暗闇坂の人喰いの木 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (516ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061816626

感想・レビュー・書評

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  • 御手洗潔シリーズ。
    横浜市戸部の暗闇坂の大きな木。
    怪奇的な事件が過去から起こってきた土地で、
    屋根の上で心臓麻痺で死ぬ男、木の幹に頭から「食べられるように」逆さに食い込んだ男、兄弟の連続殺人事件と、母親の殴打事件。過去のおぞましい真相。
    御手洗の変人ぶり、石岡の女性に対してのチョロさ。被害者遺族でありながら、イギリスまで調査を共にするレオナなど、登場人物の個性が立っている。また、死刑の歴史のようなペダントリーも興味深く読め、厚さを感じない小説。ホラー要素と厚みから正直後回しにしていたが、御手洗シリーズらしい突拍子もないトリックで、正直バカミスだと思うので、実は気軽に読める。

  • マンガチックでもあった

  • 「暗闇坂の人喰いの木」島田荘司◆暗闇坂の、人を喰うと伝えられる樹齢二千年の大楠。その周辺で再び奇怪な事件が起こり始める…。不可解なことが立て続けに起こり、とにかく謎が多い。処刑に関する薀蓄などアブノーマルな要素もあるのですが、あまりに非人道的でリアルな怖さを感じる余裕がなかった。

  •  とある家庭で、その世にも奇怪で忌まわしい事件は起きた。長男が屋根の上で、次男が庭にある大楠にまるで喰われるかのように頭を突っ込んで、祖母は次男と同時刻に庭の中で、それぞれ怪死する。探偵・御手洗潔は、この怪事件をどう解決するのか。

     シリーズ中、最も忌まわしい怪作!

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     島田荘司氏の作品の中で、最も心に残る作品。特に新書版には、四六版・文庫版には掲載されていない、本編で語られている図像・写真の現物が載せられており、初めて眼にしたときは背筋がぞくぞくしたものだ。未読の方で古書店で見かけたときは、ぜひ一目見てほしい。

  • 何十年ぶりかの再読。やっぱりグロさは衝撃的。御手洗ものはトリックもステキだが、それにもまして会話のテンポのよさがいいと再確認した。

  • これまた久しぶりに読み返したら、やはり面白かったです。トリック自体は占星術に及ばない気がしますが、話の壮大さではこっちが勝っている気がします。大変読み応えのある一冊。

  • ずっと著者のターンで
    読者はただ読んでいってくださいといっているような
    俗に言う「何もさせてくれない」ミステリーです。

    この作品そのものは
    その奇怪さから本当に
    この怪しげな木がやらかしたんじゃないの?
    と思わざるをえなくなってしまいます。
    4体の死体といい、その後に起こる
    レオナの身内の殺人事件といい…

    ちなみに最後のほうに
    読者に犯人の情報提供か?
    と思わしき表現はされているものの
    実は罠なのでお気をつけください。
    まあ、それは行動の都合上
    そうではないと推測するのは
    容易ではあるんですけどね。

    これは真相部は
    狂気がものすごいです。
    そう、案外普通の人が
    そうでないというのがよくわかることでしょう。

  • かなり怪奇な雰囲気に流されつつ読んでいたら、これでもかってほどとんでもない(誉め言葉)トリックにひたすら驚愕。きちんと解決されるであろうことが分かっているはずなのに、それでも読んでいる途中には「こんなの論理的な解決できるわけないだろ」と思ってしまうなあ。それほどに状況がすさまじくとんでもないよこれは。一歩間違えると、この状況はギャグになっちゃうんだろうけどね。
    謎だけでも魅力的で目が離せないのだけれど、ラスト怒涛の解決編は言わずもがな。特にあの壁画のシーンは圧巻だなあ。個人的にかなり好み。

  • 出版後すぐに読了済。
    買っては手離して、手離しては買ってを繰り返した本。
    これだけは新書で所有することに意味がある。

  •  御手洗潔シリーズの6冊目。 石岡和己が語る横浜暗闇坂人喰い楠の恐怖の物語は戦前のスコットランドまでさかのぼって始まる。 この人喰い楠、樹齢は2000年ということになっている。そのことは全体のストーリーとはあまり関係はないのだけれど、2000年ってすごいってこの時思ってしまった。 一握りの植物は動物よりも遥かに長い寿命を持っている。そしてもしその植物に動物の様な明確な意思や記憶があるとしたら2000年という年数はいったいどういう具合なのだろうと思ってしまったのである。思ったが別になにも想像出来なかった。 怖い話がたくさんたくさん出てくる。ミステリーというより猟奇ホラー小説に分類した方がよいのかも知れない、と途中で思った。いつも通りに最後には謎の全体が御手洗の説明によって明らかにされるのであるが、本作に限ってその謎解明時よりも、途中に出てくるホラーな場面の方が印象に残ってしまっている。 前半に登場する多くの謎の解明には、今までの御手洗作品とはかなり違って、いくつかの重なった偶然的な要因が絡んでいる。  ハッキリ言って 「まあ理解は出来るけど、そこまで偶然が重なるのは反則だぜ」 と思ってしまう。いつもは「トリック」という言葉がピッタシ当てはまるのだが、本作はあてはまらない。犯人ものっけからそれほど綿密に計算されたトリックを仕掛けるつもりはなかったのだから後は偶然しかないか、なのだ。 他の人の感想は未だ読んでいない。このわたしの感想を書いてから読んでみることにするが、似た感想を持っている人も居るのでは、と思える。 誤解が生まれることは本意ではないので、ハッキリと書いておく。この本はイッキ読みで読了する程面白い! お試しあれ。 さて次は『水晶のピラミッド』 またもや長編大作だ!

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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