- Amazon.co.jp ・本 (465ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061591585
作品紹介・あらすじ
アメリカの政治史を論ずる時、常にアメリカ政治思想論議の出発点となっている『アメリカ自由主義の伝統』。ハーツはアメリカとヨーロッパの政治史を比較対照し、封建的伝統を持たないアメリカは「生まれながらの自由主義社会」であると分析。更に自由主義を絶対化して国民的信念「アメリカニズム」を確立したと論及する。才気溢れた文体と論理を駆使した鋭い洞察によるアメリカ政治史の古典的名著。
感想・レビュー・書評
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原題:The Liberal Tradition in America: An Interpretation of American Political Thought since the Revolution (1955 ➡ 2nd ed., 1991)
著者:Louis Hartz(1919-1986)
訳者:有賀 貞〔アルガ タダシ〕(1931-)
【版元】
書名 アメリカ自由主義の伝統
発売 1994年12月05日
価格 本体1,200円(税別)
ISBN 978-4-06-159158-5
判型 A6
ページ数 466ページ
シリーズ 講談社学術文庫
アメリカの政治史を論ずる時、常にアメリカ政治思想論議の出発点となっている『アメリカ自由主義の伝統』。ハーツはアメリカとヨーロッパの政治史を比較対照し、封建的伝統を持たないアメリカは「生まれながらの自由主義社会」であると分析。更に自由主義を絶対化して国民的信念「アメリカニズム」を確立したと論及する。才気溢れた文体と論理を駆使した鋭い洞察によるアメリカ政治史の古典的名著。
〈http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784061591585〉
【目次】
著者まえがき [003-004]
目次 [005-011]
基本語彙の訳について [012-013]
タイトル [015]
題辞 [016]
第一部 封建制度とアメリカの体験
第一章 自由主義社会の概念 018
1 アメリカとヨーロッパ 018
2 「自然的自由主義」――アメリカ精神の性格 021
3 自由主義社会の力学 033
4 単一要因による分析の問題 040
5 ヨーロッパに対して持つ意味 044
6 革新主義学派な学問 050
補説 056
第二部 新世界での革命
第二章 一七七六年の諸観点 060
1 ヘブライズム――選ばれた民 060
2 ユートピア、権力、時代感覚 065
3 勝ち誇る中産階級の精神的特質[メンタリティ] 079
4 ヨーロッパ的闘争からの脱出 097
補説 100
第三章 アメリカの「社会革命」 103
1 国内抗争の類型
2 封建的遺制、民主自由主義、ダニエル・シェイズの問題
3 フェデラリストの幻想の世界
第三部 デモクラシーの登場
第四章 ホイッグのディレンマ 132
1 ジャクソニアン・デモクラシー、七月革命、第一次英国選挙法改正
2 ホイッグ進歩主義の萎縮
3 貴族主義の錨を求めて
4 民衆政治[ポピュラー・ガヴァメント]に対する反対
5 民主的資本主義[デモクラティック・キャピタリズム]の理念
補説 164
第五章 アメリカのデモクラット――ヘラクレスとハムレット 165
1 社会的異種交配作用と民主主義的精神 165
2 「貴族」、農民、「労働者」 171
3 個人主義者の恐れ――多数者[マジョリテイ]の問題 184
4 資本家的欲望――良心と欲望 191
5 国民的な一致の問題 197
第四部 南部の封建的夢想
第六章 反動的啓蒙 204
1 自由主義的社会での保守主義
2 憲法――カルフーンとフィッツヒュー
3 人類、宗教及びギリシャ的理想
4 忘却と敗北
補説 244
第七章 「自由な社会」に反対する思想運動 246
1 封建的温情主義と社会科学
2 アメリカでのコント――実証的形而上学
3 トーリー社会主義と資本主義振興政策
4 反動的啓蒙、ホイッグ主義者、民主的資本主義の理論
補説 272
第五部 ホレイショ・アルジャーのアメリカ世界
第八章 新しいホイッグ主義――民主的資本主義 276
1 「アメリカの発見」――魅力と恐怖
2 強靭な個人主義と国家権力
3 成功と失敗の理論
4 大勢追従の問題
補説 308
第九章 革新主義と社会主義 310
1 アメリカにおける自由主義的改革
2 革新主義における思想的緊張
3 荒野に孤立する社会主義
4 歴史的分析の問題
補説 342
第六部 経済不況および世界政治への介入
第十章 ニューディール 346
1 自由主義的改革の勝利と変容
2 ヨーロッパにおけるローズウェルト
