近代政治思想史―思想と歴史のダイナミズム (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061591875

作品紹介・あらすじ

本書は、自由主義のルーツたる社会契約の思想から出発し、社会進化論、さらに自由主義とファシズムの激闘を、ホッブスやシュミットらの思想をたどりながらダイナミックに論じる。西欧の政治・社会思想から戦後日本の歴史までをも論及した必携の力作。

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  • 近代政治思想とは人間が、自由・平等・安全・平和を求めて戦ってきたかがやかしい歴史遺産の思想的表現とし、その潮流を論じたもの。1部と2部にわかれており、1部は『思想辞典』に掲載された論文であり、良くも悪くも教科書的。2部は著者の研究対象である、ホッブス、シュミット、如是閑の3人の論考。1部はそれなりに読み応えはあるが、2部は興味がある人が読めばいいという印象。
    95年刊であり、阪神淡路大震災とオウム事件のインパクトに言及している箇所が多々あるが、日本的民主主義はイギリス思想と決定的に異なっており、その体質の強さと弱さは「例外状態(異常・非常事態)」発生時に見事に顕現するとある。その後の311や昨今のコロナ禍における対応を考えると、95年から何も学んでいないし、何も変わっていない事を痛感させられる。

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著者プロフィール

(たなか・ひろし)
1926年佐賀県に生まれる。1952年東京文理科大学文学部哲学科卒業。東京教育大学、一橋大学(名誉)教授などを歴任。法学博士。著書『ホッブズ研究序説』(御茶の水書房、1982)『長谷川如是閑研究序説』(未来社、1989)『カール・シュミット』(未来社、1992)『国家と個人』(岩波書店、1990)『日本リベラリズムの系譜』(朝日新聞社、2000)『20世紀という時代』(NHKライブラリー、2000)『ホッブズ』(岩波新書、2016)。訳書 ホッブズ『リヴァイアサン』(共訳、河出書房新社、1966)、シュミット『政治的なものの概念』(共訳、未来社、1970)、ホッブズ『哲学者と法学者との対話』(共訳、岩波文庫、2002)ほか多数。『田中浩集』(全10巻、未来社、2012-2015)。

「2022年 『ジョン・ロック伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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