中世ヨーロッパの城の生活 (講談社学術文庫)

制作 : 栗原 泉 
  • 講談社
3.35
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本棚登録 : 344
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061597129

作品紹介・あらすじ

牢固とまた堂々と風格を漂わせ、聳える城。西欧中世、要塞のような城が陸続と建造されていった。城作りはいついかなる理由で始まったのだろうか。城の内外ではどのような生活が営まれていたのだろうか。ウェールズ東南端の古城チェプストー城を例に挙げ、年代記、裁判記録、家計簿など豊富な資料を駆使し、中世の人々の生活実態と「中世」の全体像を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  •  タイトルのとおり、中世のお城で生活するとはどういうことか、といった内容です。主な題材になるのはイギリスはウェイルズのチェプストウ城。他にもフランスやドイツの城がわんさと出てきます。
     中世に生きていた人間の頭の中身がちょっとずつわかってくる気がする本です。文庫本なので手軽に読めるのもいいところ。

  • 面白く読み進められる。唯一の欠点であり致命的な欠点は、オールモノクロであること。イラストはまだしも、本書の最も重視する城の写真が暗く(黒く?)、折角ページを割いて載せる意味がない。せめて、一番初めに数ページのカラー写真をつけて欲しかった。そういった意味で、星をひとつ減らした。内容が良いだけになおさら残念だ。

  • チェプストー城◆城、海を渡る◆城のあるじ◆住まいとしての城◆城の奥方◆城の切り盛り◆城の一日◆狩猟◆村人たち◆騎士◆戦時の城◆城の一年◆城の衰退

    原書名:LIFE IN A MEDIEVAL CASTLE(Gies,Joseph;Gies,Frances)
    著者:ジョゼフ・ギース
    著者:フランソワ・ギース
    訳:栗原泉、翻訳家、セント・メリー大学(米国)卒

  • 11世紀から13世紀のイギリス・フランスのお城にまつわるエトセトラ。年代も地域もバラバラのところからエピソードを寄せ集めて城の狩猟・城の騎士・城の立地などの項目を作ってるので、ウィリアム征服王・ヘンリー碩学王のノルマン朝や、ジョン失地王・ヘンリー3世のプランタジネット朝などの周辺事情に馴染みがないと、状況が把握しにくい。その辺りを諦めたとしても、騎士と武芸試合、季節ごとの祭、鷹狩の鷹の育て方、家令・侍従・執事の職務などなど楽しめる逸話はそれなりにある。お家の事情はさらっと流して読むか、勉強してから後で深く読みなおすのが吉。

  • ウェールズのチェプストー城を例に挙げ、
    中世ヨーロッパの城での生活を描きだす。
    何故このような城が作られたのか、
    どのような者たちが城にいたのか・・・等、
    豊富な資料で説明。
    戦略と防衛のために建てられ、領主の権力と富の象徴であった城。
    城の中には、領主の家族以外にも多種多様な仕事を受け持つ者や
    騎士たちがおり、また城の経済基盤となる村や荘園には村人がいた。
    城の中での生活、村人との関わり、狩猟、戦時と、詳細です。
    特に家令の家計簿の細かい記録!
    それと騎士の意外な実態!
    但し、文章が豊かな反面、図版が少々足りない感あり。
    トイレとか風呂とか、文章だけではわかりにくい。
    「中世の城日誌―少年トビアス、小姓になる (大型絵本)」と
    「カラーイラスト世界の生活史8 城と騎士」で
    補って読みました。

  • 資料として。
    興味深い事柄を知ることができるし知ることができる。城で暮らすとはどういうことか、周辺の村の生活など、細かく書いてある。狩りや料理のことなど面白かった。
    写真が白黒なのが残念だなーまぁカラーで見たければ図鑑のほうがいいかも。

  • 中世ヨーロッパの生活に興味を持っていたときに見つけて購入したものの,一月ほど積読してしまいその間に興味が薄れてしまった.本書は読みやすくて中世ヨーロッパの生活に興味のある方には十分おすすめできそうだが,私にとっては軍事関連以外さほど…という感じ.というか,こんな生活絶対にしたくない.何らかの資料として使えそうなので,★3.5個くらいの評価.

  • 中世の城の構造と歴史から、城に住む人々、貴族たちの生活などが事細かく説明されており、読み応えたっぷり。中世に似たファンタジーを書く際にも参考になります。

  • 資料として役立ったので★5つ。本当は電子データで検索しながら読みたいくらい。索引のある学術書ではなく、「新書的な」読み物なので、「あれどこに書いてあったっけ」と探し回るのがちょっと大変だった。
    以下備忘のため、本書より

