法哲学入門 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061598010

作品紹介・あらすじ

正義の根拠とは? 法の拘束力とは?
法学と哲学の逆説的関係から生まれる根本問題に挑戦

知の愛である哲学が非常識の世界に属するのに対し法学は常識の世界に属する。両者の出合うところ人間存在の根源的問題が立ち上がる。世界を支配する理性が社会において自然法として現れ、個人の内にも浸透し秩序を齎(もたら)すという順接的関係が疑われるところに生まれる諸問題。正義の根拠、人間性と社会秩序、法と実力など、法哲学の論点を易しく解説。

A:赤信号だ。渡るのはよせ。
B:いや轢かれて死ぬのは俺だ。放っておいてくれ。
ここでAが何と答えても、それは倫理学・法哲学上の1つの立場といいうる。例えば「ああそうか、じゃ勝手に死ね」「馬鹿をいえ、轢いた運転手やら、後続車やら、みんな大迷惑だ」「死ぬのはお前の勝手だが、法律を破るのはお前の勝手じゃないよ」「生命あっての物種じゃないか」 このように、私たちは、日常生活においても、もろもろの法哲学的問題に取り巻かれて暮らしている。――<本書より>

感想・レビュー・書評

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  • 久々に法哲学に触れる、復習のつもりで読んでみた。
    とてもわかりやすかった。

  • 法哲学という響きがでおもしろそうでつれてきた本。法哲学者が、法哲学とは何か、法とは何か、実定法とは何かなどなど、法について哲学的にマニアックに展開していく本。内容は平易で読みやすい。堅苦し本かと思いきや、例などを交えてエッセイ調に進むところもあり、楽しく読むことができた。法とか正義とか、そういうのを理屈で考えるのが好きな人におすすめな一冊。

    ——以下、Twitter(リンクは、3/9以降)

    読了本。長尾龍一「法哲学入門 (講談社学術文庫)」 https://amzn.to/3ULIra3 長らく積読本コーナにいた本。気が向いたので読んだらとても良かった。法となにか、法律とはなにか、正義とはなにか、などを哲学的に展開していく。エッセイ調で読みやすく、教科書という感じではない。 #hrp #book #2024b

  • 法律や法学に興味を持った子どもたちに、そもそも法ってどういうものだろう?という根本を、著者一流の博識とユーモアで語る名著。電子書籍版があるので、家から一歩も出なくても読めます。

  • 【目次】
    はしがき [003-004]
    目次 [005-008]

    第1章 法哲学とは何か 011
    第2章 人間性と法 053
    第3章 法とは何か 096
    第4章 実定法 138
    第5章 実定法を超えて 180
    第6章 法哲学と現代世界 223

    原本あとがき(一九八二年二月十六日 長尾龍一) [268-269]
    学術文庫版あとがき(二〇〇六年十月八日 長尾龍一) [270-279]

  • 法哲学入門という名前だけあって、読みやすい。しかし、「○○入門」という名前でありながら、内容が濃い本も多いため、そういった類いの本かと気構えていたため、やや肩透かしという感想を持った。
    法律と縁が薄い人にはこれくらいの方がよいのかもしれない。

    もっとも、法律についてある程度知っており、哲学もある程度知っている自分にとっては、内容が少し薄いように感じられた。

    しかし、多様な引用があり、教養は増えるのかもしれない。また、よく言えば、哲学たる理論だけを書いているわけではないので、読みやすい。悪くいえば、理論部分があまり書いていない。法哲学の紹介という意味ではこれくらいでよいのだろう。法哲学にこれから入門するための準備としての本なのだろう。

  • タイトル「法哲学入門」という格調高く、読むのが難しそうな印象を受ける。が、内容は思ったほど難解ではない。
    基本的な構成は、まず章の初めに論点を述べる。例えば、自然法とは何かなど。それに対して、過去の名著を引用し(ヨーロッパの法学者や哲学者からの引用とそれと対比するための中国の思想家を意図してまんべんなく引用している印象を受ける)、それに対する歴史的な論点を紹介するというもの。
    著者の考えも述べられているが、上記の引用を踏まえて彼らがこのように言っているし、それを否定するような根拠もあまりないので、これが現在の主流です、的な説明であり、やや消化不良である。

    本書のテーマである「法哲学」というのは理系の人にとってはあまり馴染みがないので、そもそも自然法や実定法とはなんぞや、という(私のような)人は本書から読み始めるのは適当でないと思う。
    やはり、大陸法や欧米法の生みの親の原著を読み解くのが早いのであろうか。。。。
    しかし、HobsやJohn Lockeをいきなり読むのはいささかハードルが高い、、、なにか適当な著書はないものであろうか。
    「法」は、各国で内容は異なるが、その根底となる考え方は何か。それに対する歴史的な経緯、そしてその問題点、今後の展望が書かれているものがあれば是非、一読したいものである。

  • 321.1||Na

  • 学生時代に,一度,手にしたのですが,どうしてだか,通読できませんでした。学術文庫で出てたのですね,無性に読みたくなって,今度こそと通読してみましたが,学生の時とは全然違う印象で,とても興味深いものでした。今の自分の実践に何か欠けている気がしていて,これらの分野にも目配りしていきたいと思った次第。

  • 日本一わかりやすいはずなんだけど…
    頑張って読了目指します

  • 法哲学における様々な問題を、古今東西の思想家・哲学者の言を引用しつつ、軽妙な語り口で書き出している。学術書的な内容を求めているといささか不満足を覚えるかもしれないが、読みやすさという点で非常に好著である。

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