モンゴルと大明帝国 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (514ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061593176

作品紹介・あらすじ

中国最後の分裂時代、北族王朝の盛衰の中からチンギス・カーンはモンゴル帝国を建設・功臣・耶律楚材の改革を経てフビライの元が史上初めて征服王朝として中国を支配する。しかしモンゴル至上主義への反発から漢民族国家・明が興り、永楽帝による北方遠征や「鄭和の西洋下り」などで栄光の中華帝国を築く。豊富な史料をもとに英雄、皇帝たちの実像と歴史に翻弄された人々の姿を活写する五百年史。

感想・レビュー・書評

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    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    中国の元と明が本書では扱われている。征服王朝という単語を初めて聞いた。
    元は元寇としては知っているがそれ以外となるとマルコ・ポーロの東方見聞録での関連でしか知らなかったけれど、その成立はなかなか面白かった。
    単にモンゴルが支配したということではなくチンギス・ハーン死後の子供達への領土分配の結果、東アジア地域が紆余曲折を経て元となった事を知ることができた。
    また、元が紙幣を発行していることには驚いたし、前例に無いことを行っているのは征服王朝故であろうかと思う。
    明は元を打倒し、初期は北方侵攻や海洋進出などの大規模な外部進出を実施し、途中から内政充実に移行したようであるが260年近くも統治していたからか様々な文化や生産物が生まれ、陽明学という新たな思想も誕生しており、文明が新たな段階へと進むために必要な期間だったのだろうと思う。この部分を読んでいると日本の江戸時代との類似性を感じた。

  • 教科書にふさわしい概略に徹した歴史解説本
    扱う範囲はいつもの漢民族対騎馬民族に加えて
    貨幣経済化と世界の一体化のはじまりなので
    前代の宋期に用意された庶民生活の底上げ延長とも言える
    そこが明の唐代に比べて英雄的な著名人の活躍欠く印象なのかもしれない

  • 世界帝国としてのモンゴルと、その一部から成った元とではずいぶんと差があるものだなと改めて知る。他民族を征服するは易く、統治するのは難しと言うことも。
    明代は“資本主義”の胎動がそこにあり、農業中心の国家運営が成り立たなくなったことを教えてくれた。
    それらの象徴が陽明学の教えなのだろう。現実主義的なその考え方は、欧米の資本主義胎動期に起きた実利的な思想に通じるものがあると感じた。

  • この本は1974年に講談社から出版された『中国の歴史6、元・明』を加筆・修正をし、文庫化されたものです。本書では遼(916-1125)・金(1115-1234)・モンゴル帝国(1206-71)・元(1271-1368)・明(1368-1644)と幅広い時代について書かれています。中心はタイトル通り元と明についてです。幅広い時代を書いてるせいか、政治史一辺倒の傾向がありますが、概説書として読むならなにも問題がない本でしょう。

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