漂流思考: ベルクソン哲学と現代芸術 (講談社学術文庫 1333)

著者 :
  • 講談社
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 21
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061593336

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ベルクソン哲学を「交通論」として読み解き、それを発展させた美学思想を展開している著者が、現代芸術について考察をおこなっている本です。

    著者は、ベルクソンの思想を現在・過去・未来という3つの側面から見つめることで、「感性的過剰」「痕跡的過剰」「予見不能な無の過剰」という3つの動性をとりだします。そのうえで、ジョン・ケージやマルセル・デュシャン、イヴ・クラインといった現代アートの旗手とされる人びとの作品について考察をおこない、芸術のなかに生きている動性を解釈しています。

    さらに著者は、バルトやエーコ、リオタールやドゥルーズといった思想家たちを参照しながら、とくに芸術を演劇的にとらえつつ、既存の枠組みを超え出ていくダイナミズムが現代思想のなかでどのような仕方で論じられているのかを明らかにし、あらためて現代アートのもつ意義について考察をおこなっています。

    エーコの鏡像論とバルトの写真論を対比的に論じた最終章は、かなり難解で著者の主張していることがよく理解できなかったのは残念でした。ただ、バルトが『明るい部屋』のなかで写真に刻印された「死」を弁証法的に乗り越えることは不可能であり、それに対するにはただ「愛」をもってするほかないと論じているという著者の説明は、強く印象づけられました。

  • 借り物

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1950 年香川県生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。同大学院文学研究科美学美術史学
専攻博士課程単位取得満期退学。京都大学文学部助手、大阪芸術大学助教授、東京芸
術大学専任講師、京都大学大学院人間・環境学研究科教授などを経て、現在、京都市
立芸術大学客員教授、高松市美術館館長。文学博士。前美学会会長。著書に『漂流思
考─ベルクソン哲学と現代芸術』『ベルクソン─〈あいだ〉の哲学の視点から』『空海
と日本思想』『まず美にたずねよ―風雅モダンへ』など

「2016年 『講座スピリチュアル学 第6巻 スピリチュアリティと芸術・芸能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

篠原資明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×