円仁 唐代中国への旅 (講談社学術文庫)

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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061593794

作品紹介・あらすじ

慈覚大師円仁の著わした『入唐求法巡礼行記』は、日本最古の旅日記で、世界三大旅行記の一つともされる。五台山への巡礼、長安資聖寺での生活、廃仏毀釈の法難。九年半にわたる円仁のさすらいと冒険の旅の記録は、唐代動乱の政治や庶民の生活を克明正確に描写する。本書は、この旅行記の魅力と歴史的価値を存分に論じるライシャワー博士畢生の研究の精華である。

感想・レビュー・書評

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  • 9世紀の中国(唐)を旅した日本の僧侶・円仁。彼の遺した日記は、詳細な見聞録となっている。この本は、米国の歴史学者による、日記の研究成果である。
    長期滞在権をめぐる、官吏との攻防戦。 中国の人々から受けた丁重なもてなし。「仏教弾圧」に翻弄された日々。といった円仁の足跡を、ライシャワー氏による状況説明と共につまみあげていく感覚を覚える。時にうろたえ、時に駆け引きをし、時に落胆しつつも生きていく人々。その中を、歩き・見て・書き続けた円仁。円仁の営みと日記にまなざしを向け続けるライシャワー氏。 この本を作り上げている三者の姿。それは、派手さのない人間の営みも、「まなざし」に値するものであることを静かに訴えかけてくる。そのうちに、日々の営みを作り出す人間が、いとおしい存在に思われてくる。
    ・外国にあこがれている ・中国仏教史に興味がある ・人間の、人間臭さに触れたい方に、ぜひ。
    (文学部 P・N:蹄鉄 さん)

    ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/TW00136179

  •  遣唐使と共に唐に渡った日本の僧円仁によって著された、当時の中国の様子が手に取るようにわかる「入唐求法巡礼行記」を研究したものである。著者のライシャワー氏はアメリカの元駐日大使である。

     この巡礼記は円仁が唐を修行旅行したときの日記であるが、当時の中国の様子がいきいきと描写されており、かの有名なマルコポーロの「東方見聞録」よりずっと詳しいという。日本最古の旅日記で、世界三大旅行記の一つといわれる。(もう一つは玄奘三蔵の「大唐西域記」)

     この「入唐求法巡礼行記」だが、日本においてもあまり知られていないそうだ。それに注目したライシャワー氏はさすがだ。大使でありながら、やはり学者の素質が大きいのだろう。父親も学者だったという。ライシャワー氏はこれを漢文の原書を読み、それを英訳したのだから凄いといわざるを得ない。

     私は円仁はついては名前だけ茲覚大師ということで聞いたことはあったが、こんなに素晴らしい旅の日記を残していたことはこの本で初めて知った。確かに詳細な記録である。以前玄奘三蔵の伝記「大慈恩寺三蔵法師伝」の前半部分である、慧立著「玄奘三蔵」を読んだ。これは詳細な旅の記録ではあるが、人や文化、土地土地についての描写が少なかった。マルコポーロの「東方見聞録」は未だ読んでいない。

     比較してみると慧立の「玄奘三蔵」は難しくて読み進めるのが大変だったが、「円仁」は大部でありながら最後まで飽きさせなかった。またライシャワー氏によると当時の中国(唐)については、マルコポーロより円仁の方がはるかに詳細に、しかも正確に記述しているそうだ。確かに面白かった。

     当時そういう日本人僧がいたということを我々は誇りに思うべきであると思った。機会をみて「東方見聞録」にも目を通してみたい。

  • 目次:第1章 円仁の日記、第2章 円仁-巡礼と師父、第3章 遣唐使、第4章 円仁と中国官吏、第5章 唐における生活、第6章 大衆の仏教、第7章 仏教弾圧、第8章 中国における朝鮮人、第9章 帰朝

  • 圓仁の旅行記はずいぶん昔に数ページ読んで挫折した記憶があるが、それを絶賛し、ドクター論文にまでしたのがライシャワーであったということは割と最近まで知らなかった。ライシャワーは日本大使としての印象しかなかったし、その印象も私には薄く、しかもあまりよい印象とはいえなかったので、この本を読もうという気になったのは、気まぐれもいいところである。しかし、腰を落ち着けて読んでみたいと思わせるものがそこにはある。ライシャワーへの私の印象もずいぶん変わった。歳のせいかもしれない。そもそも若いうちにこんな本を読んでみたいとは思わないだろうし。

  • 9世紀、遣唐使に同行した僧、円仁が
    当時の唐社会の様子を鮮明に記録した旅行記
    『入唐求法巡礼行記』。

    ライシャワー氏がこの研究をまとめたもの。

    長いしちょっと文章・・・
    たまに?なところがある。

    でも興味深くて、原本を読みたくなります。

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