- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061589995
感想・レビュー・書評
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阿部謹也の初期作品。ハーメルンの笛吹き男伝説や刑吏など賤民差別の構造、小宇宙と大宇宙などの問題が書かれている。
後期ほど洗練されていないが、問題意識が明確であり、とても知的に刺戟的でかつ読みやすい傑作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
解説:鎌田慧
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ハーメルンの笛吹き伝説は、比較的歴史の浅い実話を下敷きにしているため、本書で説明されるように由来や変遷がよく分かります。世の様々な民話、説話、伝説にこのような来歴が隠れていることを想像させてくれます。
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新書文庫
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中世ヨーロッパ史の泰斗?の論文・講演集でハーメルンの笛吹き男伝説や市民の自伝から当時を紹介している。後半が本題で死刑執行人、道路清掃人、皮剥、楽士、娼婦など一部の職業が差別された社会的背景を考察する。著者のメインテーマだけに想いは伝わるものの記述には舌足らずな感があり分かりづらい。マイノリティな能力に無知故に畏怖し、差別するようになった、と読んでいいのだろうか。余談ながら解説には我田引水の感あり。
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これまで阿部謹也氏の本は何冊か目を通しているが、これも大変興味深い考察にあふれていて、読みがいのある本だった。
中世ヨーロッパにおいて、楽師とか刑吏など、差別されていた職業があることは知っていたが、なぜそうなのかという原因にはなかなか思い至らず、それを中世人の宇宙観から解きほぐしてゆく過程は刺激的でスリリングだった。
また、キリスト教がいかにしてゲルマン文化を駆逐していったのかにも触れられていて、これも興味深い考察だった。 -
何となく手にとって再読。
何かをやろうという意気込みは十二分に伝わってくるのだが、奥ゆかしいお人柄なのか迫力ある説得力(あるいは強引な主張というべきか)があまり感じられないのが惜しい。
学者には思い込みと冷静さのバランスが大切だと考えるのだが、阿部さんはどうも冷静さが優っていて、素人である当方のような読者からすると「で結局どう主張したい?」と問いかけたくなるんですよ。
差別という着眼点が見事で独創的議論も展開されているように思うのだが、詰めが甘いというか何というか、、、
まぁあくまで当方の独断と偏見ですのであしからず。 -
読み物としても◎
研究者にはタマラナイ。