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- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061596887
感想・レビュー・書評
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これは1941年のアジア太平洋戦争のはじめから、45年の敗戦までの間に,主として憲兵・特高・警察など治安当局側の収集した庶民の声を、時系列的に追ってまとめた。
著者は「書かれざる民衆の心の軌跡」を「戦時下の民衆意識の通史」として書き上げた。
個々には荒唐無稽の所謂デマ情報(戦争に積極的あるいは悲観的見方での)も当然圧倒的に多いが,にも関わらずあらためて全体に感ずるものは、戦争の推移に沿って間違いなく民衆の心は動いていたということ。
殆ど正確な情報に触れる機会は封殺されていたにも関わらず,身辺の事件からさまざまの想像を膨らましつつ,時代の流れを感じ取っていっていることを、改めて感じた。
確かに暗黒時代であったことは間違いないが,民衆というもののしたたかさは<王様の耳>を感じ取り表現し続けていた、ということだろう。
これは、現代のアメリカと経団連に依る、政府と国会とメディアの籠絡支配にも関わらず,国民にはおかしいぞと感じられている場合もかなりあることに通底していると云えるだろう。
(09/5)詳細をみるコメント0件をすべて表示