孫子 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061592834

作品紹介・あらすじ

2019年10月YouTubeで話題!
「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」などの名言で知られる『孫子』。春秋時代の孫武が著わし、二千年以上も読み継がれた名高い古典は世界最古の兵法書として、また人間界の鋭い洞察の書として親しまれ、今日もなお組織の統率法や人間心理の綾を読みとるうえで必携とされている。本書は、従来の宋時代のテキストより千年以上も古い前漢武帝時代の竹簡文に基づく精密な唯一の解説である。

感想・レビュー・書評

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  • 難しい。

  • 中国、最高峰の古典。合理的で、無駄がない。戦争は手段であって目的でないなど、武人にあるべき先入観をもっていないことが、現代に伝わった理由ではないかとおもっています。

  • 和訳(現代語訳)文、訓読文、原著の漢文、注釈・解説
    が章ごとに並べてあるという構成

    最後に全編を通した解説の章が設けられている。

    本書の最大の特徴は、前漢時代の竹簡を原著に採用していることだろう。
    古典は後年に写本されたものほど改竄・改変の可能性が高くなる。
    実際、本書の注釈によると、一般的に用いられるテキストは孫子の主張の根幹にあたる部分も改竄されていることがわかっている。
    他の注釈本と比べて1000年以上古い竹簡本を採用している本書は、より正確に孫子の思想を反映しているといえる。

    注釈・解説がとても面白く、わかりやすい。
    原文のみではよくわからない部分も、当時の時代背景・軍事的背景の説明や孫臏兵法の引用などで補足説明されている。
    また最後の解説の章では、孫子とクラウゼウィッツの比較や歴史上の意味などについても考察があり、こちらも興味深い内容だった。
    とても良い本。

  • 最近のマイテーマ「戦争・戦略論」の自主課題図書。
    具体的な戦略については措いておいて。
    (現代とは事情が違い過ぎてなんとも言えない。真っ当感はあった。)
    1章・計篇とか3章・謀攻篇とかは、秀逸。
    太平洋戦争を始めてしまった日本に教えてあげたい。
    何故紀元前の人間に分かることが20世紀の「文明人」であるはずの人間が分からないのか。
    本当、時間が経過すればするほど人間って進化するわけでは、決して、ない、んだね。

    事前知識がほぼ全く白紙の私にとっては、解説がとってもお役立ち。
    先に読んどいてよかった。

  • 2.7

  • 本書に限らず原典を読むのがベストではあるのだろうが、エッセンスを仕事に活かしたいというような人は、ビジネス書として刊行されている解説本を読んだ方が手っ取り早いかもしれない。
    尚、著者曰く太平洋戦争の敗因は孫子の教えに悉く逆らったとのことだが、近代戦争において孫子の教えがどの程度有効なのかというのは別途検証が必要であろう。

  • 現代でも経営者らに読み継がれる古典中の古典。確かに深みのある言葉が多く、本質的な意味で「使える」思想に出会えるだろう。

    本書から受け取った教訓は、例えば、

    ★戦う前が大事…「彼を知り己を知らば、百戦して殆(あやう)からず」(p54、謀攻篇)、「勝兵は先(ま)ず勝ちて而(しか)る後に戦い、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む」(p62、形篇)。
    ★結果がすべて…「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」(p41、謀攻篇)、「上兵は謀(ぼう)を伐(う)つ」(p44、謀攻篇)、「小敵の堅(けん)なるは、大敵の擒(とりこ)なり」(p48、謀攻篇)。
    ★成功体験を反復してはいけない…「故に其の戦い勝つや復(くりかえ)さずして、形に無窮に応ず」(p106、虚実篇)
    ★他人に人生を委ねてはいけない…「故に兵を用うるの法は、其の来たらざるを恃(たの)むこと無く、吾が以て待つこと有るを恃むなり」(p144、九変篇)
    ★将たるもの相矛盾する性格を併せ持たねばならない…「故に将に五危(ごき)有り」(p146、九変篇)、「卒未だ塼親(せんしん)ならざるに而も之を罰すれば、則ち服さず」(p168、行軍篇)、「天の災いには非ずして、将の過ちなり」(p180、地形篇)

    これは座右の書だな。マストバイ。

  • 人類には早すぎる天才・孫武先生って感じでした。
    こんなに頭がいいのでは周りと話が合わずに孤独だったんじゃないかと。

    意外にも戦争については消極的な思想。

    戦争とは外交手段の最終手段であり、戦争は自国を消耗させるためなるべく戦争に至らずに解決すべき。
    ただ、一度開戦を選択したならば、準備期間を設けあらゆる想定をし勝利を確信するまで軍備を行い、開戦後は疾風の如く敵国に攻め入り短期決戦で戦争を終わらせる必要がある。

    このような主旨も面白かったが、何より面白かったのは

    奇抜な戦法で負け戦をひっくり返して辛勝を勝ち取る軍師は褒め称えられるが、入念に準備して問題なく毎度勝利を収める軍師は目立たないので人々の記憶に残らない。

    という主張。
    確かに(苦笑)
    会社でもそもそも問題が起きないように入念な準備をして粛々と仕事をしている人よりも、問題点をそのままにしていざ窮地に陥ってから解決する人の方が出世する(苦笑)

    面白いなー。二千年以上前の本なのに得ることが沢山ありました。

  • 数千年前のお話。
    どうすれば少ない犠牲で最大の成果が得られるかを探究し続けた人ではないか。
    決して戦争が好きな人ではないと感じた。

    数千年前ですよね?!ここまで内的要因、外的要因を分析し研究した人がいたとは本当に驚き。

  • 以下、3回通読したタイミングで記載。
    学び多く、流石2000年以上前から受け継がれているだけある内容だった。

    現代にも応用可能なエッセンスが詰め込まれている。ただそれを見出すには、行間の「なぜならば」を自分で補う必要があるだろう。そこで役に立つのが、著者浅野氏の解説。時代背景や見解を読み応えたっぷりに展開しており、これが孫子のエッセンスを自身のものに昇華する助けとなる。
    引き続き読み返していきたい。

    本を心技体で分類するならば、
    『自省録』を心の名著、
    こちらは技のそれと言えそうだ。

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著者プロフィール

1946年, 仙台市生まれ. 東北大学名誉教授. 中国哲学専攻. 『黄老道の成立と展開』(創文社, 1992), 『孔子神話』(岩波書店, 97), 『孫子』(講談社学術文庫, 98), 『儒教 ルサンチマンの宗教』(平凡社新書, 99), 『古代中国の言語哲学』(岩波書店, 2003), 『戦国楚簡研究』(台湾・萬巻樓, 2004), 『諸子百家』(講談社学術文庫, 2004), 『古代中国の文明観──儒家・墨家・道家の論争』(岩波新書, 2005), 『図解雑学 諸子百家』(ナツメ社, 2007), 『古代中国の宇宙論』(岩波書店, 2008), 『上博楚簡與先秦思想』(台湾・萬巻樓, 2008)ほか.

「2016年 『『甲陽軍鑑』の悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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