本を読む本 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (1997年10月9日発売)
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  • 本 ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061592995

作品紹介・あらすじ

本書は、1940年米国で刊行されて以来、世界各国で翻訳され読みつがれてきた。読むに値する良書とは何か、読書の本来の意味とは何かを考え、知的かつ実際的な読書の技術をわかりやすく解説している。初級読書に始まり、点検読書や分析読書をへて、最終レベルにいたるまでの具体的な方法を示し、読者を積極的な読書へと導く。単なる読書技術にとどまることなく、自らを高めるための最高の手引書。

感想・レビュー・書評

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  • 1.著者;アドラーは、1902年生まれ。コロンビア大学を卒業し、シカゴ大学哲学科教授。エンサイクロペディア・ブリタニカ編集長等を歴任。教師が一方的に教えるのではなく、学生と共に古典を読むセミナーから影響を受けたそうです。もう一人のドーレンは、1926年生まれ。コロンビア大学を卒後。同大の英文科教授。ピューリッツァー賞受賞の伝記作家の甥です。
    2.本書;原書のタイトルは、“How to read a book”。専門書・教養書を読む技術が書かれています。“読む”事によって知識を得、理解を深め、優れた読書家になりたいと思う人の為に書かれた本。4つの読書レベル「①初級読書(初歩的な読み書きを学ぶ)②点検読書(拾い読み・下読み) ③分析読書(徹底的に読む) ④シントロピカル読書(比較読書法)」を解説。なお、小説の読み方は、後半に記載。四部構成です。第一部;読書の意味、第二部;分析読書、第三部;文学の読み方、第四部;読書の最終目標。
    3.個別感想(気に留めた記述を3点に絞り込み、私の感想と共に記述);
    (1)第一部中の『1.読書技術と積極性』より、「われわれ現代人は、情報の洪水の中でかえって物事の正しい姿が見えなくなってしまっている。・・理由の1つは、現代のマスメディアそのものが、自分の頭でものを考えなくてもよいような仕掛けに出来ていることである。・・この知的パッケージがよく出来過ぎていて、自分の判断を下す手間まで省いてくれるので、読者や視聴者は全く頭を使わなくてもすんでしまう。・・考える必要がなくなったのである」
    ●感想⇒著者のいうメディアは“テレビ、ラジオ、雑誌”です。「マスメディアによる、情報過多が理解の妨げとなり、物事の正しい姿が見えなくなっている」と言っています。確かに、テレビからは受動的に情報を受け取るだけで、情報が一方通行の場合が多いと思います。視聴者が情報を真に受けて、行動する場合があります。一例ですが、バナナの効用が放映された時、店頭からしばらくバナナが消えました。視聴率競争の名のもとに、先導的な事だけは止めてもらいたいと思います。我々も、物事の善悪を判断するモノサシを持たなければなりません。その為の手段の一つが読書です。著者が心血を注いだ書物を読んで、知識を学び、蓄積し、自分の価値基準を形成する事です。さらに、生きる糧を得られたならば、最高ですね。それには、受動的ではなくて、能動的な読書姿勢が必要でしょう。因みに、齋藤孝さんは、「読書は自己形成にとって強力な道である」とおっしゃっています。
    (2)第二部中の『10.本を正しく批評する』より、「自分の判断を下さない人間は、本当の意味で、学び得ない。読書技術の訓練を積んでも、本から学ぶ事は出来ない。“最も優れた批評家こそ最も良き読者”である。良き読者は、読み終えて、本に語り返し、自分自身の判断を下そうとする」
    ●感想⇒前述したように、本書には専門書・教養書を読む技術が書かれています。小説とは違い、知識習得を狙った読書です。従って、小説のように読み流すのではなくて、熟読し、中身を理解する読み方をしなければなりません。私は、専門書については、先ず全体把握の為に、流し読みです。次に、気になった箇所を黄蛍光ペンでラインを引きます。さらに、その中の重点を赤蛍光ペンでラインを引いて、吟味の上、感想を数点メモします。“感想⇒書いてみる⇒自分自身の判断をする”につながります。書出しは悩むものです。単語だけでも良いと考えます。専門書故に、こうしたやり方は、本の理解に繋がり、批評ができます。著者の言う“判断を下す”を大仰に考えなくて、感想で十分。自分自身の方法で楽しんでこそ、読書と思います。
    (3)第四部中の『15.読書と精神の成長』より、「精神の成長は人間の偉大な特質であり、・・精神の鍛錬を怠ると、“精神委縮”という代償が待っている。・・多忙な生活を送っていた人が、引退すると急に衰えがくることが多いのもこの為である。仕事一筋に生きてきたが、それは外側から人為的に支えられていたのである。その支えがなくなると、自分の中に精神的な貯えのない人は思考する事を全くやめ、やがて死が始まる」
    ●感想⇒私も“仕事中心の生活”を送ってきた方です。高校生の頃から読書を始めました。キッカケは恩師の言葉です。「岩波を読みなさい。岩波には難解な本もあるが、将来読み返しなさい。経験を積んで再読すれば、新たな発見があると思うよ」でした。私なりに、岩波の“白帯、青帯、赤帯・・”と色々と読みました。ルソーの社会契約論、ヘッセの車輪の下、等。現在は岩波に拘らず、色んな本を読んでいます。精神委縮という代償がない事を願い、読書し続け、いつまでも“精神の成長”を図りたいと思います。
    4.まとめ;著者は、「読むに値する良書を、知的かつ積極的に読む為の規則を述べたもの」と書いています。表面的に本を読むのではなくて、深く理解できるような読書術を紹介しているのです。やや専門書解説に偏りがちな内容ですが、小説の読み方にも言及しており、読書好きにはとても有益です。発刊して、80年経ちますが、類似本とは一線を画す示唆に富んでいます。例えば、“森を見てから木を見る読書法”等は、私も実践しており、同感です。本書は、ロングセラーというよりも、古典と言えるでしょう。読後のまとめは、“覚醒の感”でしょうか。 (以上)

