神と自然の景観論 信仰環境を読む (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061597693

作品紹介・あらすじ

日本人は何に神聖感を抱きいかなる景観の中に神を見たのか。噴火する山、揺らぐ大地、暴れる水は畏怖の対象であり、岬・先島は常世への通路、磐座は神霊の核であった。また洞窟・淵・滝・立神などの自然地形に秘められた神意、松・杉・椎・タブなどの巨樹に蔵された侵すべからざる威力。全国各地の聖地の条件を探り、それにまつわる民俗を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 日本人は、自然現象に神の姿を見た。それは地名に残っている。火山で燃え上がる島は「御焼けの島=三宅島」であり、海に突き出した先端部分は航海の難所であり、神のおわす場所、「御さき=岬」。つまりは地名、地形を指す語の多くはそもそも尊称なのであった。

    「西洋人は自然を征服するものと思っている。日本人は共存するものと思っている」というのは、日本人自身が割と好きな世界観であるが、こうして観ると古来日本人は自然を恐れていたことがわかる。「自然との共生」といった感覚は、ある意味西欧の文明の力を借りることで自然を破壊し始めてからの価値観ではないか、と感じさせられる。

    自然に分け入ったときに覚える「謙虚さ」はこんなところに源流があるのかも知れない。

  • 信仰と空間のかかわり

  • 久々に面白くてサクサク読める学術文庫を読んだ!!

    これは面白いね。

    自分は高千穂に近いところに住んでるから、改めてもう一度高千穂に行ってみようと思った。

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著者プロフィール

1937年 静岡県に生まれる
1959年 國學院大學文学部卒業
1988年 文学博士(筑波大学)
2015年 文化功労者
2017年 瑞宝重光章

専攻──日本民俗学
現在──近畿大学名誉教授

著書──
『焼畑民俗文化論』『稲作民俗文化論』『四万十川民俗誌──人と自然と』(以上、雄山閣)、『生態民俗学序説』『海岸環境民俗論』『軒端の民俗学』『庶民列伝──民俗の心をもとめて』(以上、白水社)、『熊野山海民俗考』(人文書院)、『山地母源論1・日向山峡のムラから』『山地母源論2・マスの溯上を追って』『「個人誌」と民俗学』『牛馬民俗誌』『民俗誌・海山の間』(以上、「野本寛一著作集Ⅰ~Ⅴ」、岩田書院)、『栃と餅──食の民俗構造を探る』『地霊の復権──自然と結ぶ民俗をさぐる』(以上、岩波書店)、『自然と共に生きる作法──水窪からの発信』(静岡新聞社)、『生きもの民俗誌』『採集民俗論』(以上、昭和堂)、『自然災害と民俗』(森話社)、『季節の民俗誌』(玉川大学出版部)、『近代の記憶──民俗の変容と消滅』『井上靖の原郷──伏流する民俗世界』(以上、七月社)、『自然暦と環境口誦の世界』(大河書房)、『民俗誌・女の一生──母性の力』(文春新書)、『神と自然の景観論──信仰環境を読む』『生態と民俗──人と動植物の相渉譜』『言霊の民俗誌』(以上、講談社学術文庫)ほか

「2022年 『麦の記憶 民俗学のまなざしから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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