蛇 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061593787

作品紹介・あらすじ

古代日本は蛇信仰のメッカであった。縄文土器にも活力溢れる蛇の造形がたくさん見られる。蛇に対する強烈な畏敬と物凄い嫌悪、この二元の緊張は注連縄・鏡餅・案山子など数多くの蛇の象徴物を生んだ。日本各地の祭祀と伝承に鋭利なメスを入れ、洗練と象徴の中にその跡を隠し永続する蛇信仰の実態を大胆かつ明晰に検証する意欲的論考である。

感想・レビュー・書評

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  • 少々こじつけの部分もあるけど、生活に組み込まれているものは蛇を元にしているものが多いというのは興味深かった

  • 蛇にまつわる古語の由来や造形物、風習などへリンクさせていく内容は知的に面白いものの、推察に次ぐ推察で、根拠としてはかなり乏しい印象があるのは否めません。フロイトの精神分析を読んでいる気分と言ったら伝わるでしょうか。「まぁそういう見方もできるかな?」くらいの感覚で読んでいくのが良いのかと思われます。

  • 他の方々が書かれているように、「それからその結論を導き出すのは無理があるのでは?」という点も散見されるものの(素人判断だが)、日本で生活している上で何となく納得のいく点もあり(思い切り素人判断だが)。
    陰陽五行などは詳しく知らないので、専門家が「そういうものだ」というなら「そういうもの」なのかもしれない…。
    もう少し知識を足してからまた再読したいと思う。

    龍蛇というと、割と様々な宗教で信仰対象にされたり逆に悪者扱いされるメジャーなモチーフなので、その辺を軸に世界各地の宗教を眺めるのは面白いかもしれない。

  •  正直なところ、論証する作法としてはどうなの、という部分が多分にあった。そもそも、かなり結論ありきで書かれている気がする。推量に推量を重ねて結論を導き出したり、ある地域の習俗に関して立てた仮説をそのまま別の地域にも当てはめるなど、日本にはかつて強力な蛇信仰を行っていた人々がいて、次第に恐れや嫌悪が強まったことで覆い隠されたが、言葉や習俗の裏にはその名残が残っているのだ、という自説に執着し過ぎて支配されているのではないか。
     論証に関しては強行突破が過ぎると思う一方で、あらゆるものが次々と蛇に結び付けられていくのは読んでいて面白かったし、視点の一つとして興味深かった。言語的なアプローチを試みたり、習俗から蛇の生態を模したと見られる要素を取り出してみたりと、あらゆる観点から蛇の要素を掘り起こしていく過程、またその作業に付随して触れられる膨大な情報については素直に楽しめた。

  • 注連縄は蛇由来!? 鏡餅も!? あれも!? これも!?
    大胆な検証がなされている一冊
    あなたの周りには蛇に由来するモノで溢れているのかもしれません
    (読プロ現役学生:はんぺん)

  • 範囲が広すぎる。
    カガミとヘビの関連性の部分はおもしろく読めたのだが……。

  • 日本の蛇信仰の本。色々発見あり面白い本だけど、一つ一つ調べながら読んでいて、全体的な部分がイマイチ頭に入ってなかったので再読しなくちゃ。

  • (市×/県?)

  • 本屋さんでタイトルに惹かれて購入。
    「蛇 -日本の蛇信仰-」ってなんかグッと来ませんか!良いタイトル&テーマですよねー。
     
    (本屋さん曰く”民俗学系の文庫でかなりオススメの本なんですが、POPも書かず、説明も特にしてないのに非常によく売れる”とのこと)

    この本は、
    古代日本の蛇への信仰が、今も残る習俗・言葉にどう残っているのか?
    をまとめています。
     
    人間が蛇を怖がるのは、
    昔恐竜に追い回されていた記憶が残っているからだ、
    なんて記述がドグラ・マグラにありますが、
    確かに蛇に対して感じる不気味さ、怖さというのは、どこか本能的なもののような気がします。
     
    蛇に関する伝承は、
    古代日本やインカのように畏れ敬うか、
    それともキリスト教のように嫌悪し排斥するか、
    と真っ二つに別れるのは、
    この本能的な怖さのせいかもしれません。

    この本には、
    鏡のヤマト読みの”かがみ”は、
     ”かが”(蛇の古語)+”め”(目)
    が元々の意味であり、蛇の目を模したものである、や、
    鏡餅はとぐろを巻く蛇の姿を模したものである、
    など、今まで知らない説が書かれていて、
    実に興味深く読みました。

    記紀などの資料の引用から、結論を導いていくのですが、
    なかなかその過程が楽しいです。
    (ただ、現代語訳が書かれていない個所があるので、
    ちょっと時々辛いものがありましたが。。) 
     
    また、なぜ現代に本来の意味が残っていないのか?
    という類推、古代日本の人々の死生観と蛇への考察なども、
    ボリュームがあって楽しめました。

    いやー面白かった。

  • 古代縄文から日本人は蛇を信仰していた。忘れられた信仰の原点に迫る内容が興味深かったです。やや強引な部分も見られましたが、箸墓伝説に出る蛇の話や案山子や注連縄、鏡もちなど身近なものまで蛇信仰の名残のようなものが感じられて、奥の深い研究だと思いました。これを読んでから出雲や諏訪に行くと面白いかもしれません。

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著者プロフィール

吉野 裕子(よしの・ひろこ) 1916年東京に生まれる。1934年女子学習院、1954年津田塾大学、各卒。 1975~87年学習院女子短期大学非常勤講師。 1977年『陰陽五行思想からみた日本の祭』によって東京教育大学から文学博士の学位を授与される。 2008年没。 著書:『扇』(初刊1970年、再刊1984年、人文書院)、『隠された神々』(初刊1975年、再刊1992年、人文書院)、『陰陽五行思想からみた日本の祭』( 初刊1978年 再刊2000年、人文書院)、『五行循環』(人文書院、1992年)『十二支』(人文書院、1994年)、『ダルマの民俗学』(岩波新書、1995年)、『陰陽五行と日本の天皇』(人文書院、1998年) 、『易・五行と源氏の世界』(人文書院、1999年)、『古代日本の女性天皇』(人文書院 2005年)『吉野裕子全集』(全12巻、人文書院、2007~2008)など。

「2021年 『十二支 新版 易・五行と日本の民俗』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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