- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061819276
作品紹介・あらすじ
伝説的数学者、天王寺翔蔵博士の住む三ツ星館でクリスマスパーティーが行われる。人々がプラネタリウムに見とれている間に、庭に立つ大きなブロンズのオリオン像が忽然と消えた。博士は言う。「この謎が解けるか?」像が再び現れた時、そこには部屋の中にいたはずの女性が死んでいた。しかも、彼女の部屋からは、別の死体が発見された。パーティーに招待されていた犀川助教授と西之園萌絵は、不可思議な謎と殺人の真相に挑戦する。
感想・レビュー・書評
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不思議なのはナゼ森博嗣がこんなにわかりやすいトリックを用意したのかということ。
犯人像もわかりやすかったし、博士の正体に含みを持たせるだろうということも想像しやすい。
それだけの理由で「つまらない」と断じてしまうには、実は何かが隠されていて、
それを読み落としたのかなという気持ちになるのが森ミステリー。
建築学科の先生らしく、相変わらず建物の描写が驚くほど丁寧。
だからこそ今回はネタがばればれだったのだけど・・・。
とりあえず、S&Mシリーズ4作目も読んでみよう。 -
シリーズ3作目。館で行われるパーティー、その時大きなブロンズ像が消え、殺人が起きる。その謎を犀川先生と西之園さんが追う話。殺人の謎は無理やけど像が消える謎は解けそうだっただけに悔しい。先生がヒントくれてたのに。2人の掛け合いが相変わらず小気味よくそこが良い。
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煙草が吸いたくなる本。
動機部分は数ページで終わる。こちらもそこはあまり望まないので不満なしだけど、今回はあまりに短くて笑えます。
トリックは何となく予想できた(合ってたので喜んでいたら沢山の方が簡単に解いたようで落ち込んだ)。しかし天王寺博士のしたかったこと、最終章含め曖昧な「?」が残ったので考えてみよう。答えは不定で、読者それぞれで定義してもいいよってことなのかなあ。
あと、ビリヤード玉の問題はどうなったんだ。最初から解こうとすらしなかった読者だけど…だから文句は言えない…
犀川先生と萌絵ちゃんの関係性がふわふわしたり急に鋭くなったりする。西之園嬢はじわじわと可愛く見えてくるキャラだ。 -
森博嗣の小説はこれで2作目ですが、とても面白かったです。
私も最初からオリオン像のトリックにも殺人犯も気付いていたので、謎解き部分はそりゃそうだろうなと想像通りで進んでいきます。ただ、最後がわけがわからなくなり、考察サイトを読みました。
読んでみて作者の意図通りまんまとわたしもトリックにかかってしまいました笑
この逆トリックを本当の意味で解ける読者こそが犀川先生みたいな人なんだなと思いました。
是非みなさんにも読んでいただきたい一冊です。 -
今回のオリオン像のトリックはなんとなく分かりました!
癖のある犀川先生と西之園さんのキャラクターにもだんだん慣れてきたけど、西之園さんが犀川先生にあまりにもグイグイいくのはやめてほしいです。犀川先生もドギマギしてしどろもどろになるのやめてほしい。
ラノベとかのポップな感じならそういう関係性もマッチしそうだけど、全体の雰囲気となんだかちぐはぐな気がします。
もしくは西之園さんはグイグイいくけど犀川先生は軽く流して大人の対応…とかならいいかも。
まだあと6冊も続くからこのあとどうなっていくのか楽しみです。 -
既読
文庫版 -
森博嗣さんは、天才を書かせたら天下一品ですね。
ここまで明確に、「天才」を書き出せる人は少ないと思います。
Stereotypeな「天才」ではなく、血と肉を供えた存在としての「天才」。
初めて読んだ森ミステリィが、この作品でした。
再読して、改めて感じます。切れ味の鋭さが素晴らしい。
冷え冷えと冴え渡った刀身のような文体には、ただただ感服するのみ。
本作品では、「天王寺翔蔵博士」が素晴らしいです。
Main trickそのものに関わるネタバレになるから、詳しくは話せないのがもどかしい。
Last sceneに、鳥肌が立ちます。
これが、ヒトの持つ知識が創りあげてきた世界観なのだ、と分かったから。
他にも、「左右の定義」であるとか、大がかりなtrickであるとか。
舞台装置である「三ツ星館(太古の家)」の描き方も素晴らしい。
やはり、建築に関する文章の深さは、専門分野であるからこその面白さがあります。
でもやっぱり、「ビリヤード問題」は解けない僕なのでした。
こういうPuzzle系の数学問題は、面倒くさくなっちゃって駄目なんですよねー。<blockquote> 「確かに‥‥。言われてみればそうですね。でも、定まらないということが、定まっているわけですよ。わからないということがわかったのと同じで、確かに答なんです、数学ではね。まあ、現実にはやっぱり滑稽ですね」
「もう、やめましょう。ついていけません」萩原が手を出して言った。「私は数学は大嫌いです。頭が痛くなりますからね。どうして、あんな難しいことを考えなくちゃならんのでしょう? 意味があるとは思えません‥‥」
「実際には複雑な問題を簡単に扱うために数学が生まれたんですけどね。人間はそれだけでは満足しなかったんです。実際の問題よりはるかに複雑なものまで、考えたくなった」
「今度の事件は複雑な問題です。数学ほどではないにしても‥‥」萩原が言った。
「どこを考えたら良いのか、というのが、一番の考えどころなんです。それは、どんな問題でも同じです」犀川は煙を上に吐きながら独り言をいった。
「それを、糸口、と言っているんです」</blockquote>
著者プロフィール
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