古典落語 (講談社学術文庫)

制作 : 興津 要 
  • 講談社
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061595774

作品紹介・あらすじ

「さんまは目黒にかぎる」、「いまなんどきだい?」、「寿限無寿限無…」-。人情の機微、人生の種種相を笑いの中にとらえ、庶民の姿を描き出す言葉の文化遺産・古典落語。本書は明治〜昭和の速記本をもとに、先人の名人芸によって磨き上げられ、伝えられてきた至高の話芸を、完全に再現する。「目黒のさんま」「時そば」「寿限無」など、二十一編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ、かなり面白かった。ぶはっと吹き出した場面も一度や二度ではない。たとえ、しんみりする場面があっても、最後にはちゃんと笑いを含めつつほっこりとさせてくれる。
    文字を追いかけるだけでこうなんだから、実際に寄席を楽しんでみたら、どれだけ元気をもらえるのだろう。そんな笑いっていいよね。

    咄だけで客は、時代背景、ストーリー、人間関係なんかをありありと思い描くことができる。その上、人情やちょっとした諍いなど、登場人物のあらゆる感情を生き生きと表現し、笑いに変えていくのだから落語ってすごいな。
    「古典」といっても何ら難しいことはなくて、その涙や笑いの素はちゃんと現代のわたしたちにも脈々と受け継がれているんだ。

    「厩火事」「芝浜」の女房が拗ねたり騙したりしながらなまけ者の亭主と最後はまるっとおさまる愛情もの。
    とにかく深く考えずに大笑いできる「千早振る」「そこつ長屋」「時そば」
    こういう噺がわたしって好きみたい。

    • 地球っこさん
      nejidonさん、こんにちはー。
      お身体の調子はどうですか?

      「らくだ」はこちらの本にも載ってました。
      解説によると、「飲むほど...
      nejidonさん、こんにちはー。
      お身体の調子はどうですか?

      「らくだ」はこちらの本にも載ってました。
      解説によると、「飲むほどに、酔うほどに、らくだの兄弟分の男とくず屋の性格とがしだいに逆転していくところをクライマックスとしており、その推移のおもしろさはすばらしいかぎりだが、それだけに、ベテランの落語家でなければてがけられない難しい噺……」と説明されてました。

      これはもう、実際に寄席で楽しまなければ!
      わくわくしてきます。
      うわぁ、行きたいなぁ(*^^*)
      2020/06/16
    • nejidonさん
      地球っこさん、お返事ありがとうございます(*^-^*)
      いつも心配して下さって、申し訳ないやら情けないやら。
      治る見込みの無い病気を、も...
      地球っこさん、お返事ありがとうございます(*^-^*)
      いつも心配して下さって、申し訳ないやら情けないやら。
      治る見込みの無い病気を、もう十年もかかえています。
      でも明るく愚痴らず、生きてる限りは生きよう(笑)をモットーにしています。

      高座に上がると、噺家さんの素顔が見えるような気がします。
      テレビ等で拝見しているのとは違うのですよね。
      人気があっても妙に下品な雰囲気だったり、その逆もあります。誰とは言いませんが。。
      そして、ナマで聞くといつまでも忘れません。そこが最大の魅力かな。
      いつの日かお出かけになれますように!
      2020/06/16
    • 地球っこさん
      nejidonさん、お返事ありがとうございます。

      nejidonさんのモットーは、いつも本を愛するレビューとなって、わたしに伝わってき...
      nejidonさん、お返事ありがとうございます。

      nejidonさんのモットーは、いつも本を愛するレビューとなって、わたしに伝わってきます(*^^*)
      これからもよろしくお願いします!





      2020/06/16
  • ある男が蕎麦を食べて、お会計。16文。男は小銭を「1,2,.. 8」と数えたところで、男「いま何時だい?」、蕎麦屋「9時です」、男「10, 11..」。1文をごまかして支払った。これを見ていた頭の弱い与太郎。男と同じように会計をごまかそうと、別の蕎麦屋で、「1,2...8」と数え、与太郎「いま何時だい?」、蕎麦屋「4時です」、与太郎「5, 6..」。4文損をした。『時そば』

    ある夫婦に男の子が生まれたが、名前がまだ決まっていない。そこで和尚に縁起のいい名前を付けてもらうことに。和尚「寿限無はどうか。寿命限り無し」。和尚は次々に縁起のいい名前を提案していく。夫婦は1つを選ぶことができず、すべてつなげたとんでもなく長い名前を息子につけることに。寿限無寿限無 五劫のすり切れ 海砂利水魚の水行末(すいぎょうまつ) 雲来末(うんらいまつ) 風来末 食う寝るところに住むところ やぶらこうじのぶらこうじ パイポパイポ パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命(ちょうきゅうめい)の長助(ちょうすけ)。『寿限無』

    甲府(山梨)から出てきた男が浅草で財布を盗まれるも、江戸の豆腐屋の奉公として雇ってもらう。「トウフ、ゴマ入り、がんもどき~」と豆腐を売り歩く。真面目に働き、豆腐屋の夫婦に気に入られ、豆腐屋の娘と結婚し、豆腐屋の跡取りに。江戸に来る前に身延山(みのぶさん)久遠寺で願掛けをしていたので、お礼参り(願解き/がんほどき)のために帰ることに。「甲府、お詣り、願解(がんほど)き~」。『甲府い』

