あいにくの雨で (講談社ノベルス マC- 4)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061819078

感想・レビュー・書評

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  • これまた摩耶ワールド炸裂の一作か。
    立て続けの密室殺人と複雑な人間関係に始まり、主人公達が通う高校を舞台にした諜報戦もどきの生徒会の駆け引き、異質の話が並行して描かれる。しかもどちらも微に入り細に入り描きこまれている。
    しかし、この生徒会絡みの話は全く必要ないし、密室殺人の種明かしも中途半端。謎だけが提起されているが、その落ちは弱く、ロジックで片付けているが動機も含めて釈然としない。
    確かに意外な犯人設定で、探偵役が犯人で、ワトソン役が犯人を暴くというラストは意表を突くが、そこに至るまでの筋道は粗すぎる。不要なまでの主人公の心理描写、退屈な高校スパイ戦?の描写が多くて読んでてダレた。
    登場人物も意味もないキャラも多いし、もう少し刈り込んだ方が遥かに面白くなったのでは?
    謎の設定や捻った犯人像は面白いだけに残念な一作。

  • 暗い!
    生徒会のほうのパートが苦手でした。
    個人的に、麻耶雄嵩作品は短編が好みです。

  • 謎は解決したが、問題は何も解決していないという探偵の無力さを突きつけるような物語でした。
    事件と並行して描かれる日常生活は、生徒会設定が少しぶっ飛んでいるとはいえ、なかなか青春しており楽しめました。それだけに主人公二人(あえて主人公二人と言おう)ともう一人のこれからを思うと暗鬱とした気分に。

  • カバーにある著書の言葉をスルーしてて、いきなり13章から始まったので最初完全に乱丁だと思いました。こんなつくりのミステリは初めて見た。インパクトはあったけど、あえて13章を先に読ませる意図がよくわからなかった。
    塔での殺人と生徒会の話が同時進行するけど、生徒会の話は途中で飽きてきた。こんな絶大な権力を持った生徒会て一体…。
    鳥兎、獅子丸、佑今の3人はこれからどうなっていくんだろう。佑今がどんどん弱っていくところが痛々しい。苦い後味の青春小説という感じでした。
    登場人物の名前読みづらい、比喩表現がどれもぴんと来ない、等々、麻耶作品はあんまり自分に合わないんだろうなぁと思いつつも手を出してしまう不思議。「あいにくの雨で」っていうタイトルは好きです。

  • +++
    かつて殺人があった廃墟の塔で再び殺人が! 発見者は高校生・烏兎(うと)、獅子丸(ししまる)、祐今(うこん)。死体はその事件の犯人と目され、逃亡していた祐今の父親だった。現場には、塔にむかう雪上の足跡ひとつ。そして三たび殺人は起こった。繰り返される、犯人の足跡がない密室殺人の真相は? 麻耶雄嵩、正面から雪の密室に挑戦!
    +++

    密室ミステリなのだが、学園ものとしても愉しめる物語である。主人公の高校生烏兎(うと)と、親友同士のようでいて、一風変わった関係に見える獅子丸や祐今(うこん)との日々。塔で起きた過去と現在の殺人事件にかかわるのはもちろん、学校内での秘密の活動でも、三人のそれぞれ違った個性が際立っている。一見いちばん癖がなさそうに見える烏兎の鋭い着眼点と、気づいてしまった故の葛藤が切ない。なかなか愉しませてくれる一冊である。

  • 暗いジュブナイル。

  • 麻耶さんの本で人に勧めるならまずこれか蛍。

    麻耶雄嵩さんらしさも残しつつ、学園内の柵を細かく書くのが誰にとっても読みやすい。
    ラストもすごくいい、純粋に推理ものとして面白いし

  • メルカトルより、貴族より愛してやまないナンバーワン麻耶キャラ・熊野獅子丸くんの勇姿を久方ぶりに再読。
    こちらが歳をとってしまった分どうかしらん…とひそかに危惧していたのだけれど、青くさい部分もそれはそれで微笑ましく、初読時と変わらぬときめきをくれた、第一級の「青春小説」でありました。

    麻耶雄嵩の、しかもこんな話の、どこが「青春」…?
    みたいな疑問こそ、「若さゆえの過ち」というやつでした。年齢がダブルスコアを越えた今ならわかる、これこそが「青春」そのものなのだと。
    個人的にかつては3人の中で最も影が薄かった、その名も如月烏兎くんの印象が、このたびは誰より鮮烈でした。超「青春」してたもんなぁ…。
    そしてこの烏兎くんが、「恵まれた家庭でのほほんと育ってきた幸せ者」みたいなことを言われるという。「その名も如月烏兎」くんが、ですよ? ここらへんの麻耶節がもう、たまりません。
    麻耶雄嵩、一生愛す。

    「夏と冬の奏鳴曲」も再読しようかなぁ。

    2013/10/23〜10/24読了

  • まさかこんなあっさりカタがつく筈ないよな……と思ってからが本番。まあありがちといえばありがち、予想の範囲内といえば範囲内だけれども。麻耶さんですもんね。
    個人的には学園内の云々に関して、どんな高校なんだよと引いてしまい楽しめなかったので残念。
    事件自体はドロドロとしていて面白かったと思う。犯人と動機を知ってから読み返したら、背筋が薄ら寒くなるだろうなぁ、などと。

  • 良い出来のミステリーだけど、とにかく後味が悪い。
    暗い。つらい。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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