病が語る日本史 (講談社学術文庫)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 講談社 (2008年8月8日発売)
3.48
  • (5)
  • (26)
  • (27)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 464
感想 : 31
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784061598867

作品紹介・あらすじ

平安時代の人々は病気に罹ると怨霊・物の怪の所為とそれにおびえ、加持祈祷を大々的に行った。また仏教の伝来、遣唐使の派遣は海外の伝染病をもたらした。そして疾病の蔓延は人々を苦しめ、政治を動かし、大きく変えもした。
寄生虫に冒され、結核やポリオも病んだ縄文・弥生の人々、贅沢病ともいえる糖尿病で苦しんだ藤原家一族、江戸時代猛威をふるったインフルエンザやコレラ。
その他、天然痘、麻疹、梅毒、眼病、脚気など、各病気と当時の人びとがいかに闘ってきたかを、歴史上の事件、有名な人物の逸話を交え、〈病〉という視点を軸に展開していきます。
日本武尊の死因・脚気の原因はいつ明らかにされたか?
もし武田信玄がガンで急死しなかったら?
具体的な謎解きをまじえ、読者の興味を引き付けながら、それらの病が日本の歴史に及ぼした影響をさぐってゆきます。

医学史研究の第一人者が語る病気の文化史であり病気の社会史です。

原本 『病が語る日本史』講談社、2002年刊


●主な内容
第一部 病の記録
骨や遺物が語る病/古代人の病/疫病と天皇/光明皇后と施療/糖尿病と藤原一族/怨霊と物の怪/マラリアの蔓延/寄生虫との長いつきあい

第二部 時代を映す病
ガンと天下統一/江戸時代に多い眼病/万病のもと風邪/不当に差別されたらい・ハンセン病/脚気論争/コレラの恐怖/天然痘と種痘/梅毒の経路は?/最初の職業病/長い歴史をもつ赤痢/かつては「命定め」の麻疹

第三部 変わる病気像
明治時代のガン患者/死病として恐れられた結核/ネズミ買い上げ--ペスト流行/事件簿エピソード/消えた病気/新しく現れた病気/平均寿命と死生観

関連文献 
あとがき

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

病気と歴史の深いつながりを探る本書は、古代から現代に至るまでの日本人の病との闘いを描き出しています。平安時代の人々が怨霊や神仏に頼って病を治そうとした様子や、藤原家の糖尿病の記録を通じて、当時の人々が...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2021/7/8読了。

    この本の趣旨とずれるが、最後まで読んでみて思ったことがある。

    教科書でさらりと流していた、教科の一つとしての日本史だったが、大昔から現代まで人々の営みが地続きであることが実感できる内容であるなということだ。

    当たり前のことだけど。

    例えば、藤原道長が糖尿病に苦しんでいたという当時の日記を追うと、今と変わらない病に平安時代から苦しんでいたんだ、という、変な話だが親近感が湧く。

    そして大抵病を患うと神頼みが始まるのだが、原因の分からない当時は真剣に拝んでいたのだろう。医学の進歩には感謝しかない。

    歴史に少しでも興味があるなら、病に興味がなくともこの本は楽しめるとおもいます。

  •  古代においては、天下に流行する疫病は、天皇の失政によるものと信じられていたという。天皇からしたらたまったものじゃない。道臣命がなんとか言葉の魔術で妖気を取り払うから天皇になりましょうと励まして、やっと神武天皇が即位したが、古代から現代まで国のトップになるということは、国土のすべての呪いを一手に引き受けることであるので、かならずその魔を取り払う人間が必要なのである。最澄や空海もその取り払う役割を時々まかされたりしたのだろう。
     梅毒、つつが虫病、住血吸虫、マラリア、数えきれない病の数々を乗り越えたのがつい最近のことであるように思える。(実際、つい最近のことである)
     この本を読んでまず思うのが、病気と人間の関係の深さ、つらさ、容赦のなさである。病気によって歴史まで変えられてきたともいえる。藤原四兄弟の死なんぞは特にそうだし、怨霊を鎮めるために造られた建物だのなんだの、病気が間接的に文化を生み出したといえるところもあるのではないか。(豆まきも無病息災だ)
     万葉集でも有名な遣新羅使も、天然痘に苦しめられ、100人余りのメンバーが、40人に減るという悲惨さ。地獄のような往復の旅路だっただろう。しかも、それほどの成果もあげられなかった。

     安政五年のコレラ大流行のときは、人通りが途絶えるほどの事態に。三カ月ほどでその猛威は終了したらしいが、葬式が間に合わないほどの死体の山で、火葬場が棺桶で山積みでパニックになっている絵が紹介されている。
     脚気については、古代の医療ですでに治療法はだいたい見通しがたっており、なぜその伝統がなくなって大量の死者を出すに至ったのか、そこを知りたいと思った。鴎外がなぜ気がつかなかったのか、というところだ。民間の療法なんぞ頭から馬鹿にしていたからのせいだろうか。それとも、鴎外は兵隊の貧しい食事を想像できないくら、豊かな暮らしをしていたからだろうか。謎が深まるばかりだ。

