ニーチェとその影 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (1997年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (338ページ) / ISBN・EAN: 9784061592957

感想・レビュー・書評

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  • ニーチェについて書かれた著者の論文7編を収録しています。

    著者は、ニーチェの思想を内在的に読み解くだけでなく、ハイデガー、ホルクハイマーとアドルノ、ハーバーマスといった後年の思想家たちのニーチェ論を参照して、その思想の意義と問題点を明らかにしようとしています。

    ニーチェは、西洋の伝統思想における理性の偏重を批判した点で、シェーラーらの提唱した哲学的人間学と共通の課題をになっていましたが、人間存在の本性と呼ぶべきものを想定し、それをさがし求めた哲学的人間学とは一線を画しています。彼の「力への意志」は、みずからの本性が同一性のうちに回収されることをたえず乗り越えていく原理として考えられていました。しかしハイデガーは、そうしたニーチェの思想が、まさしくそうしたしかたで人間の本質を規定するという形而上学的な発想に陥っていると批判します。

    一方ホルクハイマーとアドルノは、芸術のうちに啓蒙的な理性の支配をすり抜けるような役割を見いだし、「非同一性」をめぐる思索を展開しました。これに対してハーバーマスは、ニーチェの反理性主義的な姿勢に、ロマン主義への退行を見て批判しましたが、著者はそうしたハーバーマスのニーチェ理解の性急さをいさめています。

    フーコーやドゥルーズなどフランス現代思想へのニーチェの影響についてはあまり触れられていませんが、ニーチェがその後の思想史的展開のなかでどのように理解されることになったのかということを見わたすために有益な内容だと感じました。

  • ★2.5かな。
    久しぶりにこの手の本を読んだのですが、まぁ四半世紀以上前に書かれた本でもあるのか、何かこうピントが合ってないなぁと率直に感じました。
    当方、給料生活に浸かって随分と経ってしまったこともあるのかもしれませんが、どうも現実感に乏しいというのか、多分これでは現在の学生を惹きつける議論ではないのでは?と正直思ってみたりして。
    あと、意図的なのか判然としませんが、こういう議論ってあの大戦の話をどこか回避しているようにいつも思うんですよね。この辺に本作に対する物足りなさがあるような気がする。
    うーん、こういう世界はあって然るべきだと思うんですが、市場社会が進化した現在に合わせていくというのは至難の業だなと思った次第で。

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著者プロフィール

三島 憲一(みしま・けんいち):1942年東京生まれ。東京大学人文科学系大学院博士課程中退。大阪大学教授、東京経済大学教授などを歴任。大阪大学名誉教授。専攻は社会哲学、ドイツ思想史。

「2024年 『資本論 第一巻 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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