    • まことさん
      ダイちゃんさん。こんばんは!

      読了されたのですね。
      ダイちゃんさんの、読書歴や、経験を踏まえた、素晴らしいレビューだと思います。
      私も、読...
      ダイちゃんさん。こんばんは!

      読了されたのですね。
      ダイちゃんさんの、読書歴や、経験を踏まえた、素晴らしいレビューだと思います。
      私も、読んだ本ですが、参考になるところの、大変多い、魅力的なレビューでした。
      ありがとうございました。
      はやいですが、来年もよろしくお願いいたします。
      2021/12/27
    • ダイちゃんさん
      まことさん、今晩は。ダイです。いつも、いいね❗️サイン頂き、ありがとうございます。その上に、お誉めコメントまで頂戴し、恐縮しています。まこと...
      まことさん、今晩は。ダイです。いつも、いいね❗️サイン頂き、ありがとうございます。その上に、お誉めコメントまで頂戴し、恐縮しています。まことさんの本棚を時々覗かせて頂き、参考にしています。こちらこそ、来年もよろしくお願いいたします。
      2021/12/27
  • 教師の手ほどきなしで、いかにして書物を最良の師とするか。この本はそのために書かれた本です。

    この本の論点の中心は、まず読書には四つのレベルがあるということ。

    〇初期レベル
    その文が何を述べているのかわかること。
    〇第二レベル
    点検読書。
    その本は何について書いたものであるか。
    それはどういう種類の本か。
    〇分析読書
    この本で主として扱う読書。
    取り組んだ本と完全に自分の血肉と化するまで徹底的に読みぬくこと。
    〇もっと高度の読書レベル
    シントピカル読書。
    一冊だけではなく、一つの主題について、何冊もの本を相手に関連付けて読むこと。

    この本で、主として扱われている分析読書はメモを取っていたら、ノート十数ページになりましたが172ページにまとめがありました。
    特に参考になったのは、
    「有為な読書とは理解のための読書であり、娯楽の読書は好奇心を満足させるだけの読書であること。良い本は読者にとって難解である。むずかしいくらいの本でなくては良い本とはいえない」
    「いま読んでいるのがどんな種類の本か知ること。フィクションか教養書か、理論の本は事実をを教え、実践の本は方法を教えるという本の分類の仕方」など。

