流言・投書の太平洋戦争 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (2004年12月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784061596887

みんなの感想まとめ

非常事態における流言の影響と、戦時下の民衆意識の変遷を描いた本書は、1941年から1945年の太平洋戦争を通じて、治安当局が収集した庶民の声を時系列でまとめています。言論統制があっても、国民は現実を感...

感想・レビュー・書評

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  • 流言(デマ)は、非常事態に起きやすく、伝播力も非常に強いもので、特に戦時は、言論統制をしてもすべては防げるものではない。この本で、使用されている治安資料から読めるのは、負けている現状を覆い隠すのは無理であり、いかに鼓舞しようとも国民は、うっすらと解っている。生活に関しての格差の不満が蔓延し、本土決戦より自分たちの生活を守るほうが一大事となっているのが解る。

  • 新書文庫

  • これは1941年のアジア太平洋戦争のはじめから、45年の敗戦までの間に,主として憲兵・特高・警察など治安当局側の収集した庶民の声を、時系列的に追ってまとめた。
    著者は「書かれざる民衆の心の軌跡」を「戦時下の民衆意識の通史」として書き上げた。 

     個々には荒唐無稽の所謂デマ情報(戦争に積極的あるいは悲観的見方での)も当然圧倒的に多いが,にも関わらずあらためて全体に感ずるものは、戦争の推移に沿って間違いなく民衆の心は動いていたということ。
     殆ど正確な情報に触れる機会は封殺されていたにも関わらず,身辺の事件からさまざまの想像を膨らましつつ,時代の流れを感じ取っていっていることを、改めて感じた。

     確かに暗黒時代であったことは間違いないが,民衆というもののしたたかさは<王様の耳>を感じ取り表現し続けていた、ということだろう。
     
     これは、現代のアメリカと経団連に依る、政府と国会とメディアの籠絡支配にも関わらず,国民にはおかしいぞと感じられている場合もかなりあることに通底していると云えるだろう。
                         (09/5)

  • 矢弾尽き天地染めて散るとても魂【たま】がへり魂がへりつゝ皇国護らむ
     牛島 満

     太平洋戦争末期、沖縄戦の陸軍司令官が「沖縄玉砕」を伝える打電に添えた歌である。1945年6月、自決前の辞世であった。

     文字通り「矢弾」の尽きた日本は、ポツダム宣言を受諾。同年9月、重光葵外務大臣が、アメリカのミズーリ号艦上で降伏文書に調印した。

     先日、大学院生とその調印式の映像を見たところ、音声状態も良く、マッカーサーがペンを2本使い分けていたなど、具体的な記録は雄弁、かつ厳粛だった。

     院生に、「さて、アメリカ代表の次に調印した国はどこ?」と質問するはずが、うっかり忘れてしまい、反省している。

     というのも、川島高峰の著書「流言・投書の太平洋戦争」で、日本は「どの国に負けたか?」と学生に問うたところ、アメリカという回答が最多、次にイギリスや旧ソ連であり、「中国と答える者はほとんどいない」という記述があり、いつか自分の授業でも問おうと準備していたからである。

     反省しつつ、再度、調印国の順を映像で確認してみた。まずは、マッカーサー元帥。続いてアメリカ代表ニミッツ。次が、まさに中国であった。そして、イギリス、旧ソ連、オーストラリア、カナダ、フランス、オランダ、ニュージーランドで、全9カ国。この国々が、戦勝国だったのである。

     つい、「アメリカはじめ連合国」と略して説明しがちなので、今後は9カ国すべてをもらさず挙げるよう心掛けたい。明後日8日、開戦の日の存在も忘れずに。

    (2015年12月6日掲載)

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