     客観的に研究し、成果を出すというのは、ようやく、ここ100年くらいのことではないかと思う。医療というものが信頼を得たのも、ここ100年ではないか。よくおじいちゃんとかおばあちゃんで、医者に行くのを極端に嫌がる人がいる。それは、医者というのは、100年以上前では、病気を治せるか治せないかはほんとうに微妙なところであり、最終的には運か抵抗力がもともと強い人間かが、自前で治し、命を保っていた。だから、医者に行っても行かなくても一緒だという思考を、おじいちゃん世代は親から受け継いでいて、それが医者への不信感につながっているのかもしれない。それか、医者に行くことは、世間へのお騒がせなことであり、なんとか自前で治すという思考がおじいちゃんの世代にあるせいか。

     ウィズコロナじゃないが、昔はウィズどころか、圧倒的に病気のほうが上だった。病気は治すもの、治せるものだなんて、おこがましかった。むしろ死ぬのが当たり前だった。もし現代と古代の価値観でもっとも異なるものがあるとするならば、病気との共存のレベルというか対比が圧倒的に違うところだろう。神、悪魔、病気、怨霊、最上級の化け物として病気は常に存在していて、病気のレベルがここまで下がったのはつい最近である。もちろん治せない病気はまだまだあるだろうが、この本を読む限りでは、人類の昨今の発展速度は、素直に凄いと思う。ピンカーではないが、めちゃくちゃ世界はよくなっている。コロナがなんじゃい!と思ったりもしてしまう。人類を数万年苦しめたものが、この100年でどれほど解決されたのか。まとめている本はありそうであるし、本著からも十分想像できる。

  • 入院中に自宅の本棚から供給してもらった。何年か前に気になって購入してあった著者だ。
    著者は1935年生まれ、この時代に女性で大学、しかも医学部を出るなんて相当レアなケースであるまいか。大学院で医学史を修めている大変研究熱心な方だ。
    第一部の「病の記録」は面白い。天平、奈良、平安時代にどんな病気が記録されどのように病気をとらえて治療に当たっていたか、当然科学的アプローチはなくほぼ神仏への祈祷しかない時代だ。また病気による死が世継ぎ問題に直結している有様なんかも興味深い。よくこの切り口でまとめていただいたと思う一冊だ。

  • 古代より日本ではどのような病があり、それがどのように歴史に関わったのかを知ることができます。
    当然のことながらウイルスや病原菌の存在は知られておらず、流行り病は、怨霊や物の怪、はては天皇の失政に対する神々の怒りのせいということで、大仏を建てたり僧侶を集めて読経させたりお祓いしたりと、どんな権力者であっても神仏に頼るほかはなかったのです。
    現代ですらアヤシげなサプリやトンデモ系健康法などが跳梁跋扈しているのですから、治療法の確立していなかった時代の人々にとってはそれも無理からぬことだと思います。
    本書には、マラリア、コレラ、ペストに赤痢と数多くの病名が出てきます。それどこの国…と絶句しそうになるくらい。
    王朝文化咲き誇る鳴くよウグイス平安時代の裏側も、想像以上にシビアでした。
    またそれ以外にも市井に蔓延した数々の流行り病や、糖尿病や胃がんなどに苦しめられた歴史上の人物についても解説されており、興味深い一冊です。

  •  藤原道長が糖尿病だったと聞いて、きっと日本一の贅沢をしていただろうから糖尿病であったのもうなずけると、肖像画や望月の歌を思い浮かべる人も多いと思う。しかし原因は贅沢だけでなく、藤原一族には糖尿病素因があり、一族の中の何人も糖尿病に苦しんで亡くなった人がいるそうだ。

     『古事記』に出てくる神話の時代のヒルコの話から、昭和のサリドマイド事件の話など広い時代にわたってのエピソードが面白い。
     平安時代には物の怪が病の原因だと思って祈祷師を呼んだり、江戸時代になってもまじないで病を治そうとしたりといったことは、現代の人々から見れば、一見、ばかばかしく思える。しかし、現代の一般の多くの人は、病気の原因となるウイルスや菌を実際に見たことがあるわけでも、自分で薬を調合しているわけでもなく、単にそれが正しい知識であると教わっているから、病気の原因が何であり、薬を飲めば治るのであると思っているにすぎない。それを考えると昔の人も今の人も、やっていることは同じなのではないかと思った。

  • 日本史を病気という切り口で見ていく一冊。日常的な病気から流行病まで広く概観している。
    ところどころ教科書に出てくる歴史上の人物とクロスオーバーさせているので、自分ごとにしやすく、理解も進む。
    随所で文学作品の記述を通して病気を見ているのも面白い。当時の病気を知る上で文学作品も重要な史料になるようだ。

