トマスによる福音書 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061591493

作品紹介・あらすじ

一九四五年、エジプトで写本が発見され、「新発見の福音書」として世界にセンセーションをまきおこした。-異端として排斥されたグノーシス派の立場から編まれた一一四のイエスの語録集である。新約聖書学・グノーシス主義研究の世界的権威がその語録を精緻に注解し、独自の福音を明らかにした本書は、従来の「正典福音書」のイエス像を一変させることを迫る衝撃の書である。

感想・レビュー・書評

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  • 新約聖書外典のトマス福音書の成り立ちについての研究と、本文一つ一つに荒井氏による膨大な解説を付けてある。共観福音書との並行部分も並べて明記してあり、Q資料(これは、最近はないとする研究も出てきているらしいが)との関係も書いてあり、これ以上ないくらいわかりやすい解説書になっている。参考文献リストも整理されて完備。これを読むにあたって、新約聖書とグノーシス主義についての最低限の知識は必要だと思うけど…。
    謎めいた本文の意図するところの解説は異論も併記しつつ平明で、著者?編者?のユダヤ人キリスト教、グノーシス主義との混交した立ち位置がしっかり分かるようになっている。こんなものを文庫で出してくれているなんて、恐ろしくなるくらい。ありがとう講談社学術文庫。

  • トマス行伝のようなキャラ描写はないが、語録を通じて「なぜグノーシス主義者はトマスを模範と奉ずるのか」は伝わってくる。

  • 請求記号 193.9-ARA
    https://opac.iuhw.ac.jp/Otawara/opac/Holding_list?rgtn=1M024802
    「残されるもの」の対には「残されなかったもの」がある。偽典を正典と照らし合わせながら省察する本書の視座は,多くの示唆に富む。

  • これは新約聖書を良く読んだ上級者向きです。

    本質を捉えた語録。
    本質を捉えた解説。

    共に素晴らしいです。

    サンプル語録
    「彼らは空でこの世に来、再び空でこの世から出ようとしているからである。しかし今、彼らは確かに酔いしれている。」

    「霊における真の割礼が全き効果を見出した」

    このような語録が一杯載ってます。

    この言葉だけでも是非、吟味をお願いします。

  • 知り合いの牧師からQ資料の存在については聞いてたんだけど、トマスの福音書を知ってビックリした。

    トマスの福音書=Q資料 なのかどうかは分からないけど、こんな福音書があったことに驚き。

    トマスについても、いろいろ教えてもらって、びっくりした。
    南インドに宣教してた、とかね。

    この人こそ、東と西が出会う場所に立っていたキーパーソンだ。

  • 二十世紀になってから農夫が偶然発見した古文書、
    異端として排斥され、失われた福音書、
    と来たら、読まないわけにはいかないでしょ、
    とミーハー気分で手に取ったが、難しすぎた。

    ある程度のキリスト教および聖書の知識を前提として書かれているので、
    入門編でも見つけて読んでから、出直します。

  • グノーシス派の考え方が少し理解できたかな。

  • 現代芸術の戦略から

  • 新約聖書外典と呼ばれる文書のひとつで、ナグ・ハマディ写本にふくまれている。

    詳細な解説と本文の日本語訳は斯界の第一人者である荒井献氏によるもので信頼がおける。

    聖書外典やナグ・ハマディ写本関連の本は文庫本ではほとんど出版されていないので貴重だと思う。

    アメリカのオカルト映画「スティグマータ(聖痕)」では「トマス福音書」が重要な鍵として出てくる。

    必読です。

    目次
    1 トマス福音書の背景
    2 トマス福音書のイエス語録―翻訳と注解
    3 トマス福音書のイエス

  • イエスの言行録。
    学者と信者以外には面白みがないかも。

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著者プロフィール

あらい・ささぐ氏は、1930年生まれ。東京大学教養学部、同大学院西洋古典学専攻を経てドイツ・エアランゲン大学で神学博士を取得。原始キリスト教史・グノーシス研究に開拓的な業績がある。現在、東京大学および恵泉女学園大学名誉教授、日本学士院会員。著書『荒井献著作集』(全10巻+別巻、岩波書店)、『使徒行伝』上中下(新教出版社、現代新約注解全書)ほか多数。

「2018年 『キリスト教の再定義のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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