レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術と生涯 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061590137

作品紹介・あらすじ

万能の天才、ルネサンスの巨匠。思いつく最高の讃辞とともにその生涯と芸術について余す所なく研究し尽くされたかに見えたレオナルド。人類史に聳える至高の作品群を全く新しい眼で見つめ直し、絵の中に秘められていた驚くべき暗号を解読、レオナルド芸術の最大の謎を明らかにする。<二重人物像>とは何か。<モナリザ>とは誰か。イタリア語に訳され欧米でも大きな反響を呼んだ東洋の俊秀の画期的論考。

感想・レビュー・書評

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  • 25年前の研究。没500年の今、彼についての新しい研究がどうなっているのか、知りたくなってきました。でも、これだけまとまって生涯の流れを書いている本や、トピックスになっている話を書いている本はなかなかないかもしれませんね。

  • (1994.03.28読了)(1992.02.24購入)
    (「BOOK」データベースより)
    万能の天才、ルネサンスの巨匠。思いつく最高の讃辞とともにその生涯と芸術について余す所なく研究し尽くされたかに見えたレオナルド。人類史に聳える至高の作品群を全く新しい眼で見つめ直し、絵の中に秘められていた驚くべき暗号を解読、レオナルド芸術の最大の謎を明らかにする。〈二重人物像〉とは何か。〈モナリザ〉とは誰か。イタリア語に訳され欧米でも大きな反響を呼んだ東洋の俊秀の画期的論考。

    ☆田中英道さんの本(既読)
    「冬の闇」田中英道著、新潮選書、1972.12.10
    「微笑の構造」田中英道著、小学館、1977.06.20
    「若き日のミケランジェロ」田中英道著、講談社、1980.05.08
    「ルネサンス像の転換」田中英道著、講談社、1981.09.05

  • 『201209 美術強化月間』

    本書によってレオナルドの神性は影を潜め一個の人間に降りてくる。
    これまで、レオナルドの発想力は未来を生き過ぎていたのだと信じてきたが、彼の発案は総じて実現性に乏しく、つまるところ彼は偉大な空想家に他ならないという本書の指摘にはぐうの音も出ない。少なからず幻想を打ち砕かれた。
    それでも彼の才能に対する信頼が失われたわけではない。レオナルドがもし現代に生まれていたら、天職は恐らく映画監督だろう。それもアート・ムービーの類ではなく、とことんまでエンターテイメントを突き詰めたこてこてのハリウッド。

  • レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯と作品をリンクさせて考察している。

    著者は、同性愛の「快楽」と「苦痛」をめぐるレオナルドの記述に注目する。当時、プラトンの「エロス」礼賛の書『饗宴』がフィチーノによって紹介され、人々の関心を集めていた。そこでは、哲学者が青年に男性らしい徳を備えさせるように導くソクラテス的な愛が理想的に説かれていたのである。著者はこうしたプラトンからレオナルドへの影響を想定する。

    その上で、「聖アンナと聖母子」や「モナ・リザ」に描かれているような女性像をレオナルドが描くことができたのは、「彼自身の内にある女性が男性であるレオナルドによりよく見えた」からではないかと著者は述べる。レオナルドの描く女性には、苦しみの影がまったく存在しない。女性の現実的存在を認めていなかったことが、プラトン的な愛の理念に基づく女性像を描かせたのではないかと著者は考える。本書で著者は、綿密な考証によってこうした考えを裏づけようと試みている。

    レオナルドの女性像と対比されるのが、「ダヴィデ」に代表されるミケランジェロの男性像だ。レオナルドは「ダヴィデ」が表現しようとしている「正義」や「力」がまったく相対的なものにすぎないと考え、みずからの「女性像」の普遍性をいよいよ確信したと著者は論じている。

    こうした両者の対比は、絵画と彫刻の対比にも関わっている。レオナルドは『絵画論』の中で、空気の色合いなどの変化を表現できない彫刻よりも絵画が勝っていると力説する。こうした彼の考えの根幹にあるのは「視覚に基づく表現」に対する信頼である。レオナルドが視覚に基づく科学的探究へと向かったのは、当時の「科学」がこうした性格のものであったことに基づく。絵画のもつ微妙な色彩表現と遠近法による空間把握は、当時においてはもっとも優れた科学的認識を提供すると考えられていたのである。

    だがこうした考えが、晩年のレオナルドを科学的認識と絵画的認識とのはざまで身動きが取れない状態に陥らせ、絵を描くことを不可能にしたと著者は考える。晩年のレオナルドは、自然の動きの中から着想を得てそこに自然の生動感を形作ってゆくように絵を描くことができなくなり、解剖学と建築設計に活動の場を求めた。著者はこうしたレオナルドの姿を、それまでと変わらない愛情と敬意をもって描き出している。

  • 生涯から作品へとかなり詳しく考察されており、レオナルド・ダ・ヴィンチをより深く「研究したい」人向けの本です。
    単に彼を「知りたい」程度の人はウィキペディアで十分かと。私は後者で、詳しさが逆に読み辛かったので評価は低めです。

    その才能と功績から彼を神格化するのではなく欠点や弱さもある人間レオナルド・ダ・ヴィンチ像を冷静に分析なされているところを★3つと評価。同じ人間として共感し親しみを感じながら知ることができました。

  • 世紀の天才、万能人の代表と思われていますが、庶子の生まれから晩年の老いっぷりまで誠実に描かれています。あー人間だったんだねって感じ。
    聖アンナやモナ・リザはじめ作品が、美術史学的考証だけでなく、彼の人生も検証しながら論じられているのがいい。

  • ダヴィンチ・コード読んでませんけど、先にコレ読みましょう。

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著者プロフィール

昭和17(1942)年東京生まれ。東京大学文学部仏文科、美術史学科卒。ストラスブール大学に留学しドクトラ(博士号)取得。文学博士。東北大学名誉教授。フランス、イタリア美術史研究の第一人者として活躍する一方、日本美術の世界的価値に着目し、精力的な研究を展開している。また日本独自の文化・歴史の重要性を提唱し、日本国史学会の代表を務める

「2024年 『日本国史学第20号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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