陽だまりの樹(9) (手塚治虫漫画全集)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061759343

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    「ヒュースケン暗殺」
      万次郎はおせきが尼になったことを知るためにヒュスの元へ。
      ヒュスはおせきを見初めて、手篭めにしてしまったと。
      お役御免で違う役職につくことになった。
      何かやりきれず…
      そんな時、お吉がヒュスを売ったと告げる。
      駆けつけた万次郎は息を引き取ったヒュスと対面。
      斬ったのは丑久保。
      これを切欠にテロが横行する。
      極めつけは生麦事件だ。
      生麦事件が引き金で攘夷派が大きくなっていく。
      

    「良仙行く」
      手術中、良仙手が震えて良庵に変われと命ずる。
      縫合をしている間、良仙が倒れる。
      俊斎は良庵に良仙を継げと。
      リハビリのため、西洋医学所へ運び込まれる。
      年越しをして、俊斎が倒れる。胃校結腫(胃がん)で。
      四月九日、俊斎は死んだ。良仙は認められないでいた。
      伊東玄朴は緒方洪庵に手紙を出す。江戸に来ないかと。
      洪庵江戸行きを決める。
      伊東玄朴に看取られ、良仙は皆に見送られて逝った。
      良庵は、良仙の名を継ぐことを決意する。


    「テロリストの夜」
      良仙を引き継いだはいいが、大先生はもっと丁寧に見てくれたとか、
      若い娘だと依怙贔屓していると…
      夜、水戸藩の脱藩し怪我をした人が急患でやって来る。 
      テロの仲間割れだと言うが。


    「長沢村異聞」
      万次郎が登城する時三百坂を駆け上る。
      平助がお供
      小姓組百石取りの身分となり、案内が付く。
      二の丸お留守居役が待っていると聞いて通された部屋は奥医師を殴った部屋。
      出てきたのは勝だった。
      勝は万次郎に百姓、農民を西洋式軍隊の訓練をしてくれとのこと。
      選出は任せると…
      途方に暮れた万次郎を母が助ける。伊武谷家の故郷。
      そこには禁止されている賭博場があった。
      奉行の河緒に金で守られている賭博場。
      そこに万次郎登場で奉行は下がった。
      借用もすべて片付けて、村を救った万次郎に恩を受け、百名の百姓を連れて江戸に戻る。


    「農兵節」
      百姓を訓練するもついていかれず、悩む万次郎。
      平助が歌を歌わせるとアドバイス。
      なんだかんだで歌いながら付いてくる。
      夜、百姓が万次郎の元にやってくる。
      剣術を教えてほしいとう。万次郎が斬った姿がカッコ良かったから。
      軍隊で、剣を使って人を切ってみたいという…
      追い返してから、万次郎が 軍隊は人を殺す集団じゃない と一言。
      万次郎は叫ぶ。俺と関係なく世の中が変わっていくだ!と。
      しもやけで悩む万次郎、ある日清河氏に会う。
      清河は浪士組たる「虎尾の会」を組んでいた。
      尊皇攘夷をするために。
      万次郎は反対し、対決の姿勢になるが、鉄さんが止めに入る。
      平助が侍になりたいと再度万次郎に頼む。
      なれないと思っていた万次郎が聞いた話は浪士組。
      お上にお抱えになる上十両もの支度金がもらえるという。
      浪人、剣好きな百姓町人色んな人を募っていると。
      清河八郎、取締役は山岡鉄太郎だという。
      平助は浪士組に入ると言う。
      侍になったら再度万次郎に仕えるというが…


    「浪士組結成」
      文久三年、平助は万次郎が考えた 桂木平助 という名で浪士組を募った小石川伝通院に向かった。
      そしてお昼に平助が顔を出すと情報があった。
      農兵の三人が浪士組に入ってると…
      探し当てて中庭に入ると三人は芹沢鴨に痛めつけられていた。
      万次郎は止めるが、芹沢は収まらない。
      と、止めに入ったはまたしても鉄さんであった。
      鉄さんに たかが百姓 と言われて 俺の部下だ! といい切る万次郎。
      夜に対峙する二人。一人、万次郎の前で斬られる。
      酒を煽って万次郎を迎え撃つ芹沢。
      その酒を使って、万次郎は一緒に逃げろという。
      走りに走って、隊舎の裏で待ち合わせ。
      実は小隊に話をつけてあって、威嚇射撃で追い払う。
      憤る芹沢を諌めたのは、土方歳三。
      数日して、二百三十余名は京に向かった。


    いや、ついに新選組の土台となるものが出来るんですね・・・
    色々な事が一気に繋がってくる自分の知識。
    片手落ちなのは十分承知していたが、おかげで補完できます。



  • 幕末の時代柄も合わさって激動の日々が主人公二人に付き纏う。
    面白みを欠かすことなくそれをずっと描き続ける手塚先生の偉大さはどんどんどんどん
    増していくばかり。

    1巻からどれくらい年数経っているんだっけ。

  • <全11巻通してのレビュー>
    面白く一気に読める。

    無骨で真面目な下級藩士である万二郎と遊び人の蘭方医である良庵の二人が主人公。幕末という時代で、開国、徳川崩壊という変局に直面した武士と、漢方医が主流の中で西洋医学の有意性を説く医師、という性格も置かれた立場も異なる二人がこの時代ならではの、己の生き方に葛藤し成長して行くストーリー。

    西郷隆盛や勝海舟の様な強運でドラマチックな展開もなく、盛り上がりに欠ける為、手塚治虫作品にしてはメジャーにならなかったのも理解できる。

    しかし、実在の人物を題材にしているだけあって、都合良く思い通りに進まないのが返って良い。想い人とは添え遂げられす、望まぬ結婚をしたり、気の進まない軍医になったりと、ちっとも上手くいかず散々だ。だからこそ、とても現実的で、志を幾ら高く持っても英雄になれなかったこの時代の多くの志士達の人生が伺える。それだけに余計に奥深く心に残る。

  • 1981年から5年半に渡って連載された歴史長編。幕末好きの僕にとってはそれだけでも愛すべき作品なのですが、見事すぎる物語の巧みな構成と登場人物それぞれの魅力(義理に生きる伊武谷万次郎と人情に生きる手塚良庵の対比をはじめとして)を通して、最も好きな手塚治虫作品のひとつです。

    終盤、おせきさんに最期の別れを告げに行ったあとの万次郎の無言の2ページがいかに雄弁に万次郎の心境を物語っているか。これからも、この作品を読み返すたびに手塚治虫の偉大さを思うことでしょう。

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著者プロフィール

1928年、大阪府豊中市生まれ。「治虫」というペンネームはオサムシという昆虫の名前からとったもの。本名・治。大阪大学附属医学専門部を卒業後、医学博士号を取得。46年、『マアチャンの日記帳』でデビュー。幅広い分野にわたる人気漫画を量産し、『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ジャングル大帝』など、国民的人気漫画を生み出してきた。

「2020年 『手塚治虫のマンガの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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