    医療技術の進歩や衛生環境の改善で淘汰される病気(寄生虫による病気など)があれば、生活習慣の変化によって新たに問題となる病気(生活習慣病や公害病など)もあった。日本人と病気との付き合いにも歴史ありだ。

  • 迷信から科学へ -病気でみる日本史- 酒井シヅ 氏 アットホーム(株)大学教授対談シリーズ『こだわりアカデミー』
    https://www.athome-academy.jp/archive/culture/0000000137_01.html

    『病が語る日本史』(酒井シヅ):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000151477

  • いまだかつてない災厄に見舞われているかのような雰囲気が蔓延している2020年。でもさ、ずーっと昔から人は病とつきあわされてきたんだよね。

  • 文献に残る限り昔(日本武尊まで!)に遡って、日本における病気と人との歴史を紐解いた一冊。
    時系列で丁寧に追っていくので読みやすいです。
    時代によって病気の流行り廃り、名称の変化、などもあったのですねー。藤原道長は環境的にも家系的にも糖尿病になりやすかったとか、鎖国中は日本にインフルエンザが流行らなかったとか。
    面白かった。

  • 遺跡から発掘される病や怪我の跡。昔は今では亡くならないような病気をこじらせて死んでいく人がたくさんいた。一方、今では歩くのもままならないような大怪我をしながらも自然治癒に任せて生き延びた人もたくさんいた。矢が刺さったまま、骨がかたまってしまった人骨の話は大変興味深い。

    遣唐使を派遣した翌年から、疫病が全国的に広がったらしい。平城京への遷都も疫病を免れるためだったが、遷都によって農民の負担が増えて飢饉を引き起こしたという。

    興味を持つような出来事がたくさん並べられていて、読みやすい一冊。病の世界史なら「感染症は世界史を動かす」「疫病と世界史」を、病の日本史なら本書をおすすめしたい。

  • 日本の歴史と病気との関わりを追った本。著者は医史学専門の人。いろんな学問があるものです。大まかに、縄文弥生時代から時代を追って、時代ごとの病気について述べられている。縄文・弥生の場合、骨や遺物から探ることになるため、外傷や奇形などにどのようなものが見られたかがわかる。古代になってくると、文書で残る記録から、誰は何の病気であったかの推測が可能になる。それもそれでおもしろいのだが、やはり時代がもう少し下って、感染症の話あたりがおもしろい。安政に流行ったコレラ。ペリーが来航して日米通商修好条約が結ばれる少し前、長崎港に入港したアメリカ船の船員がコレラに感染していて、ここから大流行が始まる(ちょうどジョン・スノウがコレラが経口感染することを突き止めた頃だ)。ペリーが来たり、大地震があったり、安政の大獄があったり、安政って大変な時代だったんだなぁ。天然痘も古くから恐れられていた病気であり、日本でも「もがさ」と呼ばれて恐れられ、もがさ封じのための錦絵などがあったという。ジェンナーの種痘が伝わるより前に、日本でも、病人の瘡蓋を粉にして未感染児の鼻に吹き込むなどの人痘接種法があったのだそうだ。それなりによい成績を挙げていたが、ジェンナーの種痘法には及ばなかったらしい。また、ペストの伝来は明治29年。防疫に努めた結果、日本ではヨーロッパほどの大流行には至らなかった。時代が下ってからの伝来であったことも幸いしたのだろう。

  • 文明開化の時代に暗殺されたりされかけたりした人が受けた処置とか、ペストが入ってきたときどうやって対処しようとしたかとか、「へぇー」「へぇー」と言う感じ。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/50463

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/50463

  • 人口減少社会を生きる我々は縄文人よりも豊かな生活を送ることができるだろうか? 消費税を10%に増税し国民に負担ばかりを強いてくる国家で弱者を守ることは可能だろうか? 学校で繰り広げられるいじめが大人社会を映したものであるとすれば、我々は弱者を踏みつけにすることで社会の安定を保っているのだろう。
    https://sessendo.blogspot.com/2020/03/blog-post_23.html

  • 病気
    歴史
    医学

  • 【展示用コメント】
     新しい病、消えた病……?

    【北海道大学蔵書目録へのリンク先】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2001401570&key=B154509958402653&start=1&srmode=0&srmode=0#

  • 自身の勉強に。
    いやはや、遊女や非人関連の本とも通ずる部分があって興味深かった。

  • 新書文庫

全29件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

「日本医学教育歴史館」(順天堂大学)館長。東大大学院医学系研究科博士課程修了。順天堂大学名誉教授を経て同特任教授。日本医史学会理事長などを歴任。『日本の医療史』『病が語る日本史』など著書多数。

「2017年 『医学の歴史 大図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井シヅの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×