- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061594029
作品紹介・あらすじ
『源氏物語』と双璧をなす平安女流文学の珠玉、『枕草子』。「春は曙」に始まる自然と人生に対する鋭い観察眼、限りない愛着と犀利な批判。独自の感性と文才とが結実した不朽の随筆は、宮廷生活の光と陰を鮮やかに描き出す。本書は、三巻本系統で冒頭に大きな欠脱のない第二類本の弥富本を底本に、詳細な語釈と余説、現代語訳を施す。
感想・レビュー・書評
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『枕草子』を滅茶苦茶詳しく解説してる本。
・原文
・注
・現代語訳
・余説
の順に『枕草子』の一段一段を噛み砕いていく(ときおりイラストがありこれが地味に助かります)
ですので『枕草子』を詳しく知りたいという方におすすめです。
ただ、手っ取り早く内容が知りたいという人には向かないかもしれません。
とにかく読むのに時間がかかる(現代語訳だけ読んで後は読み飛ばせばいいですが)
ただ『枕草子』は面白いので、現代語訳だけだと物足りなく感じる時があります。
そんなとき本書の注や余説を読むと知見が拡がり満たされます。
例えば上巻の82段「職の御曹司におはしますころ、西の廂にて」ですが、これの余説が面白い。
この段は謎の女法師が現れたり、雪山を作ってそれがいつまで残るか賭けをする話ですが、せっかく残った雪山の残骸を定子様が捨ててしまうのです。
これがなんでだという話なんですが、定子様の慧眼と愛情と、それを清少納言が後に気付いて感謝してこの話を残したという説は感動です。
これの余説がなかったら、女法師と雪山の関連が分からず何だったんだこの話で終わりでした。『枕草子』の中でも特に好きな話になりましたね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
枕草子、初めて読んだ。面白いんだけど続きでない文章をずっと読み続けるのが大変でP150あたりまでで断念。
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「春はあけぼの……」という書き出しから始まる、日本を代表する古典随筆。きっと中高時代に暗唱した人も多いのでは?
大学生になった今、改めて読んでみると新しい発見があるかもしれません!
現代語訳・図解付きです。
↓貸出状況確認はこちら↓
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/TW00143979 -
齋藤孝著『大人のための書く全技術』40冊―13
自分が「これはおもしろい!」と思ったことを書き記していくのがエッセイの出発点なのだと言うことを教えてくれる作品。 -
有名な出だしから始まる随筆。宮廷での生活風景が垣間見れる。また、いろんなことの感覚も近いものがありますね。
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清少納言の知性、感性、観察眼には惚れ惚れする。でも原文は読みにくい。
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三巻本系統の弥富本を底本とする『枕草子』。弥富本を底本としている全訳注『枕草子』ということだけでも希少価値があるので、おススメしないわけにはいかないだろう。
文庫本で出版されている『枕草子』で、全章段の原文を掲載しているのは岩波文庫版『枕草子』、角川ソフィア文庫版『枕草子―付現代語訳』(上下巻=全2巻)、そしてこの講談社学術文庫版『枕草子』(上中下=全3巻)の3タイプ。これを単純に比較することはできないのだが、あえてページ数と価格で比較すると以下のようになる。
岩波文庫版は392ページで840円(ページ単価=2.14円)
角川ソフィア文庫版は937ページで1,880円(ページ単価=2.01円)
講談社学術文庫版は1,345ページで4,359円(ページ単価=3.24円)
※参考として、ページサイズは約2倍になるが、全集版と比較すると、小学館の新編日本文学全集18『枕草子』(1997年刊)は542ページで4,680円。文庫と単行本の字数を合わせるために、ページ数を倍に見立てて単価を出すと4.32円。
これをコストパフォーマンスとして考えれば角川ソフィア文庫版が最も優れているということになる。しかし、岩波文庫版は1962年刊、角川ソフィア文庫版は1979年刊、講談社学術文庫版は1999年刊。発行年を研究の新しさと考えると、講談社学術文庫版が最も新鮮ということに。どれを購入するかは自由、それぞれに良い所がある。そして、より理解を深めたいという気になれば、各文庫の『枕草子』を読み比べるのも愉しい。 -
お恥ずかしい話20才になるまで読んだことなかったんです。古典すっごい苦手だったんで。で、田辺聖子や橋本治の枕草子を読んで本物も読んでみようと思い手にとりました。現代的すぎます。古典のくせに。わたくし源氏物語がいまいちピンとこなくて、枕草子もお仲間かとおもってたんですがすごくモダン、感覚的。平安時代の女性のイメージがちょっと崩れます。そういや春は曙からの超有名フレーズだってよく考えればおもしろいな、と。この学術文庫は解説も多いのでおすすめです。解説や現代語訳ないと古典さぱりな私には少なくとも無理。ちなみにこれを題材にしたthe pillow bookという映画があります。枕草子からこんなんつくる外国人の感覚にもびっくりですが(そして映画中の誤った日本像は笑える)、なんとなくそういう実はモダンすぎるという枕草子のテイストは伝わってくると思います。なお、ピローブックをwebで検索すると破廉恥な感じですのでお気をつけて
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枕草子が好きだ。和歌を除くと学校で初めて習った古典は「春はあけぼの」。はきはきとした文章と鋭い観察眼に惹かれた。
後に定子や公達との知識の応酬を見るにつけ、また裏にあった定子との深い絆を知るにつけ、どんどんこの作品が好きになった。「春はあけぼの」もいいが、そういう人間ドラマを知らせた方が、古典に興味を持ち、学ぶきっかけになると思うのだが。
20段の「清涼殿の丑寅の角の」は好きな作品のひとつ。既に定子は微妙な立場におかれていた時期なのに、決してその影を表さない清少納言の筆致に、彼女と定子の強い絆が見えるようだ。