    出てくる本が高度のものばかりです。
    例にとりあげられているのは、マキャベリ『君主論』アリストテレス『政治学』ユークリッド『幾何学原論』デューイ『思考の方法』他。

    そして一番読むのが楽しみだったのは、
    第3部 文学の読みかた。
    「隠喩の意味を理解するためには、行間を読まねばならない」というところ。
    「知識の伝達の真実性や一貫性をはかる尺度によって文学を批判してはならない」
    「ニュートンよりホメロスの方がはるかに理解しにくい」というところも勉強になりました。

    読書の第四レベルのシントピカル読書では、
    「同一主題について、例えば『愛』なら『愛』の主題について100冊もの本を読まないと実体をつかむことはできない。シントピカル読書の第一段階は主題に関連のある作品をすべて再点検し、読者自身の要求にもっとも密接なかかわりをもつ箇所を見つけ出すことである」と言うところがポイントでした。

    おわりに
    「本当に読書法や人間の生きかたを教えてくれるような本もたしかにある。100冊に1冊1万冊に1冊しかないかもしれないが著者が精魂をこめて書いたすぐれた本である。人間の永遠の問題に関する重要な内容を与えてくれる本である。すぐれた本の場合、再会したとき、本もまた、読者とともに成長したようにみえるものだ」とまとめられています。

    最後に感想ですが、私が今、主に読んでいるのは娯楽の要素が多い読書が多いとは思いました。でも、娯楽の読書からも学びはあると、私は思います。
    しかし、私も自分に残された未来の時間で何か自分のテーマを見つけて、分析読書やシントピカル読書というものをしてみたいと思いました。

    • ダイちゃんさん
      ダイちゃんと言います。いつも、“イイネサイン”を頂き、ありがとうございます。まことさんは、レビューを、ご自身の意見を踏まえ、しっかり書かれて...
      ダイちゃんと言います。いつも、“イイネサイン”を頂き、ありがとうございます。まことさんは、レビューを、ご自身の意見を踏まえ、しっかり書かれています。参考になります。この本は、まだ途中読みなので、再読します。突然の投稿失礼しました。
      2021/08/15
    • まことさん
      ダイちゃんさん。こんばんは!

      コメントありがとうございます。
      こちらこそ、いいね!をありがとうございます。

      ダイちゃんさんも、この本を読...
      ダイちゃんさん。こんばんは!

      コメントありがとうございます。
      こちらこそ、いいね!をありがとうございます。

      ダイちゃんさんも、この本を読まれているのですね。
      私もかなり長い間積んでいましたが、今年の冬にフォロワーさんの助言をいただき、やっと読了しました。
      頑張って読んでとても、よかったと思います。
      ダイちゃんさんのレビューも楽しみにしていますね。
      2021/08/15
    • ダイちゃんさん
      返信ありがとうございました。読了したら、レビューします。
      返信ありがとうございました。読了したら、レビューします。
      2021/08/15
  • アメリカで1940年に刊行されて以来、長年に渡り世界中で読み継がれてきた、本を読む方法について語る本。
    「本を読もう」ではなく「このように読みなさい」という、非常に合理的な学びの本だ。
    読書術、読書法というものが世に席巻するが、一読の価値は大いにあり。
    もしも過去に、読み切れなくて放置した本があるのならその原因が分かるだろう。
    (ワタクシはそうでした)
    述べられた通りに実行するのは容易ではない。
    ひとつでもふたつでも自分に出来ることからやれば、それでOKかと。
    その後、次の段階にあがれば良いだけのことだから。

    先ず、受け身の行為と思われがちな読書を「積極的な行為」として捉えている。
    そして初歩的なレベルからより高いレベルへと上がれるように、懇切丁寧に解説している。
    新しいレベルに行くたびに、前章までで学んだことを再確認してくれるという親切さも。
    学校に通う間は教師に頼れるが、卒業後の学びには読書が欠かせない。
    そこでどうしても読書の技法が必要になって来る。
    何のために読むのかという目的さえ分かっていれば、その目的にあった読み方があるという。その読み方の指南書だ。

