魔女とキリスト教 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061593114

作品紹介・あらすじ

魔女とは何か?魔女の淵源は古代地中海世界の太母神信仰に遡る。それは恐怖と共に畏敬にみちた存在であった。時を経て太母神はゲルマンやケルト等の土着の神々と習合し、キリスト教との相克の過程で「魔女」に仕立て上げられていく。そして中世の異端審問、凄惨な魔女狩り…。民族学、神話学、宗教学、精神分析学等々、広範な学問の成果に立脚し、魔女を通じて探った異色のヨーロッパ精神史。

感想・レビュー・書評

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  • キリスト教が、魔女という概念をどのように認識してきたかを論じた本。キリスト教誕生以前、ユダヤ教の紀元前から遡って、現代までを網羅している。

    360ページほどだけど、馴染みない単語も多く。内容もギッシリと詰め込まれていて、読むのに2日を要した。
    内容は面白かったけど、読み進めるのは難儀した。

    キリスト教がヨーロッパ中に普及していくなかで、どのようにして土着の信仰に影響され変質していったかがわかる。
    キリスト教・伝道史の視点も大きい。

  • 北方ヨーロッパと南欧の違いが面白かった。なるほどなー。

  • 「魔女迫害は果たして資本主義の誕生のさいの陣痛に過ぎなかったのか。ヨーロッパ資本主義の成立と魔女迫害とは、同時代の双生児ではなかったか」 p. 379

    それが起きている時代背景をどれだけ考慮に入れられるかっていうのは、意識しようとしてもすぐにスッポ抜ける。ついつい個人に還元したくなってしまうような認識のバイアスというのは確実にあって、それに対するメタ視点を持つだけで充分なのか否か?というのは最近気になるところ。

  • キリスト教に関する講義のレポートを書くために読んだ本ですが、個人的に魔女裁判とかも興味のあるテーマなので、少し難しかったけどおもしろかったです。聖母信仰が古代の多神教における地母神信仰の流れを汲み、その地盤を踏襲する形で聖母信仰が広く受け入れられたという考えに、なるほどと思いました。

  • キリスト教発生初期から現代にいたるまでの、キリスト教と「魔女」の対立・取り込み・弾圧および反逆とその収束を纏めた一冊。

    とりあえず自分の知識が追い付いていない感が大きく、再読が必要か。

  • 魔女狩りについての先駆的作品である森嶋恒雄『魔女狩り』は「魔女の歴史を仔細に検討すれば、それは人類学や民俗学の長い別の物語となる。だが、幸いにして私たちの魔女裁判の歴史にとっては、そうした長い歴史を仔細に辿る必要はない」としている。これに対して「人類学や民俗学の長い別の物語」を仔細に辿ったのが、上山安敏『魔女とキリスト教』である。

    キリスト教は、地中海世界において母性宗教との闘争と妥協を繰り返しつつその勢力を拡大した。母性宗教との妥協は、ヨーロッパ精神の底流に古代異教の魔女崇拝を残存せしめた。近代へ向けて飛翔せんとする先進ヨーロッパ諸国において、なぜ魔女狩りが猖獗を極めたのか。上山は、この問題を考察する上で魔女についての人類学的・民俗学的知見は不可欠であると考える。

    こうした森島と上山の見解の相違は、魔女狩りとプロテスタントとの関係を論ずる際に顕著に現われる。森島は、「新しい魔女概念を創作したのも、またそれを異端審問に適用して魔女裁判を開始したのも旧教徒だった」「しかし、その魔女概念をそっくりそのまま受けつぎ、それにもとづいて魔女裁判を盛大なものにしたのは新教徒であった」と断ずる。ここでは、新旧教徒間に魔女概念の本質的相違はなく、魔女裁判が「盛大」になった理由は新教徒の宗教的不寛容に求められている。

    一方の上山は、プロテスタントはカトリックの魔女概念を本質的に変更したと考える。プロテスタントにとって、自然的災厄の原因はあくまで神意(自然の因果性)であり、魔女の悪行など迷信にすぎない。その結果、カトリックの宗教儀式に見られる対抗魔術的要素は排除され、迷信に基づいて社会的害悪を行わんとする魔女は徹底的に断罪された。こうして、一時的には魔女狩りを激化させたプロテスタントが、長期的には脱魔術的近代思想への道を開き魔女狩りを鎮静化させるという「複合的な役割」を果たしたのである。

    その背景には、南欧と北欧との民俗学的な魔女概念の相違がある。南欧型魔女はサバトや性的狂躁など集団的性格が強く、北欧型魔女は森などの周縁部に住み呪術によって天候や家畜に損害を与える孤立した存在であった。ドイツのプロテスタントにとってカトリックの南欧型魔女概念は重要ではなく、呪術によって社会的害悪をもたらす北欧型魔女こそが標的とされたのである。上山が民俗学的知見を重視した所以である。

  • “魔女”の成り立ちがよくわかる。
    キリスト教の介入も考えさせられた。

  • ヨーロッパの女性観の歴史。わかりやすくておもしろい。

  • 第五章まで読んだ(2009/11/14)
    今のところ、魔女とキリスト教というより、キリスト教と民間信仰という感じ。
    目次からみるに、魔女はこれからのよう。結構おもしろい。

    第六章まで読んだ(2009/11/15)
    1つ疑問。森島恒雄『魔女狩り』のいう『司教法令集(Capitulum episcopi)』と、この本のいう『司教法令』は別物?性格が真逆。「集」に違和感を感じていたから『司教法令集』と『司教法令』は別物な気がする・・・。あと、偽書の可能性があるだなんて言われて途惑った。

    ちょっと待て。P119L6・・・。P115はどうしてこんな書き方をしたのか?混乱した。『司教法令』は、「空想的な魔女」を否定しているの?肯定しているの?否定のため例を紹介したら、悪魔学者たちに利用されて、結果、魔女のイメージ固めに貢献してしまったのか?


  • こちらも卒論のための教本。
    ある程度知識を入れた上での、読み物ですね。

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