    大名の父と仲がよくないある男。大名になることは半ば諦め、気ままに暮らしていた。ある日、本を読みすぎて肩がこったので、盲目のマッサージ師(あん摩の錦木という男)を呼ぶ。腕がとてもよく、話もうまい。大変気に入り「もし私が大名になったら、お前に高い位(盲人の最高位である検校)を与えてやる」。その後、あん摩は大病して寝込んでいたが、男が本当に大名になったことを知る。早速、屋敷に会いに行き、検校の位をもらう。『三味線栗毛くりげ』

    ある男が我が子を連れて大阪天満宮の祭りに行く。屋台が出ている。父「何か買ってくれと言ったら河に投げ込むからな。河には河童がいて、頭をかじられるんだぞ」。子「河童は空想上の生き物だから大丈夫だよ」。飴屋にやってきた親子。男が商品を触って指をなめてしまい店主に怒られる。団子屋にやってきた親子。蜜の団子を買うが男が蜜の部分をすべてなめてしまい、子が蜜がついてないじゃないかと泣きわめく。そこで男は団子屋の隙を見て、店の蜜つぼの中に団子を突っ込む。子も父親の真似をする。店主に怒られる。『初天神はつてんじん』

    喧嘩を仲裁するのが好きな男。喧嘩をおさめて酒を飲ませ仲直りをさせる。町では有名。町の二人組がタダ酒にありつくため、男の前で喧嘩をしているフリをする。それも知らず、意気揚々と「喧嘩」を仲裁し、酒を飲ませて満足の男。ある浄瑠璃の稽古屋で師匠と弟子が「お半町」の稽古をしていた。そこに通りかかった男は本当に嫁いじめがあると勘違い。男が話を聞くと、これは京都の押小路にある呉服屋の話だと聞かされる。男は船で京都まで出向き、押小路にあった呉服屋に入り、いじめらている嫁に会わせてくれと言う。呉服屋「それはお半町の話ですよ。その嫁(お半)は桂川で心中しましたよ。男「そうか、遅かったか。汽車で来たら良かった」『どうらんの幸助こうすけ』

    武家の下男「わが家の庭に忍び込んだ筍を手打ちにいたしました」。隣家「手打ちは良いが死骸はこちらへ渡してもらおう」。武家の下男「死骸はこちらで手厚く、腹(原)に葬り、骨は明朝、高野(厠かわや)に納まるでございましょう。『たけのこ』

    幽霊(遊芸ゆうげい)稼人(かせぎにん)でございます。『不動坊』

    酒の中に水混ぜる、水の中へ酒を混ぜる。水臭い酒、酒臭い水。『七度狐』

    ○死神
    ○饅頭こわい
    ○目黒のさんま
    ○猫の皿
    ○芝浜
    ○火炎太鼓
    ○頭山
    ○たらちね
    明烏あけがらす
    三人旅
    厩火事うまやかじ
    千早振る
    そこつ長屋
    たがや
    道具屋
    野ざらし
    青菜
    らくだ
    がまの油
    子別れ
    崇徳院
    三枚起請
    小言幸兵衛
    居残り佐平次
    三方一両損

    ****************
    ○口入屋くちいれや。人材派遣をする人。
    ○達引たてひき。男同士の意地の張り合い。
    ○長襦袢ながじゅばん。肌着
    ○強力ごうりき。山伏の旅の荷物を運ぶ従者。
    ○大家(長屋の管理人)。店子たなこ(長屋の住人)から家賃徴収。店子の出産・死亡・婚姻の届出。大家は親も同然。長屋の修理。長屋の所有者ではない。
    ○一升瓶。1.8リットル


    **********************
    笑福亭松鶴,六代目(1918-86)
    桂米朝,三代目(1925-2015)
    桂春団治,三代目(1930-2016)
    桂文枝,五代目(1930-2005)
    立川談志,七代目(1936-2011)
    古今亭ここんてい志ん朝(1938-2001)

    桂文枝,六代目(1943-)
    笑福亭鶴瓶 (1951-)
    柳家やなぎや喬太郎きょうたろう(1963-)
    入船亭いりふねてい扇辰せんたつ(1964-)

  • 風呂で毎日、一作ずつ、笑いながら読んでいる。隣近所に笑い声が聞こえて不審がられているかも。
    ともあれ、「そこつ長屋」のなんとシュールなこと。
    稲垣足穂の「一千一夜物語」は、案外、ここから来ているのかも。そして日本のSFもまた、古典落語の系譜につらなっているような気がする。というのも今同時に小松左京を読んでいるのだけれど、だんだんと知的かつ科学的刺激にあふれた落語のように思われてきた。

  • 珠玉の名作揃い。繰り返して見て聴いた小三治の名演と見比べながら読むと、更に面白い。

  • 一話一話が短くてリズム良く読める。
    何より、江戸時代の庶民の暮らしが見えてくるのが良い。

  • 昔、落語が好きだったので、懐かしむように読了。
    ジョークの基本はこういうところから学べると思う。

  • 古典落語の名作とはいえ知らない噺もあるので、改めて文章で味わうのも良い。
    だけどやっぱり表情、仕草、口調などがあってこその落語なので、あくまで予習復習のための一冊ですね。

  •  朗読レクで使用。
     「目黒のさんま」と「時そば」と「寿限無」を読む予定だったが、時間が短く、「目黒のさんま」を朗読するだけで終わった。

  • 初めての落語の本。「目黒のさんま」「時そば」「寿限無」「がまの油」は何となく聞いたことあるが、文章で読むと 確かに面白い。下ネタあり、ダジャレあり、勘違いの掛け合いあり、初心者の私でも楽しめた


    読んでいて音声化しやすい文章だが、本だと 声のトーンや リズムを 感じられないので、ライブで聞いた方が 面白いかもしれない




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