3 意気上らぬホイッグたちの戦略
4 マルクス主義の失敗
補説 375
第十一章 アメリカと世界 377
1 体外政策と国内の自由 377
2 帝国主義――ブライアンと膨張主義者 382
3 第一次世界大戦と第一次赤狩り騒ぎ 388
4 アメリカとロシア 400
訳者注記 [408-409]
解説(有賀 貞) [410-422]
訳者あとがき(訳者) [423-424]
出典注 [425-435]
事項索引 [436-441]
人名索引 [442-465]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ハーツによれば、F・ルーズベルトのニューディールは第一に急進的、第二にプラグマティックなのだそうだ。そのこころは、自由主義世界たるアメリカでは公共事業の拡大や社会福祉の充実といった政策はあまりに社会主義的である一方、あくまで大恐慌による貧困や経済悪化といった重大な問題への自由主義的な解決策として行われたに過ぎないという。アメリカで社会主義が流行らなかった一つの原因であり結果だそうだ。
「それではサンダースは何なのか」と考え、ネットサーフィンしたらこんなスピーチを見つけた。
Roosevelt implemented a series of programs that put millions of people back to work, took them out of poverty and restored their faith in government. He redefined the relationship of the federal government to the people of our country. He combatted cynicism, fear and despair. He reinvigorated democracy. He transformed the country. And that is what we have to do today.
ジョージタウン大で行われたスピーチでありエスタブリッシュメント向けということを考慮する必要はあるが、ここでは(おそらくハーツを意識して)ルーズベルトのプラグマティックな姿勢を踏まえて自らの政策のプラグマティズムを主張している。無論、この後彼は「革命」を連呼しているため、本意はそっちにあるような気がするが…
今回サンダースは負けたが、仮に勝って大統領になっていたらそれは「革命」だったのか。結局、急進的でプラグマティックな問題解決的な政策が行われるに過ぎないのではないか?だとしたら、それはハーツのモデルの中にとどまるのであり、自由主義的改革の1類型に過ぎないのではないか。そもそも今回の「革命」は二大政党制の枠組みに沿って行われた極めて「体制的」なものではないか。
でも、そんなこと言ったら、ハーツのモデルは何の意味を持つのか。二大政党制のもとで行われれば何でも自由主義的改革になるのではないか。だとしたらハーツの議論に意味はないのではないか。やはり今回は「革命」であり、別途考えなければならないのではないか。
サンダースの「革命」的な部分についての検討は別途必要であろうが、僕個人としては解釈として前者の方が好きである。なんというか、それがアメリカ政治の懐の深さというか、自由主義は大事にするけど、自由主義の名の下にどんどん修正をかける感じというか...そこが面白い。
今回は結局クリントンが勝った。陰謀論を待つまでもなく重要な州において、人口が増え続けているマイノリティの支持をきちんと得たことが大きい。彼女はこれまでマイノリティを重視した政治を行ってきたのだから、特に驚きはない。その意味でサンダースの支持はやや偏っていた。
サンダース支持者からはため息が出ているようだが、忘れてはいけないのは彼女は二大政党初の大統領候補者ということである。それはそれで面白い。また、チェンジが大好きなアメリカにとって、3期12年の大統領職を同政党が務めるのは実は珍しい。そうなれば、そっちもそっちで見ものである。 -
[ 内容 ]
アメリカの政治史を論ずる時、常にアメリカ政治思想論議の出発点となっている『アメリカ自由主義の伝統』。
ハーツはアメリカとヨーロッパの政治史を比較対照し、封建的伝統を持たないアメリカは「生まれながらの自由主義社会」であると分析。
更に自由主義を絶対化して国民的信念「アメリカニズム」を確立したと論及する。
才気溢れた文体と論理を駆使した鋭い洞察によるアメリカ政治史の古典的名著。
[ 目次 ]
第1部 封建制度とアメリカ的経験
第2部 新世界での革命
第3部 デモクラシーの登場
第4部 南部の封建的夢想
第5部 ホレイショ・アルジャーのアメリカ的世界
第6部 経済不況および世界政治への介入
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]