- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061597389
作品紹介・あらすじ
朝鮮戦争の勃発によりアメリカの対日政策は転換し、日本は警察予備隊を創設、再軍備への道を歩きだす。そこには出発点から、その後の防衛論議を大きく歪める数々の要因を孕んでいた。吉田内閣、芦田均や鳩山一郎ら自由主義者、西尾末廣ら社会党右派はこの防衛問題をどう捉え、いかに対処したのか。戦後政治上最大の論点を原点まで遡り精緻に検証する。
感想・レビュー・書評
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1988年に中公新書で出ていたものの文庫本化(講談社学術文庫)。冒頭に日本と西ドイツの再軍備過程の政治的背景の違いについて言及した後、日本国内の各政治勢力の分析に入る。
吉田茂を筆頭とする保守派、芦田均・鳩山一郎・石橋湛山といったリベラル派、そして西尾末廣・片山哲など党内の分裂著しい社会党勢力。三者三様の相違と類似を、伝統的ナショナリズムという戦前との価値観共有というものに焦点をあてて描き分けている。
1950年にはじまる再軍備政策が、なぜ広く国民のコンセンサスを形成せぬまま、不十分な形でしか進められなかったのか。この疑問の1つの答えを提示してくれる本書は、読んで本の無い一冊と言えるだろう。
ちなみに著者の大嶽秀夫は京都大学法学部・法学研究科教授(政治過程論)で、解説は五百旗頭真(神戸大学教授)が担当している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦後すぐから55年体制確立時までの国防・再軍備論について、各政党間の対立軸を明確にしつつ、当時に多様な状況下に置かれていた西ドイツとの対比で、何故日本で再軍備問題が袋小路に入っていったのか紐解く本。この辺りを勉強せずに安易に復古主義的に道徳教育とか持ち出そうとする政治家を鼻で笑おう。
終章の社会党内部での再軍備論での分裂過程はこの辺りの本を併せて読むと非常に面白い。
戦後史のなかの日本社会党―その理想主義とは何であったのか (中公新書) 原 彬久著
http://www.amazon.co.jp/dp/4121015223/tiisaka-22/