も色名健忘の「障害によって侵されているのは、判断力であるよりは、むしろ判断力の生まれてくる地盤であり、……つまりそこに何らかの意図を造形するわれわれの能力なのである」という部分は非常に大きな気付きになった。
    地図上で目の前の建物がどこにあるか分かり、地図上でどう進めば目的地へ着けるか分かるのに、目の前のどの道路をどちらへ進めばいいかは何分考えても分からないという自分の感覚は「頭がおかしい」という言葉でしか認識できていなかったが、そういうことなのかと腑に落ちてすっきりした。
    欠けているのは理解ではなく要素をシンボル化し利用する「ベクトル」であるということがチンパンジーのところでも書いてあったが、左右盲だとかこうした細々した困りごとはたぶん頭の根っこでつながっているのだろう。
    哲学の本でこの辺りのことに大きな収穫があるのは思いがけない嬉しいプレゼントだったけれど、たぶんもっと読めばさらに得られるものがあるだろうと思うので、また読みたい。

  • 2021.09.27 難しくて理解できなかった。あと数度は読まないとわからないと思う。とりあえず一回読み終わったので登録するが、数を重ねたい。

  • 『現代の哲学』というタイトルについては、説明が必要だろう。フッサールの現象学が心理学の方法論上の基礎づけという動機から成立したように、19世紀以降の哲学は、自然科学・心理学・言語学・人類学・精神分析学などの諸学問との交流の中で形成されてきた。本書は、そうした現代の哲学的動向を踏まえつつ、現象学から構造主義までの思想を紹介したものである。

    とくに、メルロ=ポンティの思想と、その哲学的思索を紡いでゆく方法とに、著者の関心は注がれている。メルロ=ポンティは、心理学・言語学などの諸分野の成果を踏まえつつ、人間の心理や言語などが、意識と物質のどちらか一方に還元することができないという主張を展開した。彼は、物質的世界のような低次のレヴェルから、反省的意識のような高次のレヴェルまでを、「基づけ」という発想によって統一的に把握する。高次のレヴェルの秩序は、低次のレヴェルの秩序を足場としつつ、そこにより普遍的な秩序を実現している。これが「基づけ」の関係である。意識現象のような高次の秩序は、物質のような低次の秩序に還元されてしまうことはないが、病的な状態に陥ると、高次の秩序が崩壊し、低次の秩序が行動を支配するようになる。

    メルロ=ポンティは、レヴィ=ストロースらの「構造」の概念も、こうした秩序として理解できると考えていた。こうした観点から「構造」の概念を捉え返すことによって、構造は低次の足場の上に実現されている動的秩序とみなされることになる。著者は本書の最後に、構造主義対人間主義の対立をこうした観点から調停する可能性に触れているが、こうした問題意識が本書全体を貫く基調になっているといってよいと思う。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/739990

  • 理性の崩壊
    20世紀初頭の知的状況
    人間存在の基礎構造
    身体の問題
    言語と社会
    今日の知的状況

    著者:木田元(1928-2014、新潟市、哲学)

  • 哲学的問題の中から、人間の主体性を主にとらえながら、20世紀の代表的な思想を考察し、有効な考え方を提示する。

  • 「反哲学史」を読んだあとに読んだが、「反哲学史」とは異なりかなり現代哲学を専門的に説明していると思われるため、素人にはとてもついていける内容ではなかった。評価の3はあくまで自分の理解力のなさに起因しており、哲学を学んだ人なら違う評価だと思う。

  • すごくわかりやすいけれども時代を感じた。マルクスの話になると、急に難しくなった。

  • [ 内容 ]
    ニイチェが「神が死んだ」と予言した現代は、従来の価値体系が崩壊し、思想史の上でもルネサンスの時代に比すべき大きな転換期をむかえている。
    そのなかでフッサール、メルロ・ポンティ、レヴィ・ストロースら現代の哲学者たちが、心理学や言語学、人類学などの人間諸科学と交流しながら追求する哲学の新しい方向とは何か。
    そして彼らが負った共通の課題とは…。
    人間の存在を問う現代哲学の書。

    [ 目次 ]
    序 理性の崩壊
    1 20世紀初頭の知的状況
    2 人間存在の基礎構造
    3 身体の問題
    4 言語と社会
    5 今日の知的状況

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • わ、分からなかった。
    もっと西洋哲学を勉強して出なおして来よう。

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著者プロフィール

中央大学文学部教授

「1993年 『哲学の探求』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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