火刑都市 (講談社ノベルス)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061813670

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  • 切ない社会派ミステリ。

    わたしも恋人が東京に就職になって、彼に会いに一人で夜行バスに乗って、はじめて新宿に降りた時、早朝にも関わらず大量の人が足早に行き来しててとても怖くて孤独を感じた経験があるので、由紀子の気持ちがすごくわかる。
    彼女は1人でそこで生きていかなくてはならなかったからなおさら辛い。

    源一の放火の裏側にある社会派な部分よりも、由紀子の人生や彼女が土屋を殺すに至った過程のほうが実は島田さんが描きたかった部分なのかもしれない。

    しかし、由紀子の人生をみると東京は人々の関わりが薄く冷淡というように感じられるが、寒川の田舎であっても、夜這いをかけられていた由紀子の母のことをみんな黙ってみていた。そこに救いのなさを感じる。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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