    「初級読書」と「点検読書」、そして「分析読書」と続く。
    最終的には「シントピカル読書」というレベルを目指すのだが、本書で特にページを割いてるのは「分析読書」の部分。そこを箇条書きにしてみる。

    1.第一段階 何についての本であるか見分ける
    2.第二段階 内容を解釈する
    3.第三段階 知識は伝達されたか
     A 知的エチケットの一般的心得
     B 批判に関して特に注意すべき事項

    箇条書きにもほどがあるというものだ。
    1については、分類の仕方から解説。分類のためのカテゴリーがこちらの頭に入っていなければならない。大丈夫、ちゃんと書いてあるから。
    2は、何がどのように述べられているかを見つけること。
    キーワードや重要語を見つけ、著者の言わんとしていることを短くまとめてみる。
    3は、前2つが終わらないうちは批評にとりかかってはならないということ。
    そして、本に書かれたことが真実かどうか、それにどんな意義があるかを考える。

    理想的な読書に近づくには、たくさんの本の上辺だけをかじるのではなく、一冊でも良いからこの規則を守ってよく読むことが大切。
    ただ、熟読するに値する本も数多くあるが、それにもまして「点検読書」にとどめるべきものの方がずっと多い。
    本当の意味ですぐれた読書家になるには、それぞれの本にふさわしい読み方を見つけ、読書の技術を使い分けるコツを体得すること。それが著者の述べるところだ。

    そして、「文学の読み方」は、「分析読書」のあと別の章で解説されている。
    実は、ここはかなり笑えた。
    笑わせる目的などないはずだが、著者の解説だとこうなるのかと眼からウロコ。
    そうか、文学も積極的に読むべきなのね。
    面白く読めればそれでいいじゃないかと思われるでしょ?ええ、確かに。
    ところが読んでみると、それだけじゃなかったと気が付く。
    何しろこの本自体が読みやすくて面白いのだから。
    私は「点検読書」を先ず身につけて、選書眼を磨きたい。
    著者の高い品性を感じるかなりお役立ちの一冊。全ての本好きさんへぜひ。

    • nejidonさん
      まことさん、再訪して下さってありがとうございます!
      ああ、良かったです。
      私のレビューが読みたい意欲を削いでしまったらどうしようかと思...
      まことさん、再訪して下さってありがとうございます!
      ああ、良かったです。
      私のレビューが読みたい意欲を削いでしまったらどうしようかと思いました。
      以前にもお話したことがありますが「読んでみたい」「読んだよ」と言われるのが一番嬉しいものです。
      なので、レビューも極力そう思ってもらえるように載せています。

      この本も「読んでない本について・・」も、たぶん一気読みですよ。
      それほど面白くて、途中でやめられないと思います。
      じっくり時間をかけたら、むしろ集中力が途切れそうで心配です。

      まことさんの本棚に絵本や児童書がないように、私の本棚にも文章術や流行りの小説はありません。これはずっと変わらないことでしょう。違いがあるって楽しいですね(*^^)v
      無理せず、楽しみながら読んで参りましょう(^^♪
      本はいつでも待っていてくれますから!
      2020/05/22
    • yhyby940さん
      こんばんは。読書家を志す者(表現的におかしいかもしれませんが)にとって、バイブル的な本ですよね。ずいぶん昔に読んだんですが、私の読解力不足ゆ...
      こんばんは。読書家を志す者(表現的におかしいかもしれませんが)にとって、バイブル的な本ですよね。ずいぶん昔に読んだんですが、私の読解力不足ゆえ、理解できないところが多々あったように記憶しております。もう一度読み返してみようと思いました。ありがとうございます。
      2020/07/15
    • nejidonさん
      yhyby940さん、コメントありがとうございます。
      おお、この本はそういう立ち位置だったのですか!知りませんでした。
      読みたくて読んで...
      yhyby940さん、コメントありがとうございます。
      おお、この本はそういう立ち位置だったのですか!知りませんでした。
      読みたくて読んで、そしてたまたま面白かった、というレビューです。
      読み返してみると違う見方が出てくるかもしれませんね。
      私も読み返してちゃんと味わいたい本がたくさんあります。本て、いいですよね。
      こちらこそ、ありがとうございました。
      2020/07/15
  • 体系的な読書法がまとめられた一冊。
    学校の国語の教科書では文学が中心のため、ビジネス書や哲学書、雑誌といった本の読み方については教わることはなかった。
    小説などは楽しく読めたらそれでよいが、今年は小説以外の本にも挑戦していきたいと思いこちらの本を手に取った。
    1940年刊行の本だけあって文章は硬いが、具体的に説明してくれるので、とても分かりやすかった。

