レトリック認識 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061590434

作品紹介・あらすじ

古来、心に残る名文句は、特異な表現である場合が多い。思考において論理がすべてではなく、言語も文法だけでは律しきれない。論理と文法の手にあまる言語表現の多彩な機能-黙説、転喩、逆説、反語、暗示など、レトリックのさまざまを具体例によって検討し、独創的な思考のための言語メカニズムの可能性を探る。在来の西欧的レトリック理論の新しい光をあてた『レトリック感覚』に続く注目の書。

感想・レビュー・書評

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  • 「レトリック感覚」の続編にあたる著作で、こちらも学生の頃に読んで以来の再読。

    読んで初めて知ることよりも、改めて見直すことのほうが多く、普段なんとなく触れ、使う言葉の中の“あや”が再構築される印象を受ける。

    著作を読む、書くためには、書物などによって得られる知識がないと浅くなってしまうという当たり前の事実を再認識した。

  • 佐藤信夫著『レトリック認識(講談社学術文庫)』(講談社)
    1992.9発行

    2017.11.6読了
     『レトリック感覚』の続編。本書では前書で触れなかった転喩、諷喩、反語、暗示作用などを取り扱う。相変わらずの面白さ。そして、一つ一つの「ことばのあや」に対する臭覚がすごい。単なるレトリックの紹介に留まらず、そこに哲学を滑り込まして、奥行きを持たしている。次は『レトリックの記号論』に挑戦。

    URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000002207822

  • 2018/05/26 初観測

  • 【目次】
    目次 [003-006]

    はじめに 認識のかたちとしてのレトリックの《あや》 009

    第1章 黙説あるいは中断 021
      口をつむぐこと
      ‎沈黙の表現
      ‎黙説または中断
      ‎理解のための参加
      ‎《未決》とサスペンス

    第2章 ためらい 051
      ことばづかいの戸惑い
      ‎《ためらい》の定義
      ‎表現の相対化
      ‎《訂正》の言語作用

    第3章 転喩あるいは側写 088
      推移する情景
      ‎《転喩》の定義
      ‎転喩表現の相対性
      ‎転喩のさまざまな可能性
      ‎転喩あるいは側写
      ‎相を転じて見る、視点の切りかえ

    第4章 対比 121
      意味の対称的な造形
      ‎語り手の関心と《対比》
      ‎《対比》を設定する文脈
      ‎新しい対比の発見
      ‎対比的な感じかた
      ‎《平行》表現と《対句》

    第5章 対義結合と逆説 157
      反対のことばの結合
      ‎《対義結合》と矛盾
      ‎対義結合と動く視点
      ‎肯定と否定の連立
      ‎《逆説》と通念
      ‎逆説と対義結合

    第6章 諷喩195
      隠喩と諷喩
      ‎諷喩の定義
      ‎平行する構造としての諷喩
      ‎認識としての諷喩
      ‎楽しみとしての諷喩

    第7章 反語 219
      真意の反対
      ‎反語の生いたち
      ‎反語、それから話題は脱線して……
      ‎伝統的レトリックにおける反語
      ‎反語信号
      ‎反語と想像力

    第8章 暗示引用 254
      暗黙の参照
      ‎暗示引用の定義
      ‎模擬または模索
      ‎暗示引用と「引喩」
      ‎暗示引用と選別作用

    おもなレトリック用語――日本語・ヨーロッパ語 対照表 [285-287]
    おもな引用文献 [288-290]
    あとがき(昭和五十六年十月 佐藤信夫) [291-292]
    解説(池上嘉彦) [293-301]



    【抜き書き】
    □187-188頁
     《逆説》とは世間の通念に真向から反する意見である、という、わかったようで(じっさいには)雲をつかむような広い意味の定義も、具体的な例に即して観察すれば、それが現象としては、じつは意味接続の暗黙の規則への反逆だということがわかる。


    □194頁
     《逆説》、パラドクスということばがレトリックの専用語でないことは、言うまでもない。
     ‎たとえば論理的《逆説》とは、あるひとつの命題から必然的に、ふたつ以上のたがいに矛盾し合う帰結が導き出されてしまう、厄介な事情をさすだろう。〔……〕
     ‎ただし、言語表現の《逆説》は、矛盾し合う対義的事項を積極的に連立させることによって、認識をかろうじて造形しようとするこころみであるが、それに対して論理の《逆説》においては、困ったことに対義的事項が連立してしまう……のである。どうやら向きがちがうようだ。

  • 様々な文学書から実例をあげてレトリックの種類を列挙。ああ、そうなってるのか、と目からうろこ。レトリック研究の前からレトリックが存在したように、レトリックを学ばなくなってもレトリックは存在する。レトリックってなんなんだろうなぁ

    黙説あるいは中断
    ためらい
    転喩(古川註:ほのめかし)
    対比
    逆説
    諷喩(比喩の連想)
    反語
    暗示引用

  • 抽象的だと思ってしばらく積ん読だったけど、読み直したら意外と読みやすかった。具体例が出ていて分かりやすい。

    世の中の「面白い」文章はレトリックが効果的に使われている事が分かった。

  • 私が日本語学という学問を選んだきっかけの本。

  • 黙説あるいは中断:意味の産出を読者に分担させる
    ためらい:相対化し、印象づける
    転喩あるいは側写:相を転じて見せる
    対比:類義関係に対義を見出す
    対義結合と逆説:意味接続の常識に反逆する
    諷喩:ふたつのものがたりが並行する
    反語:意味を反転させる
    暗示引用:受け手を選別し、理解を求める

    ふだん何気なく読んでいる文章には
    こんなに技法が使われていたんだ!と目からウロコ。
    名前は知らないけれど浸透しているレトリックの多いこと。
    文章術みたいな感じで易しく読めます。
    「おなじ類義語の対が、コンテクストによって設定された対比的な席に座を占めたとたんに、臨時の対義語となる……。しかし、どちらのことばも意味が変わりはてたというわけではない。ただ、着席する位置が、並んでいるかわりに、向かい合わせだったのである。」

  • 世界はメタファーで認識する。

  • もう少したくさん佐藤氏に知識や発見を見せてほしい。
    ページ数?の問題か、足りない…!という読後感。

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