現代倫理学入門 (講談社学術文庫 1267)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061592674

作品紹介・あらすじ

本書の狙いは、昔の話をすることではない。現代世界の倫理構造を明らかにして、21世紀の文化の骨格を示すこと、21世紀で有効となるような倫理学の輪郭を描き出すことである。

感想・レビュー・書評

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  • マイケル・サンデル『ハーバード白熱教室』以前の倫理哲学の入門書。
    カント・・・義務論「汝の信条が普遍的法則となることを、その信条を通して汝が同時に意欲できる、という信条に従ってのみ行為せよ」
    ベンサム/ミル・・・功利主義「個人の効用を総て足し合わせたものを最大化することを重視するものであり、総和主義。「最大多数の最大幸福」」
    ____________________

    1 人を助けるために嘘をつくことは許されるか
    2 10人の命を救うために1人の人を殺すことは許されるか
    3 10人のエイズ患者に対して特効薬が1人分しかない時、誰に渡すか
    4 エゴイズムに基づく行為はすべて道徳に反するか
    5 どうすれば幸福の計算ができるか
    6 判断能力の判断は誰がするか
    7 〈……である〉から〈……べきである〉を導き出すことはできないか
    8 正義の原理は純粋な形式で決まるのか、共同の利益で決まるのか
    9 思いやりだけで道徳の原則ができるか
    10 正直者が損をすることはどうしたら防げるか
    11 他人に迷惑をかけなければ何をしてもよいか
    12 貧しい人を助けるのは豊かな人の義務であるか
    13 現在の人間には未来の人間に対する義務があるか
    14 正義は時代によって変わるか
    15 科学の発達に限界を定めることができるか

  • 倫理学については不勉強だったので入門書として読んだ。難しい問題を手際よくわかりやすくまとめていると思う。読むきっかけになったのは昨今の人工知能ブーム。その課題、そして可能性を倫理学的な切り口で考えてみたいと思ったから。倫理学でもまだ明確に答えを出せていない問題に対して人工知能がさきに答えを出す時が近づいている。それは無意識かもしれないという怖さを感じる。倫理学はもっと介入すべきだと思う。

  • 倫理学の中の“規範倫理学”と言われる分野について平易に書かれています。倫理学の代表的な立場である功利主義やカントの義務論、ロールズの正義論について説明されており、この著作の内容をある程度理解するだけでも規範倫理学の基礎的な知識を身につけることができると思います。

  • サンデル氏の討論型授業のような形式で倫理的な問題を考えることは楽しい。


    しかし、心理学もそうだが学問になると非常に取っつきにくくなる。


    この本もその例で、サンデルの著作から関心を持った人の興味レベルだと弾き飛ばされる危険性が高い。実際私も、100ページを超えるくらいになってパンク状態であった。



    この本の正しい読み方は、目次を読んで本当に微妙な問題だなと思った章を選んで読むことである。



    最初から全部を読み通そうなんて思っちゃあいけない。また、自分の中で既に結論がでてしまうお題は見なくてもよろしい。


    そのくらい自分の意識を絞って読まなければ、歴史の教科書レベルの退屈さに溺れること請け合いである。

  • サンデル、ロールズあたりがちんぷんかんぷんな方には此ぐらいから始めるほうがよいのではないかと思います。全体の見取り図がわし掴みにできます。
    元々放送大学の教材だったかと思いますので、教科書的紹介風になりますが、壺は押さえていると思います。
    ただし、げしげしと原典(邦訳含め)を読んでいる人間には、少し物足りないでしょうか。
    いずれにしても教科書としては良くできておりますし、対話型授業の教材としての活用も容易かと思います。

  • 本書の狙いは、昔の話をすることではない。現代世界の倫理構造を明らかにして、21世紀の文化の骨格を示すこと、21世紀で有効となるような倫理学の輪郭を描き出すことである。

  • ネットに倫理学を学びたい人がまず読む本として紹介されていたので、わざわざAmazonで定価で買いました。
    入門書の割には普通に難しくて、読み終えるのに10時間くらいかかったわ!難しい表現が出てくる度に、あのサイトの運営者にイライラした
    本文を丸パクリするだけで、ネットのレスバトルに勝てるのは良い。

    キケロ 自分 相手の利益不利益 暴力 不誠実 カント 義務論 良い意志
    生存最大の原則 サバイバルロッタリー 倫理的な原理は1つ?
    最大多数の最大幸福 功利主義 ベンサム 平等が前提 ミル より大なる善 ドンブリ勘定 豊かさが前提
    エゴイズム 犯罪とは 許容できるエゴイズムの範囲 豚とソクラテス 価値論
    幸福の計算 規範的功利主義 行為の集合 推移率 効用
    判断能力 成人とは 決定権 人格とは 対応能力 生物としてのヒト 人格としてのヒト 誰が決める 人格の尊厳
    自然主義的誤謬 ムーア 価値論 注意主義 自然主義 実存主義 創造したまえ 制度的事実なら
    正義の原理 定言命法 相互性 アプリオリな総合判断 ヘア 普遍化可能性
    思いやり 相手の気持ち マッキー 固有名詞 ロールズ 無知のヴェール
    正直者が損 囚人のジレンマ アローの定理 不可能性定理 多数決
    他者危害の原則 自由主義 愚行権 共同体主義 理想主義
    二重結果論 ヒロシマ 完全義務 不完全義務 人工妊娠中絶
    未来の人間への義務 封権制度 進歩主義 相対主義 正義の相対性にまで 恩 社会契約説 ロールズ ムチのヴェール
    変わったのは価値判断ではなく事実判断 地理相対主義 通約不可能性が正しいなら自分の主張は? ウイリアムズ 喧嘩両成敗 生命は普遍的 他人の行為の避難には暗黙の合意 通訳可能か
    科学の進歩 非人間化 価値中立性 技術の見張り 存在論

  •  みなさんは、
      ・「人を助けるために嘘をつくことは許されるか」
      ・「他人に迷惑をかけなければ何をしてもよいか」
      ・「正義は時代によって変わるか」
         といった身近に潜む難問への対処を求められたとき、どのように対処しますか?