    本の読み方には4つのレベルがあるという。
    ◎レベル1:初級読書
    読み書きのまったくできない子供が、初歩の読み書きの技術を習得するためのもの。
    ◎レベル2:点検読書
    短時間で系統立てて拾い読みし、その限りでわかるすべてを学ぶこと。
    ◎レベル3:分析読書
    何についての本であるか見分け、内容を解釈した上で、著者に賛成するか、反対する。
    ◎レベル4:シントピカル読書
    1冊だけではなく、1つの主題について何冊もの本を相互に関連づけて読むこと。

    まず「点検読書」が大事。読書は選書から始まっていると言ってよい。人生の中で読める本は限られているから、大まかにその本の概要を把握し、次のレベル「分析読書」に値するかどうか判断するのである。多くの本が点検読書で十分だったのか、と少し驚いた。

    次の「分析読書」はほとんどやったことがない。ここでのレビューも読むのが小説なこともあり、自然と批評でなく感想文になる。批評するならば、書き手が伝えようとしていることを理解した上で、正しく批評しなければならない、ということが書かれていた。

    最後の「シントピカル読書」は、大学の卒論(卒研)のときくらいかな。普段の読書でここまで極められたらカッコイイね。

    読書から学びを得たいと思ったなら一読の価値がある一冊だと思う。

    • 1Q84O1さん
      ひろさん、何か勉強されてる〜!
      すごい!Σ(゚Д゚)
      ひろさん、何か勉強されてる〜!
      すごい!Σ(゚Д゚)
      2024/02/13
    • ひろさん
      本に夢中になって勉強に手がつかなくならないように、ちょっと難しめの本を選ぶ作戦です
      (*ノ>ᴗ<)
      本に夢中になって勉強に手がつかなくならないように、ちょっと難しめの本を選ぶ作戦です
      (*ノ>ᴗ<)
      2024/02/13
    • 1Q84O1さん
      なるほど~!w
      なるほど~!w
      2024/02/14
  • 初版は50年近く前の訳本としては、読みやすかった。が、書かれている読み方を理解して、実践できるには到底及ばないと感じた。難解な本が自分を成長させてくれる、心が豊かにならなければ学んだことにはならない、という言葉にはぐさり胸を刺された感じ。心豊かになる読書をしようと思った。

  • 「読んだ後に何も残らなかった」
    こんな読書を改善するために。

    読書の技法について書かれた古典。良い読者になるためには。そもそも、良い読者とは何か。読書に時間をかけた分だけ、知識や体験を得たり、それにのめり込む程の娯楽を味わったり、自らの思想や行動を考え直すような読書ができれば、良い読者と言えそうだ。

    4つの読書の方法。初級読書、点検読書、分析読書、シントピカル読書(比較読書)。それぞれを解説してくれる。結論、好きに読めば良いかな…というのが私の感想。理解できない本があり、理解したいと思うなら、おのずと分析読書をするからだ。問題は、理解できない理由だ。著者が悪いのか、読者が悪いのか。この対決は読書における永遠のテーマではないだろうか。

    本には、金儲けのために書かれたものもあるし、わざと難解な言葉を用い、読者を欺く作家もいる。酷いのは悪文を理解できたフリをしてマウントを取るような権威主義的な世界、これは読者側著者側、双方に生じ得る。

    本文ではないが、外山滋比古氏のあとがきにて、この著者vs読者の対決について少し触れている。私にとってはこちらの方が興味深かった。

    ー 若い人が読書をするのは、時間つぶしではなくて、自己を改造しようとしている場合がある。
    日本の読書がともすれば求道的になるのは、一つには不必要に難解な文章に耐えなくてはならなかったからだ。一読してすらすら頭に入るようなものは本格的な論文とはみなされない。晦渋であることが評価される。先進文化の優れたものは難解であるべきだ、悪文であっても良いのだと言う錯覚が一般化した。

