「オイディプース王」を読む (講談社学術文庫)

著者 :
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本棚登録 : 14
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061592599

作品紹介・あらすじ

ギリシア悲劇の中で最高傑作といわれ、アリストテレースも激賞した『オイディプース王』。アポローンの神託の成就と、そこに描き出された人間存在の悲劇性を浮き彫りにしたこの『オイディプース王』を文学として捉えなおして徹底的に解読吟味する。悲劇としての巧みな劇構成、そして、今なお私たちに問いかけてやまない人間存在の本質-時空を越えて輝くギリシア悲劇の魅力を読みつくした意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • おいおいちょっと思想が飛躍しすぎなんじゃないかとも思いつつ、あんな特に長くもない戯曲をここまで読み解く根性と熱心さには感動したし、すごく参考になりました。

  •  以前岩波文庫で「オイディプス王」を読み、なかなか面白かったので、注釈書を手に取ってみた。本書では悲劇「オイディプス王」を丁寧に読み解きつつ、従来とは違った作品イメージを創出しようと言う試みがなされている。どのような読みかえがなされるのかというと、すこし母親のイオカステーに注目してみましょうよという読みで、イオカステーはオイディプースよりも早く真実に到達し、それを夫でもある息子から隠蔽しようともがいていると著者は主張する。本文を読んでいると確かに成立しそうで、興味深かった。<br>
     ソポクレスが「オイディプス王」を書いた時代(本書では紀元前5世紀と推定されている)、すでにこの物語は広くギリシア市民一般の知るところとなっていた。それ故に作品は、謎とその回答というプロットでありながら、謎の提示よりも、回答の遅延によって見るものを引きつけるという方法がとられている。自分が「オイディプス王」を読んだとき、それは読者に対する仕掛けとして機能していると思えたのだが、本書の読解によれば、それはオイディプスに向けられても機能しているようだ。って、当たり前の話だが、つまりこっちが想定した以上にということである。<br>
     著者はこれを運命に翻弄されるオイディプスの物語であると共に、子供のために神に逆らう母、イオカステーの物語としても捉えている。そしてあがけばあがくほど、神の定めた秩序が否応なく現出してくるという構成にアイロニーを見る。誰もが善意で行動しながら発生する悲劇は、そうしたアイロニーの効果によって時代を超える力を得たようだ。
     大変面白かった。ので、「オイディプス王」を読み直してみようと思ったら、見あたらないのが残念。売ったのか、それとも実家に送ったのか。何にしても場所がないと言う理由で安易に本を始末するものではない。

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