日本文化の形成 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061597174

作品紹介・あらすじ

日本列島を徹底踏査した民俗学の巨人が、『古事記』『日本書紀』『万葉集』『風土記』などの古代文献を読み返し、それらと格闘の末、生まれた日本文化論。稲作を伝えた人びと、倭人の源流、畑作の起源と発展、海洋民と床住居など、東アジア全体を視野に入れた興味深い持論を展開する。長年にわたって各地の民俗を調査した著者ならではの着想を含む遺稿。

感想・レビュー・書評

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  • 民俗学の巨人の晩年期における、日本古代史に関する縦横無尽の論考を集積した書。ただ、畑作や稲作起源論、倭人の由来論、縄文→弥生への文化的変遷、古代の文献検討は、著者の元来のフィールドから些か外れている感。また、刊行年代から見て止むを得ないが、長江文明や中国古代に関しては種々の新奇の考古学的知見が蓄積する今、本書はやや古く感じる点もある。◆が、「海洋民と床住居」はさすが宮本常一。民具や家屋、船舶、習俗等から繰り出される博覧強記ぶりに驚嘆。◇なお年譜があるのは良。◆2005年(底本1981年、1994年)刊。

  • 日本文化の基層をなす縄文人と縄文文化が、北方、南方、中国大陸・朝鮮半島からの海洋ルートを通してもたらされた文化とどう入り混じって、どのように変質・変遷していったかを推察していく。日本文化の根底を伺い知ることができる。

  • 冒頭から話が面白い。引き込まれる。民俗学はから語りの面白さを奪ったらただの歴史くずれだ。
    民俗学の探求心は語りべによって構成されているようにさえ思える。

  • 古代史・考古学関連本をずっと読み漁って来て、何となく壁に突き当たっていたが、民俗学の権威の先生の本を読んで、また違った視点で古代史を見ることができるようになった気がした。
    一点どうしても以前から気になってたこと。朝鮮半島における倭人の拠点。古墳などの考古学遺物もあるし、中国、広開土王碑、日本書紀などの文献にも半島での倭人の活動が何度も書かれている。民俗学として見た場合にも列島との文化交流の掛け渡し役として、半島に植民地か居住地があったと見て良さそう。任那や百済が失われた時点で足掛かりをなくしたのだろう。

  • 宮本常一の未完の遺著である。柳田国男の『海上の道』とおなじくらい壮大な意図をもって書かれた書物と思われる。したがって柳田の同著と同様に、民俗学の通常のテリトリーを超え、むしろ歴史学に近づく。ただし宮本は柳田の仮説よりはもっと常識的な範疇で提言している。
    この本で説かれている、たとえば稲作・畑作の伝来、エゾ=エビス文化のなりゆき等、読んでそれなりに面白くはあるが、やはり歴史学者の専門的な記述にかなうものではないと思う。
    この本が未完で終わってしまったのは残念だが、もっと民俗学的なパースペクティヴが生かされた論述を期待していたので、やや不満足を感じてしまった。

  • 山口県人は郷里の偉人として維新の志士を挙げることが多い。 それはそれで良いでしょうが、私に言わせれば、周防大島出身の民族学者である宮本常一のことももっと誇りをもって語るべきであります。 本書は宮本の遺稿を整理したもので、議論は未完のままですが、日本文化の起源について幾つかのユニークな視点を提示しています。 その多くは推理・推論の域を出ないとしても、常人とは異なる着想が貴重です。 なお、宮本常一の著作を初めて読む方には本書ではなく「忘れられた日本人」あるいは「空からの民俗学」がお薦めです。

  • <構成>
    一 日本列島に住んだ人びと
     一 エビスたちの列島
     二 稲作を伝えた人びと

    二 日本文化に見る海洋的性格
     一 倭人の源流
     二 耽羅・倭・百済の関係
     三 北方の文化
     四 琉球列島の文化

    三 日本における畑作の起源と発展
     一 焼畑
     二 古代中国の農耕
     三 渡来人と農耕

    付 海洋民と床住居
    宮本常一譜

    =============================

    民俗学の巨人・宮本常一の遺稿。
    不真面目な学生だったもので学生中に宮本先生の著を読んでいなかったのですが、後悔した…やはり巨匠。柳田國男と並んで、ジャンル・時代を問わずに「読んでおいたほうがいい」と各方面から言われていたのですが、まさにその通りだったなと思います。
    個人的興味のあるページ部分を折っていったら、付の「海洋民と床住居」ばっかりになりました(笑)多分もう一回読み直すこと決定っぽいのですが、その中から2点メモ。

    ***

    エビス神なども漂着の伝説を持っているのが多い。漂着したとき寒い日であったので火をたいてエビス様にあたらせた。そうしたらそこに生えていた蘆の片方の葉が焼けて、その後も片方は葉が茂らなくなり片葉の蘆になったという話が、堺市の石津太神社には残っている。エビス神は漁民の祀った神であったが、商家でもこれを祀った。
    (p176)

    ***

    居多神社の「片葉の芦」を連想した。
    こちらは親鸞聖人が配流時にお祈りしたところ、一夜にして片葉となった、ということですが、もとの話はこっちのような気がします。神社の祭神「大国主」はエビス様に習合されている、というのを見て個人的には断定系。最初は堺市というので、榊原氏の関係かなぁと思ったのですが、石津太神社の「この地は元は浜辺であり、伝承では、伊奘諾命・伊奘册命によって流された蛭子命がこの地に漂着し、携えてきた五色の神石を置いたという。蛭子命が漂着した場所を「石津の磐山」、「五色の石」を置いた場所を「石津」という。鳥居の前の交差点に「五色の石」を地下に埋めたとされる場所があり、その場所を示す地上部分に石が置かれている。」(Wiki)をみた感じ、居多神社の立地条件とも似てるなぁと思ったので気になる。気になる…居多神社の絵図をちゃんと見たい…!この好奇心の駆り立て様…これが巨匠パワーか…!!


    ***

    稲束を積みあげたものをニウ、ニオなどとよぶところが多いが、ニウは壬生と書き産屋のことであった。すなわち、稲の産屋を意味するところであった。
    (p183)

    ***

    ガッポニオの「ニオ」も元々はここからきているのでしょうか。

  • なにかのきっかけで、この本であんなことが書いてあったな、
    と思い出せるように頭の引出しの中に入れておけたらいいな。

    古代の日本での、稲作の伝来ルートや、人の移動、農耕など、
    人々の生活のありようがどうであったかを記した本です。
    「秦氏」は侵略によって文化を運んできたのではなく、
    必要とされることで文化を伝えた、
    といったような記述が心に残っています。

    宮本常一さんの、勤勉で実直な様子が文章から読み取れます。

  • 遺作だったのか。と、巻末で気付く。
    じゃあもう一度どこかで読みなおさなければ。

    単なる中国→朝鮮→日本という流れではなく、様々な海の向こうからの影響に、日本文化の源流がある。

    しかしこういった集落の資料なんかはこの50年で相当数喪失してしまったのだろうなあ。

  • 20110821読了(半分くらいまで)

    宮本常一の塩の道が非常に面白かったので、手にしたのだがこちらは比較して難しかった。

    日本の畑作の由来について、日本書紀や古事記などを巡りながら推測していく。
    難しい昔の人の名前や地名がたくさんでてきてイメージしづらかった。
    そのため半分くらい読んで脱落。

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プロフィール

1907年山口県周防大島生まれ。日本各地でフィールドワークを重ね、特に移動する人びとに注目し多くの民俗誌を残す。おもな著書に、『忘れられた日本人』『海に生きる人びと』『家郷の訓』など。1981年没。

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