戦国期の室町幕府 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061597662

作品紹介・あらすじ

民衆が歴史の表舞台に登場し、日本文化の伝統が形成された戦国時代の京都。その実像とはどのようなものか。本書は山門と五山の争い、幕府財政、警察制度、徳政一揆等を素材に政治経済都市としての中世末期の京都を概観、応仁の乱後の自治都市成立までを精緻な論証に基づいて活写する。中世史研究に一石を投じ高い評価を得た幻の名著、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • まだ途中。禅宗寺院の外交・財務官僚組織としての役割を論じた前半部分が非常に面白い。
    室町幕府はそれなりにしかりした官僚機構と統治能力があったのではないかという気がする。特に京都周辺の行政権の接収こそが、幕府がグダグダになっても滅ぼされずに200年持った要因になっているのではないか。
    ただ、叙任権闘争や帝国教会政策と、禅宗・旧仏教の対立や朝廷の役割が対比されているのではないか?とも感じた。今谷氏の視点は非常に洞察力があり、アイデアとしても鋭いものを感じるが、時に海外の物差しで日本史を測ってしまっていないか、という危惧の念を抱かせる。そうした議論が煮詰まると、当時は王朝(=現在天皇制と中傷されているもの)は存在しても、国民国家というものはまだ存在しなかった、という現実を覆い隠しってしまうのではないか。天皇簒奪論そのものにこだわるより、そもそもそうした必要性があったのか、あるいは、室町幕府が国家機関ではなく、独立した各地域の利害調整機関なのではないのか。こうした視点からモノを述べていくべきなのかもしれない。

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著者プロフィール

今谷 明(いまたに・あきら)
1942年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。文学博士。日本中世史専攻。横浜市立大学教授、国際日本文化研究センター教授を経て都留文科大学学長、現在、国際日本文化研究センター名誉教授。主著『室町の王権』(中公新書)、『武家と天皇』(岩波新書)、『象徴天皇の源流』(新人物往来社)、『近江から日本史を読み直す』(講談社現代新書)、『戦国期の室町幕府』(講談社学術文庫)、『日本中世の謎に挑む』(NTT出版)、『象徴天皇の発見』(文春新書)ほか多数。

「2019年 『文庫 中世奇人列伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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