- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061598096
作品紹介・あらすじ
日本人は古来、石には神霊が篭ると信じてきた。庶民は自然石を拝み、石を積み、あるいは素朴に造型して、独自の多様な石造宗教文化を育んだ。仏教以前の祈りの時代から連綿と受け継がれてきた先祖たちの等身大の飾らない信心の遺産。路傍の石が体現する宗教感情と信仰を解き明かし、埋もれていた庶民信仰の深い歴史を掘り起こす。
感想・レビュー・書評
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道祖神、庚申塔、お地蔵さん。道端にある謎の石。たまにおじいさんが拝んだりしている。あれはなんだ?という疑問から読んでみました。著者は、これらは仏教や修験道の影響を受けたデザインや意味をもっているが、もともとは石に祈りを捧げる日本人の素朴な庶民信仰があったのだと説きます。論は説得的で言及する例も面白い。賽の河原の由来や荒魂を塞ぐために石を積んだという話はなるほどと感心しました。最後の解説を読んで初めて著者が日本仏教民俗学という学問ジャンルを拓いたほどの碩学であることを知り納得しました。読んで損はない本だと思います。
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日本人は古来から、石には神霊が籠ると信じてきた。
日本人はギリシャ人やローマ人のように人体の美を石で表現することなく、仏像や神像のような宗教的表現にだけ石を用いた。これは石や神や仏や霊の魂が籠っているというアニミズムが発達していたから。
石に神の魂が籠っているという信仰は、宗教が九的にはアニミズムと呼ばれるが、日本人の庶民信仰は特にこれが強い。
日本人の民族宗教では、死者の霊は山へ帰るとされている。
貴族文化やインテリ(表層)文化は庶民(基層)文化と違って、古代も中世も近世もあまり変化せずに伝承されて現在にいたっている。