茶と美 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061594531

作品紹介・あらすじ

茶の心、美の本質に深く迫るには、物にじかに「触れ」、「観る」ことが大切であると説く。そして、名器「喜左衛門井戸」を観てその美を発見し、さらに日本美の共通の基準「渋み」を提唱した、初期の茶人達を高く評価する。さまざまな角度から美を論じつつ、現代の茶人に対する厳しい要求をつきつける辛口の評論集。

感想・レビュー・書評

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  • 「とりあえずやってみるといいよ」というような指南というか育成的なメッセージがまずある。そしてその後の内容は読者(後ろ)を振り向かず龍のように昇り去ってしまう、そんな印象だった。
    著者の触れてる内容を「少しはわかったかな」と思う度に読み返してみたいし、その度に返り討ちにあいたい。

  • 美学について書いてある本で一番愛し、尊敬しています。

    「~実際幾度か自らを忘れる、かかる異常な出来事によって、この世の優れた作品は得られたのである。彼らは真に彼らの愛するものを作ることに自らを没したのである。吾々はそれらの作に包まれた熱情を冷ややかに見過ごしてはならぬ。愛なくしてどうして美が生まれこよう。~」

    「~真によき器とは同時に美しき器との意であらねばならぬ。功利の世を越えて、愛が陶工の胸に充ちる時に、彼は優れた作を生むのである。真に美しい作は作ることをそれ自らを楽しんだ時に生れるのである。~」

    ここは、陶器について書いてある部分ですが、大好きで何度も読んでいる所です。抜粋した所だけ読むと、非常に優しくロマンチックに聞こえるかもしれませんが、読んで頂くと、柳氏の美に対する愛と感性は、非常に厳しく、眼光鋭く、1点の曇りも許されないほどの真剣さをもって語られています。

    とてもではないですが、私など及びもつかないような方々さえもバサバサと切っていかれるのですが、一貫して流れる確かな観察眼と美に対する愛と感性は、本当に素晴らしいと尊敬しています。

    私の絵に対する迷いにいつも答えてくれる本でもあります。
    自分の興味があるのが、「美術工芸」の分野ということに意識させてもらった本でもあります。

    この本の中にでてくる「工藝的な絵画」を目指して、まだまだ及びもつきませんが、勉強しつづけていきたいと思っています。

  • 茶人にとって茶道具は隠すものではない。柳宗悦『茶と美』(講談社、1986年)は茶道具を秘蔵する性向を批判する。

    「真に物を愛する者は必ずや悦びを人々とも分かちたいであろう。見せない態度より、見せたい態度の方が遥かに自然である。また、気持ちとしても明るい」(92頁)。

    その上で、「徒に秘蔵するのは茶の精神に悖る」とし、「茶人の趣味は変態であってはならぬ」と茶道具を秘蔵したがる趣味を変態と切り捨てる(93頁)。

    誰が所有したかという事実も茶道具の来歴を示すものとして重要である。紛争の対象となった事実さえ、茶道具の価値を高めるものになる。墨蹟「流れ園悟」は堺の豪商の谷宗卓と伊達政宗が所有権を争い、古田織部が二分割して分けた。この事実が「流れ園悟」の価値を一層高めた。「流れ園悟」は北宋の禅僧の圜悟克勤(えんごこくごん)の墨蹟である。桐の古筒に入れられて薩摩の坊津に流れ着いたという伝承から「流れ園悟」と呼ばれる。

  • 難しすぎる…

  • 良書。字は小さいし、分厚いし、とっつきにくいかな〜?と思ったけれど、意外にも読みやすく、とても興味深かった。美しいと思うこころ、ものの価値についての考えをすっきり、クリアにしてくれた。

  • 柳 宗悦の民芸、特に陶磁器への温かい心が感じられる。

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著者プロフィール

柳宗悦(やなぎ・むねよし):1889-1961年。学習院高等科在学中に雑誌「白樺」創刊に参加。主に美術の分野を担当した。東京帝国大学哲学科を卒業後は宗教哲学者として活躍。濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチ、富本憲吉らと出会い、「民藝」という新しい美の概念を打ちたてた。眼の人として知られるが、柳のまなざしは、物の美しさだけではなく、物を生み出した人や社会にたえず注がれていた。

「2023年 『新編 民藝四十年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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