古代朝鮮 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061596788

作品紹介・あらすじ

古朝鮮、三国時代、そして統一新羅へ
激動の朝鮮半島を生きた人々の歴史

檀君神話、広開土王陵碑、任那日本府、白村江の戦いと唐との戦争――。中国・日本との軋轢と協調を背景に統一への歩を進めた古代の朝鮮。旧石器時代から統一新羅の滅亡までの朝鮮半島の政治・社会・文化とはどのようなものだったのか。『三国史記』『三国遺事』をはじめとする文献類の精査によって、その実像を鮮やかに復元した古代朝鮮史研究の傑作。

“日本”の視点からのみ“朝鮮”を見る姿勢は誤っている。朝鮮文化は日本文化を説明するためにのみ利用されてはならない。その独立した歴史展開、さらに、古代の東アジア全体の国際関係の中への位置づけ、それをぬきにして朝鮮古代史への正しいアプローチはないと思う。そして、そうした観点からする歴史的探索・実証の上に、新たなる日本史、新たなるアジア史、さらに新たなる世界史像の形成がなされていくにちがいない。――<本書「原本あとがき」より>

感想・レビュー・書評

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  • 統一新羅の崩壊にいたるまでの古代朝鮮の歴史を概説している本です。

    約半世紀前に刊行された本であり、とくに考古学的な事実にかんしては、おそらく現代では新しい事実も発見されているのではないかと思いますが、著者の歴史を見る態度そのものについて興味を惹かれます。

    本書の「序」で著者は、高松塚古墳の壁画が発見されたことがきっかけとなって、古代の日朝関係について多くの人びとの関心が引き起こされたと語っています。しかし著者は、そうした関心が日本史の立場からのものであり、外国史を外国史として見る態度が欠けていたのではないかと疑問を投げかけます。

    日本の古代史の研究においては、記紀神話の記述などにその手がかりが求められることがありますが、著者は神話はそれが編纂された当時の政治的状況を反映したものであり、そこに歴史的な事実を求めることはできないと考えています。また、中国の歴史書における朝鮮や倭についての記述も、中国のこの地方に対する関心のありかたによって規定されており、客観的な歴史の記述とはいえないと注意を喚起しています。そのうえで、日本とは異なり歴代の中国の政治勢力とのあいだで緊張をはらんだ関係をつづけてきた朝鮮の歴史を、そうした国際関係史の観点からたどることが試みられています。

    また著者は、日本史ではしばしば政治的な外交関係と文化的な交流が混同される傾向にあることを指摘し、中国とのあいだで緊張した関係をつづけてきた朝鮮の歴史においては、政治史と文化史・経済史をある程度区別してとらえるべきだという立場をとっています。この点については、著者のいうことも理解できるのですが、総合的な歴史の見かたができないものかと考えてしまいます。

  • 朝鮮古代の歴史を、中国の文献や朝鮮の「三国遺事」、「三国史記」などをもとに、文献に現れたことを元に記述する。高麗朝が起こるまでの朝鮮の歴史である。朝鮮半島は中国からの影響を受けやすく、中国王朝の方針で攻撃され支配下に置かれたり、あるいは冊封され朝貢することで皇帝の臣下として王が認められた。神話時代は別にして、衛氏朝鮮という部族連合が存在したが、漢がこれを討伐した。そしてその地に楽浪郡を置いて支配した。その後、朝鮮の地は辰韓、馬韓、弁韓といった国に分かれていた。また北方には高句麗がいる。三韓はその後、新羅、百済、伽耶諸国となり、相互に侵略や連合があり、後には新羅に統一された。その新羅を襲って建てた王朝が高麗である。

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