     本書は、現代の道徳的なジレンマ・難問を対象として、それらへ対処するための手がかりを与えてくれる1冊です。

     上記のような複雑な問題を分解し、可能な限り対処しやすい問題へと変化させることができる能力は日常生活の様々な場面で活きてきます(DifficultyからPuzzleへ)。本書を通して、単に倫理学にかんする知識等を身につけるだけではなく、前述のような能力を養うことが出来れば本書を手にとった方の日常生活はより豊かなものになると思われます。

     もしも本書をよんでおもしろいと思ったら、加藤さんの他の著作や小坂井敏晶さんの著作(『社会心理学講義』等)も手にとってみてください。


    目次は以下の通りです。

    まえがき
    1 人を助けるために嘘をつくことは許されるか
    2 10人の命を救うために1人の人を殺すことは許されるか
    3 10人のエイズ患者に対して特効薬が1人分しかない時、誰に渡すか
    4 エゴイズムに基づく行為はすべて道徳に反するか
    5 どうすれば幸福の計算ができるか
    6 判断能力の判断は誰がするか
    7 <……である>から<……べきである>を導き出すことはできないか
    8 正義の原理は純粋な形式で決まるのか、共同の利益で決まるのか
    9 思いやりだけで道徳の原則ができるか
    10 正直者が損をすることはどうしたら防げるのか
    11 他人に迷惑をかけなければ何をしてもよいか
    12 貧しい人を助けるのは豊かな人の義務であるか
    13 現在の人間には未来の人間に対する義務があるか
    14 正義は時代によって変わるか
    15 科学の発達に限界を定めることができるか
    あとがき


    ----
    加藤尚武『現代倫理学入門』(講談社学術文庫、1997年)
    所在:中央館2F 請求記号:150//Ka86
    【OPAC:https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN15907575?hit=1&caller=xc-search

  • 1 人を助けるために嘘をつくことは許されるか
    2 10人の命を救うために1人の人を殺すことは許されるか
    3 10人のエイズ患者に対して特効薬が1人分しかない時、誰に渡すか
    4 エゴイズムに基づく行為はすべて道徳に反するか
    5 どうすれば幸福の計算ができるか
    6 判断能力の判断は誰がするか
    7 〈……である〉から〈……べきである〉を導き出すことはできないか
    8 正義の原理は純粋な形式で決まるのか、共同の利益で決まるのか
    9 思いやりだけで道徳の原則ができるか
    10 正直者が損をすることはどうしたら防げるか
    11 他人に迷惑をかけなければ何をしてもよいか
    12 貧しい人を助けるのは豊かな人の義務であるか
    13 現在の人間には未来の人間に対する義務があるか
    14 正義は時代によって変わるか
    15 科学の発達に限界を定めることができるか

  • 近代・現代で扱っている倫理学のトピックスを門外漢でもとっつきやすいようなテーマを切り口に話してくれる。

    本書は元々放送大学の教科書として用いられていたこともあり、入門書と言えど正直難解だと感じた。
    (これは学術書あるあるではあるが。。)
    特に物理学などと違い、答えを出すのでなく「こういう考え方もできるよね」と紹介ベースで終わらざるをえず、それも尚更ややこしくしていると思う。

    また学術書だから仕方ないが、個人の生活のアレコレというよりは立法や政治、社会倫理といった社会システムに関わる内容が多かったのでピンときにくかった。

    逆に現代社会が如何に倫理学をベースに創り上げられているかもよくわかったが。

    以上の取り組みにくさが個人的にはマイナスだったものの、理解できた内容はタメになるものだった。
    自分が漠然と判断していたものを論拠をもって整理してもらった感じ。

    章立ては以下。
    J.S.ミル の自由論をベースに「功利主義」を適用して主に論じられていく。

    1.人を助けるために嘘をつくことは許されるか

    2.10人を救うために1人を殺すことは許されるか

    3.10人のエイズ患者に対して特効薬が一人分しかないとき、誰に渡すか

    4.エゴイズムに関する行為はすべて道徳に反するか

    5.どうすれば幸福計算ができるか

    6.判断能力の判断は誰がするか

    7.・・・であるから、・・・・べきである を導くことはできるか

    8.正義の原理は純粋な形式で決まるか、共同の利益で決まるのか

    9.思いやりだけで道徳の原則は出来るのか

    10.正直者が損をすることはどうしたら防げるか

    11.他人に迷惑をかけなければ何をしても良いか

    12.貧しい人を助けるのは豊かな人の義務であるか

    13.現在の人間には未来の人間に対する義務があるか

    14.正義は時代によって変わるか

    15.科学の発達の限界を定めることはできるのか

    以下、いいなと思った内容。

    ・ 「・・・のために役立つ」という考え方はどこまで行っても終わらない

    ・人間の悪事には3つがある。他者への危害、他者への迷惑、自分への危害である。

    ・カントの分類わけ
     自己に対する完全義務
     他者に対する完全義務
     自己に対する不完全義務
     他者に対する不完全義務

    ・趣味について成り立つ相対性を、正義にまで拡張する事はできない

    ・我々は先祖が我々にしてくれたことを子孫にすることによって、この借りを返す。

    ・人々が価値観が変化すると信じていることは、価値判断以外の別の要素の変化であり、価値判断は本質的に変わらない。

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著者プロフィール

京都退学名誉教授

「2012年 『科学・文化と貢献心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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