東洋のこころ (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 54
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061597419

作品紹介・あらすじ

現代人を心の荒廃から救うには、拠って立つ精神生活の基盤を省みることこそが肝要である。それはすなわち、東洋の伝統的思想に立ち返ることである。神観、理法、倫理、宗教、国家、人間関係等の主題のもと、インドを中心に中国、朝鮮、日本等の思想を渉猟し、西洋との比較思想的観点を踏まえつつ、碩学が平易な語り口で縦横に説く「東洋のこころ」。

感想・レビュー・書評

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  • 仏教、そして東洋の思想と難しいお話を、初心者にもわかりやすく解説してくれている本でした。
    印度の基本的な考え方、そして、西洋、中国、日本との比較も大変解りやすいものでした。
    それと、大乗仏教が起こってきた歴史的、社会的事情も理解できました。
    第4章慈悲、第7章普遍的国家の理想、第11章差別対立を超えて、第13章世界国家の理想には、先生の思いが強く込められていました。
    仏教こそが、宗教を介しての人間の醜いいがみ合い、殺し合いを克服できる「真の愛」を根源的に持っているのです。
    もう少し、中村元先生の本にチャレンジしたいと思いました。

  • 比較的短い文章の中で東洋思想を概観できる。
    古代から近代まで、インド・中東・中国・日本・ギリシャなど縦横無尽に思想や人物、世界観をつなげ、まとめられている。
    後半はラーマクリシュナ、ヴィヴェーカーナンダに比較的ページを割き、最後に世界平和。
    膨大な知識を分かりやすい言葉でつづってある。

    ●恥を知らず、厚かましく、図々しく、人を責め、大胆で、不正なるものは、生活しやすい。恥を知り、常に清きを求め、執着を離れ、へりくだり、清く暮す賢者は、生活し難い。(ダンマパダ)
    ●あらゆるものは相互依存によって成立している。だから本体は空であり、この絶対的立場を「究極の真理」とよぶ。あらゆるものの実相「諸法実相」は空であり無我である。(ナーガールジュナ)
    ●神は内にまします。そうなると、巡礼も必要ない事になります。(カビール)
    ●人間は神の姿であるから、人間に奉仕する活動は神に対する崇拝に他ならない(ラーマクリシュナ)

  • 天空はインド・ヨーロッパ諸民族においては父なる神とみなされていました。
    近代西洋の思想家のうちで、インド哲学をもっとも強く影響を受けたのはショーペンハウワーである。
    世の中には人間だけでなく、生きとし生けるものが満ち満ちており、それらと友になろうというのです。
    儒教の仁(Humananeness) は仏教では「殺すなかれ」

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著者プロフィール

新潟大学人文学部准教授
1977年、東京都八王子市生まれ。1999年、東京都立大学人文学部史学科卒業。2009年、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、博士(史学)。
八王子市総合政策部市史編さん室専門員、獨協大学法学部特任助手を経て現職。
著書・論文に、『東京の制度地層』(公人社、2015年、共著)、『新八王子市史 通史編5近現代(上)』(八王子市、2016年、共著)、『新八王子市史 通史編5近現代(上)』(八王子市、2017年、共著)、「1930・40年代日本の露店商業界紙『関西俠商新聞』・『小商人』・『日本商人』について」(『資料学研究』12号、2015年)、「戦災の記憶の継承と歴史資料――長岡空襲の事例に即して」(『災害・復興と資料』8号、2016年)など。

「2018年 『近現代日本の都市形成と「デモクラシー」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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