    ・11世紀頃の城は濠をめぐらせた土塁の上に木造建築。十字軍遠征後に築城技術が発展して石造の主塔(キープ)がつくられるようになった。四角い塔は角の下を掘られて崩されることもあり、防衛上の死角ができるため、円筒形に変わっていった。居住区の建物は木造が多かった。
    ・ダンジョン(地下牢)は城の主塔を意味する「ドンジョン」から。後代になって(城の住み心地がよくないので)囚人の拘置や幽閉に使われたため。
    ・主塔や城の一階は食料庫や穀物蔵、二階以上には大広間と城主の大寝室などがあった。搬入にまぎれた外敵の侵入を防ぐため一階と二階の間には内階段がなく、外壁に沿った外階段か、側塔や壁の厚みの中に入った階段から大広間に入った。厨房は火事の心配があるため別棟。
    ・大広間の床にはイグサ(後期にはハーブも)を敷いた。絨毯は14世紀になってから。
    ・窓ガラスの普及は14世紀、それまでは窓には木のよろい戸がついていた。
    ・煙突や壁に埋め込んだ暖炉が普及したのは中世でも結構後の時代(それまでは大広間の中心に炉があった)。
    ・寝室が普及したのは中世でも結構後の時代(それまでは大広間で上記の炉を囲んで雑魚寝、城主家族はカーテンかついたてで仕切った奥で就寝、寝巻きはまだ無いので寝るときは裸)。夫婦でそれぞれ個室のある場合もあり。
    ・領主のベッドは木枠にロープや革紐を張り、羽毛のマットレスを敷いてシーツで覆い、キルトや毛皮の布団をかけて枕を置いた。夜には周囲に亜麻布のカーテンを降ろした。身分の低い者は藁布団や毛織の上掛けを使った。
    ・入浴は木製の風呂桶をテントや天蓋で覆い、暖かいときは庭で、寒いときは暖炉のそばで入った。領主が領地間を移動するときは風呂桶と入浴係も移動に伴われた。13世紀には浴室が設けられた城もあった。
    ・トイレはあった(おまるもあった)。紙の代わりに干草を使用(トイレにろうそくを置き忘れて火事になりかけた逸話が紹介されている)。掃除に下水や雨水を流す工夫のある城もあった。

    ・家来には騎士や守衛などの軍人達と、城の経営や家事を担当する人々がいた。12世紀頃は一人の家令が荘園管理や財務・法律関係の事務、召使への指示を担当したが、後に業務が細分化されていった。
    ・領主の息子は父親の主君のところで騎士見習いになり「鳥の餌やり、タカ狩り、猟犬の扱い、弓矢の使い方、チェスやバックギャモン、フェンシング、馬術、馬上槍試合(これは14世紀以降?)などの武芸訓練」を受けた。
    ・領主の娘は家族と離れ、他の領主の城や修道院で「針仕事や杼(ひ)の使い方(=機織のことでしょう)、ラテン語を読み書き話すこと、歌を歌い、物語を語り、刺繍すること」を学んだ。学問に身を捧げたり、男性と同じように狩猟やタカ狩り、チェスに興じた女性もいた。

    ・女性の婚期は12歳(お互いの合意のないには無効の申し立てができた)。結婚の際には持参金の見返りに夫の不動産の1/3の寡婦産権が与えられたが、結婚期間中は自分の相続分の土地を夫が売却しても異議を唱えることはできず、夫同伴でなければ訴訟を起こせず、夫の同意なく遺言状を作成することもできなかった。(寡婦=未亡人になってから訴訟を起こして相続財産を取り戻した例もある。)
    ・領主が不在だったり亡くなった時は奥方が領地管理を任された。
    ・夫婦とも不倫は教会で禁止されていたが、身分のある男性が愛人を囲うのは普通。妻の不倫は夫から捨てられ、愛人は体の一部を切断されるか殺された(主君の妻との不倫は反逆罪で絞首刑。)女性が乱暴をされた時に「寝取られた夫以外」の父親や家族が密通者を私刑にするのは犯罪。女性の妊娠は快感を得たしるしとされ、妊娠した場合は強姦の訴えはとりあげられなかった(ひどい)。

    ・三圃式農業の前は伝統的な二圃式農業だった。まだ家畜用の飼料を育てることはなく、家畜を維持できないために冬には家畜の一部をつぶした。
    ・9月29日の聖ミカエル祭からクリスマスまで(秋蒔き小麦、ライ麦の種まき)が冬。城の会計年度の始まりは聖ミカエル祭(このあたり現代西欧の秋学期制などに通じるものがあるのかも)、屠畜は11月。
    ・クリスマスから復活祭までが春(春作物オーツ麦、エンドウ豆、インゲン豆、大麦、ソラ豆の種まきの季節)。
    ・復活祭から8月1日の収穫祭までが夏。羊の毛刈は夏至祭りの前。夏至の翌日、聖ヨハネ祭から収穫祭までは牧草刈り。
    ・収穫祭から聖ミカエル祭までが秋。収穫祭には初物の小麦で焼いたパンが教会で祝別され、それから刈り入れが始まる。
    ・クリスマス・イブからの十二日間(歌にもある)は農奴の仕事はお休み、領主の召使にはボーナス(物で)があった。贈り物や宴会などが続く。
    ・1月6日の公現祭明けに鋤レースなどが行われたが、本格的な耕作は2月2日のキャンドルマスから。復活祭(春分の日の後の最初の満月の次の日曜日)から一週間は農奴の仕事はお休み。聖霊降臨祭(復活祭後の七回目の日曜日)から一週間も農奴の仕事はお休み。

    最終章のおわりにあった、20世紀の戦争でイギリス沿岸部の城が監視所や対空砲の据付場所として使われ、フランスやドイツやイタリアの城が大砲の砲撃にさえ耐えうる陣地や避難所として使われたというエピソードが興味深かった。

  • 中世好きの間では有名な本なので、言わずもなのですが テーマパークに聳え立つ様な装飾豊かな城ではなく、実用性を重視した機能美な城についての「生活」を主とした内容となっています。 豪華客船ではなく、戦艦についての解説だと思っていただければ解り易いかなと。 機能及び歴史については多少本書で扱ってはいますが、あくまでも生活という流れの補足程度のものであるので、単純に城の構造について知りたいのであれば他を当たると良いでしょう。 この手の本は少ないので、値段分出すだけの価値があるとは思います。

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著者プロフィール

Joseph Gies(1916―2006), Frances Gies (1915― )。アメリカの歴史著作家。中世史に関する著作多数。主著に『中世ヨーロッパの都市の生活』『中世ヨーロッパの城の生活』『中世ヨーロッパの農村の生活』『大聖堂・製鉄・水車』など。

「2013年 『中世ヨーロッパの家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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