龍樹 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061595484

作品紹介・あらすじ

一切は空である。あらゆるものは真実には存在せず、見せかけだけの現象にすぎない。仏教思想の核心をなす「空」の思想は、千八百年前の知の巨人龍樹により理論化された。インド・中国思想に決定的影響を与え、奈良・平安仏教でも「八宗の祖師」と讃えられたその深く透徹した思考が、仏教学・インド哲学の世界的権威の手で、『中論』全文とともに今甦る。

感想・レビュー・書評

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  • ナーガールジュナ(龍樹)は、大乗仏教の根幹にある「空」を徹底的に考え、理論化した。でも、こういう宗教の教義に関する議論って、門外漢には、前提となる知識がないと何を議論しているのか、全く分からない。というところを、中村元先生が、相当に分かりやすく、かゆい所に手が届く解説をしてくれる。

    で、「空」とは、なにかというと、冒頭部分で、「大乗仏教は、もろもろの事象が相互依存において成立しているという理論によって、空の観念を基礎づけた。・・・大乗仏教、とくにナーガールジュナを祖とする中観派の哲学者は次のように主張した。ー 何ものも真に実在するものではない。あらゆるものはみかけだけの現象にすぎない。・・・あらゆる事物は他のあらゆる事物により条件づけられておこるのである。したがって空とは、あらゆる事物の依存関係にほかならない」と書いてあって、もうこれだけで、目から鱗が落ちまくる。

    ということで、最初の数ページを読めば、もうそこでナーガールジュナの思想は分かってしまう。では、あとの数百ページ、何が書いてあるかというと、その思想をテクスト自体とさまざまな解釈本のテクスト、そして当時の仏教思想のコンテクストとの関係、さらにはキリスト教などでの論争やラッセルなどの論理哲学との関係において、多層的に読み解いていく訳で、相当に知的にスリリングな読書体験だった。

    仏教の教義の解釈論的なところは、面倒な部分もあるが、中村先生は、文献的な解釈をしっかりと行いつつ、常に本質的な議論に戻っていくので、素人でもなんとかついていける。

    中村先生の、仏教に関する知識の深さと世界的な視野の広さの両立、そしてそれを平易に伝える能力は、本当に希有なものだったと改めて認識。

  • 人類が到達したあらゆる思想の中でも最も奥深いといっても過言ではない偈頌の訳と解説。
    思想詩ともいってよいこの論を理解するための入門書。

  • 龍樹と中論、そして彼の解いた空についての正しき解説書といった
    趣の本。きちんと原典に当たり、わからないことはわからないまま
    提示するという、実に信頼の置ける至極真っ当でぶれない本。

    ただそれゆえに読んでて面白いかどうかはかなり人を選ぶような
    気がしたな。同じ龍樹と中論を扱った本だと前に読んだ仏教の思想
    シリーズの該当巻の方が読み物としては面白かった。

  • 龍樹(ナーガルジュナ、150年前後、2世紀の人)についての本で、『中論』を中心に「空」の思想を縁起を中心に解説したもの。ポイントは『中論』以前は、縁起を時間的因果関係としていたが、『中論』において縁起を(共時的?)相互依存の関係ととらえなおしたことで、これによって、説一切有部という主流派の超時間的な実在を否定し、妄念によって構成されたものとした。したがって、ブッダでさえ幻とされる。要するに西洋中世の普遍論争と同じような構図があるんである。後世の禅が「仏に遭っては仏を殺す」というのが分かった気がする。中国ではクマラジーヴァの訳や吉蔵の解説で空の思想は学ばれており、「空亦復空」と空を実体視することをとくに邪見としたことが書いてある。『中論』の訳がはいっているが、はっきり言ってこれを読んでも何をいっているかよくわからない。

  • 有に対立するのが空なのではなく、無である。
    中観は、主に説一切有部の法有を批判であり、有と無のどちらも否定し、それらは相依関係にあり(縁起に依り成立し)、そのため無自性であり、即ち空であるとする。そのため空は中道であるといわれる。
    中国の天台宗で説かれた仮諦・空諦・中諦という三諦の思想は中観には存在しない。
    ナーガルジュナはさらに空も否定した。

    空の中には何ものも存在しない。しかもあらゆるものがその中から出て来るのである。それは鏡のようなものである。
    実質についていえば、「空」の真の特質は、「何もないこと」であると同時に、存在の充実である。それはあらゆる現象を成立せしめる基底である。

  • 龍樹 (講談社学術文庫)

  • [ 内容 ]
    一切は空である。
    あらゆるものは真実には存在せず、見せかけだけの現象にすぎない。
    仏教思想の核心をなす「空」の思想は、千八百年前の知の巨人龍樹により理論化された。
    インド・中国思想に決定的影響を与え、奈良・平安仏教でも「八宗の祖師」と讃えられたその深く透徹した思考が、仏教学・インド哲学の世界的権威の手で、『中論』全文とともに今甦る。

    [ 目次 ]
    1 ナーガールジュナ(龍樹)の生涯(『龍樹菩薩伝』;プトンの伝えるナーガールジュナの生涯;ターラナータの伝えるナーガールジュナの伝記;結語)
    2 ナーガールジュナの思想―『中論』を中心として(大乗仏教の思想;空観はニヒリズムか;論争の相手;空の論理;論争の意義;縁起;空の考察;否定の論理の実践)
    3 ナーガールジュナの著作(『中論』;『大乗についての二十詩句篇』;『大智度論』;『十住毘婆沙論』;『親友への手紙』)
    4 ナーガールジュナ以後(ナーガールジュナの思想の流れ;比較思想からみたナーガールジュナ)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 空は縁起のことであり、ニルバーナとは縁起を悟ることだという主張は理解できた。しかしその主張を裏付ける理屈を正しく理解できたとはいえない。

    まだまだ他人にうまく説明する自信がないなあ。

  • まだ読み終わって居ませんが 最後までしっかり読んで見たい本です。

  • 龍樹(ナーガールジュナ)が唱えたいわゆる「空論」についての解説書。
    龍樹以降の註解書を参照しながら、「空」とは何か、また、何でないかを、ていねいに説明している。龍樹が著した「中論」や、その他の著作も収める。

    とりわけ、あらゆるものごとが実在すると説く「説一切有部(せついっさいうぶ)」への批判は見物。

    一切は「相互依存の関係」(縁起)にあり、「有」でも「無」でもなく、「中道」であり、しかもそう説きながら、そういった定義に執着してはならず、本来は言語化できない「空」の考え方を、否定辞を重ねながら示していく。

    スリリングで、興味深い一書。

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著者プロフィール

1912年、松江市に生まれる。東京大学文学部印度哲学科卒。東京大学教授、東方研究会理事長、東方学院長などを歴任。文学博士。印度哲学、東洋文化・思想の分野で多大の業績を残す。勲一等瑞宝章受賞。文化勲章受章。1999年、逝去。

「2019年 『増支部経典 第七巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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