    物理学者アラン・ソーカルによる文系が用いる難解な語句で書いたデタラメなポストモダン風論文、理解出来るはずがないのに、皆が有難がって読んだらしいが。読書家は恥を知り、読書の技法の前に、作法を知るべきだ。

  • 教養書(ビジネス書)、小説等を深く理解しながら読みこむための手引書。どちらかといえば前者の本がメインかな。

    わりと昔の本なので既知の内容も含まれていたけど、とても参考になった。とはいえ書かれていることすべて実践していたら自分には1冊読破するのにどれだけかかるやら(^^;

    内容はといえば…他の方がしっかり評価と感想を言われているので割愛(自分で書くには自信がない(笑)
    して…。

    まあ、教養書も小説も詩も、自分の身の丈に合わせて楽しみながら読みつつ、ここに書かれた『本を読む』ということに近づけていけたらいいなぁと思います。

  •  4部構成で、「本の読み方」がまとめられています。構成も「分析的に読む」、「文学を読む」など、読む対象ごとに章立てされていて、理解しやすいです。
     大学生の方に特にオススメしますが、本好きの方みなさんに読んで頂ければ、と思います。

  • 本を読むことは間違っていない、私の読み方は悪くない、こうやって読むともっと良くなる、が分かった本だった。

    本好きといっても、今年は特に知識を仕入れる本ばかり読み、文学は少なめだったため、読書好きといえないのではないか、という罪悪感をどこかに感じていた。
    しかし、この本で「受け身の読書などありえない」「読み手や聞き手はキャッチャー。キャッチャーは受け身ではない」という考え方を知り、確かにそうだと納得ができた。「読むのは学ぶこと」、「読書は手助けを借りない発見と同じ」と言ってもらえると、私の読書に無駄なことはないんだと再確認できて嬉しくなった。

    今年は、「情報を得るための読書」が多く、「理解を深めるための読書」が少なめだった。娯楽本は拾い読みで十分で、楽に読める本ばかり読んでいたら成長はないとあり、このあたりが、今年の読書のモヤモヤの原因なのかと思った。

    時間が限られていても、年に何冊かは重めの難解な本を読んだほうが満足感が高まるのではないかという気がしてきた。「難解な本を一度しか読まないで、多くのものを得ようとしているのが間違い」というグサリと刺さる言葉もあり、一度読んだら終わりではない書物を年1冊くらい見つけてみたいなと思った。

    また、小説は一気に読むもの、とあったが、それが難しい時期は、その時に読めるものを読めばいいのかもしれないとも思った。「文学が伝えるのは経験それ自体で、読む作業によってのみ得られる」とあり、本の種類によってどう読み方を変えていけばいいのか、今まで特に考えずに読んできたものを体系化していて、もっと色んな本を読みたくなった。

    拾い読みの多読、まとまった時間で世界に浸る小説、難解な教養書。大きく3つに分類できるが、来年は、そのバランスを考えながら選書していきたい。

    読書好きな人がこの本を読むと、読書していてよかったと思えるし、もっと読書に能動的になれると思う。今回は拾い読み気味で読んだので、次は精読してみたい。

  • 筆者が、大学生には習得しておいて欲しいという、高度なレベルの読書、シントピカル読書について興味があって読んだ。

    そこに至るまでに、読書の段階について、かなり詳しく説明してくれていて、予想以上に使える一冊だった。

    速読するにはどのように読むか、また論説文と小説の読み方の違いなど、なんとなくやってきたことが言語化されていて面白い。

    同じ主題で本を繋いでいくというシントピカル読書については、本探しが確かに難しいように思う。
    色んな本を読んでいても、私自身はあまり主題を意識して読んでいるわけではない。
    切り口を変えれば、主題は複数存在する。
    そんな中で、前に読んだ本との重なりを、朧げながら思い出す。でも重なりがあるということは、恐らくそこに名前を付けることが出来るんだろうと思っている。

    読書とはただ本を読むだけではないのだな。
    そして、読書の次の段階へと手を伸ばすことで、これまで読んできた本が再び輝きだすように思う。

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