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- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061596375
作品紹介・あらすじ
日本人の自力による史上唯一の「革命」は、いかにして成しとげられたか。維新の百年前、幕藩体制を否定し自らの信念に殉じた先駆者山県大弐、はるかな時を経て山県の思想を吉田松陰に伝えた僧黙霖、佐久間象山・松陰師弟、久坂玄瑞らの松陰門下、真木和泉、勝海舟、坂本龍馬…。維新として結実したさまざまな人々の熱い思想の系譜をたどり返す。
感想・レビュー・書評
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明治維新への胎動を生み出した人びとと、彼らの思想について考察している本です。
江戸時代には多くの一揆があったものの、農民たちは体制変革の展望を欠いていました。そんな中で著者は、江戸幕府の体制への根源的な批判を抱いていた思想家として、山県大弐に注目しています。その後、僧の黙霖を通じて第二の思想が吉田松陰に伝えられ、明治維新につながっていくことが解き明かされていきます。著者は松蔭の立場に「自覚的尊攘派」という名称を当てています。これは、「信仰的尊攘派」と呼ばれる愚かな排外主義とは異なり、リアル・ポリティークに基づいて、日本の独立を可能にするような新体制の確立をめざす立場とされています。
著者は、「おのおのの人間が、自分の責任を問われる必要のない事柄から、さまざまな苦痛を受ける度合いを減らさなければならない」と主張し、この尺度によって歴史の進歩を定義しています。本書は、明治維新を歴史の進歩を画す市民革命の一種として捉える試みと言ってよいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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