吉田松陰 留魂録 (全訳注) (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 62
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061595651

作品紹介・あらすじ

志高く維新を先駆した炎の思想家吉田松陰が安政の大獄に連座し、牢獄で執筆した『留魂録』。愛弟子へ切々と訴えかける最後の訓戒で、死に直面した人間が悟り得た死生観を書き記した格調高い遺書文学の傑作を味読・精読する。

感想・レビュー・書評

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  • 時の日本にとって、吉田松陰を得たことはなんと幸運であったと。日本が結果、独立を保てたのは、松陰が後進に託した大和魂であったと思います。

  • 吉田松陰
    処刑前日に書き終えた遺書「留魂録」

    身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも
    留め置かまし 大和魂

    無念のうちに散ったの思える松陰も
    留魂録の中ではこう言っている。

    人それぞれの人生には四季がある。
    10代で死ぬ者も、その人生の中には四季があると。自分の29年という人生も、実は身を結んでいるのだと。
    年数ではなく、その与えられた人生を如何に生きたかにこそ価値があると。


    吉田松陰が教育者として当時の中で一線を画していたのは、
    身分制度を越えた横の関係で、塾生と繋がっていたことだろう。
    身分に関係なく師と生徒が互いに学び合う。

    身分制度の束縛が強すぎると藩に松陰が提言したほどの封建制の社会。
    西欧の民主主義の概念を吉田松陰が知る前に、既に藩主に提言していたのだから、元からして近代的な思想を持っていたと言える。

    横目でアヘン戦争によってズタズタにされているあの大国である清の惨状を見れば、ペリー来航による危機意識をもつのも当然のことと思える。

    松陰神社に静かに佇む、松陰の墓を目の前に、
    松陰の影響は小さくはなかったと、想いにふけった。

  • たかだか五千字程度に著された人生の深淵。
    死ぬ事とは何か、至誠とは何か。
    暗中模索で駆け抜けるその姿はまさに自ずから咲き誇る花なり。

  • 斉藤さんに薦められて読んだ本。

    吉田松陰の「死生観」に触れられる。

    >死して不朽の見込みあらば、いつ死んでもよいし、生きて大業をなしとげる見込みあらば、いつまでも生きたらよいのである。
    つまり、私の見るところでは、人間というものは、生死を度外視して、要するになすべきをなす心構えが大切なのだ。

    ”不朽”は小山さんの「人は2度死ぬ」にあたり、
    ”なずべきをなす心構え”は斉藤さんの「立志」にあたる、と思う。

    紹介して頂き、感謝☆

    ***

    留魂録は、吉田松陰の”遺書”と位置づけられている。
    処刑される2日前に筆をとり、前日夕方に完成した5000字程度の文書。
    自分の死期を知り、それに恐れる心の変化を冷静に書き、死んだ後の門下生のために書いた。
    死ぬと分かっている人が、自分が死んだ後の事を考え、どうすればよいのかまで言えるのだろうか。言えない。
    だからこそ、吉田松陰が死して不朽の存在なのであろう。

    本は3部構成。
    1.留魂録の時代背景
    2.留魂録
    3.吉田松陰の人生

    吉田松陰にあまり詳しくない人にも読める内容になっている。

    ***

    今年の夏、萩の松下村塾にいった。
    バイクで全国巡りの途中である。
    朝5時に宇野を出発した時に、道路看板に「萩」の文字が見えた。
    予定になかったけれど、向かった。

    これは必然だったのか。

    吉田松陰の人生30年。
    俺はあと4年で追いつく。追いつけるのか。何ができるのか。
    考えさせれる。

    ***

    祝☆月間レビュー50冊突破☆

  • 吉田松陰 留魂録

    松陰が牢獄で弟子に遺した遺書。死に対する覚悟、死後のきめ細やかな配慮に 感動する。


    「死して不朽の見込みあらば いつ死んでもよし」とする死生観(大和魂)は 生の否定でも、運命論でもなく、生死を超えた生き方、心構えの到達点と感じた。


    儒学だけでなく 詩歌にも長けていることに驚いた。「二十一回猛士」が、吉田松陰のペンネームとは 知らなかった。死ぬまでに全力をあげて21回の行動を起こす誓いをこめているらしい。


    「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂」

    「至誠にして動かざる者は未だ之れ有らざるなり」誠を尽くせば 人は必ず動かされる(孟子)

    「此の心 吾れ此の身を惜しむ為めに発するに非ず」
    *死して不朽の見込みあるなら いつ死んでもいいし、生きて大業の見込みあるなら いつまでも生きればよい
    *人間は 生死を度外視して〜なすべきをなす心構えこそ大切

    「今日 死を決するの安心は 四季の循環に於いて得る所あり」
    知性と意志力で死を克服しようとした〜到達点は 穀物の四季の循環に例えた死生観

    「彼の長技を以って 彼の長技をふせぐ〜以夷攻夷の上策なり」
    松陰の攘夷論は 排外思想でなく 先進文明を吸収するためのもの

  • 吉田松陰の生き様、思想が知ることが出来る。強い信念を持ち後に明治維新を起こす塾生達が奮い起つ様が分かる。

  • 吉田松陰が死刑執行の直前に書いたもの。遺書のようであり、松下村塾の塾生に向けた手紙のようなものだった。松陰の史伝についても載せられている。その史伝と、留魂録を照らし合わせて読むと、松陰の為人や考えがより伝わってきた。
    常軌を逸するほどの熱量を持ち、自身を顧みない性格や、塾生をはじめとして周りの人々をやさしく、それでいて強く感化していくところから、彼の偉大さを実感し、感銘を受けた。

  • 吉田松陰の残した言葉そのものを知りたく読んでみました。
    留魂録は松陰が処刑される前日に書きあげられたもので、松下村塾で共に学んだ弟子に対しての最後のメッセージがかかれています。人間は10歳には10歳の、30歳には30歳の、70歳には70歳のそれぞれの人生の四季があるという死生観は印象的でした。「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留置まし大和魂」という留魂録冒頭の句には、松陰の死に対する覚悟と、攘夷を未来に託す志が表れていると思います。
    吉田松陰かっこいい~

  • p.2018/8/1

  • 吉田松陰が弟子たちに遺した遺書。内容自体は何と言うことはない。解題・本文よりも、本書後半部の訳注者による松蔭の伝記がおもしろい。松蔭をとりまく状況や松蔭の人となりがよくわかる。士籍を失った経緯や幕府の取り調べに対していらぬ自白をしてしまうところなど、松蔭のやや浅はかというか、自ら苦境にはまっていくような面がうかがえる。しかしそれもこれも、結果的には弟子たちに大きなインパクトを与える刑死につながっていくのだ。訳注者が「あとがき」で、松蔭の死とイエスの死を並べて論じているが、なるほどと思った。同じことがソクラテスの死についても言えるだろう。

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著者プロフィール

作家

「2017年 『西郷隆盛 英雄と逆賊 歴史小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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