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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784061819320
感想・レビュー・書評
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あの書き出しでノックアウト!!
読んだ瞬間から私も迷宮の糸に絡められてしまったのである!
発売日に地元に帰省中。地元は発売日に届かず帰省を早々にして発売日にあわせてもどり駅前で購入して大事に手に抱えて下宿に戻ったな〜 信号で足をとめページをめくってたな〜
分厚いノベルスシリーズなのでブックカバーを購入したのも懐かしい思い出。読むだけでなくカバーや栞など本を快適に読むためのアイテムに関心をもつことになるキッカケをつくってくれたな〜
ぜひ〜詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
複雑な事件が解けていく瞬間
京極堂さんの憑き物落としの場面
今回は特に好き。
戦後の日本の情景、一族の血、宗教や黒魔術、いろんな背景があってのこの事件。
あれだけの根拠なる内容を描かれると、無理矢理でも納得せざるを得なくなる。
織作家の女性陣の行動力。
各々の個性はあるものの血は引き継いでるなぁ。 -
百鬼夜行シリーズの中では一番好きです。
すっごいです。 -
上手いタイトルだよなぁ、と思いました。
蜘蛛の巣というのは、縦糸が中心から放射線状に広がっているのに対し、横糸は一本だけで、渦巻き状になっているそうです。
で、この物語では、刑事の木場修がその蜘蛛の巣の横糸を辿るように、少しずつ真相に迫っていきます。
と、ここからちょっと面倒くさい話になります。
後で気づいたんですが、作者の作品の構造自体が基本的にコレなんですよね。
そして、この作り方に似ているのが、『モンスター』や『20世紀少年』での浦沢直樹さんだったりします。
これ、又聞きで申し訳ないんですが、以前、島本和彦さんが浦沢直樹さんのマンガを分析したことがあるそうで、そこで以下のようなことを話されていたそうです。
普通のマンガというのは、一つの話がだんだん盛り上がり、クライマックスを迎えるとクールダウンします。一度リセットされて、また次盛り上げていかなければならない。グラフで言うと、横軸を物語の進行、縦軸を盛り上がりと取ると、ちょうど富士山のような形になるわけです。二次曲線で盛り上がって、クライマックスからまた二次曲線で下がるわけです。
このオーソドックスなやり方の欠点は、一度クールダウンしてまた新たに盛り上げなければいけないので、どうしても「下がる」ときが発生してしまいます。
しかし、浦沢さんの話の組み立て方は違います。浦沢さんは、例えばA・B・C3つの話があるとすると、まずAを描き始めます。そして、ある程度の所まで来たら(便宜上、1から3くらいまで盛り上がってきたとします)、そこでいきなりAの話をぶつんと切っちゃいます。で、今度はBという話を始める。これがまた3くらいまで盛り上がってきたら、突然ぶった切って、今度はCを1から始める。で、Cが3くらいまで来たら、今度はAの話を2か2.5くらいから再び始めるわけです。
こうやって3つの話を交互に繰り返しながら少しずつ進めていく中で、一つの大きな物語を浮き彫りにしていくわけです。
このやり方の上手いところは、A・B・Cを回すことで、全てが盛り上がり続けており、クールダウンする瞬間がないのです。つまり、ずっと盛り上がっているように見せることができる。
…と、ここまでが伝聞です(ちょっと私の整理も入ってるかもしれません)。
京極堂シリーズの話も3つか4つくらいの話がコロコロ入れ替わりますよね。構造としては浦沢作品と同じなんだと思います。それこそ、複数の話を先に書いておいてそれらをそれぞれ4つのブロックに切り分け、A1・B1・C1・A2・B2・C2…と配列し直しているかのようです。
このやり方って、また比喩的になりますが、デッサンの線を引くようなモノのだと思います。鉛筆の線を何本も重ねて描いていく中で輪郭を見せていくように、複数の短い線のような物語の断片を重ねることで、一つの大きな物語を見せていくわけです。
だけど、このやり方には欠点もあります。どうしても反復が多くなってダレやすくなるのと、途中で何となくオチが見えてくるのです。
正直に言いまして、本作くらいから京極堂シリーズの話は繰り返しがくどく感じられるようになってきました。同じ事を延々と読まされ、読んでいて「もうちょっと編集がハサミ入れてまとめろよ」と思うことがありました。
(ちなみに、浦沢さんの『モンスター』や『20世紀少年』も途中からそういう印象を受けました。何というか、もったいつけられているというか、引き延ばしをされているみたいに感じちゃうんです)
話としては面白いんですが、それ以上に冗長を感じるようになってきて、その冗長が構造と密接に関わってるのかな? と思った作品です。
何だかオススメしにくくなっちゃいましたが、話は十分面白かったです。 -
圧倒的なページ数に読み切れるのかと毎回不安なりながら読み始めるのに気付けば読み終えている。京極夏彦さんの作品を読み始めるとそのシリーズばかり読んで他のものに手を出すのを忘れてしまう魅力がある。
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個人的な百鬼夜行シリーズ再読キャンペーン5作目。
初読時に度肝を抜かれた本作、再読でどういう感想を持つだろうと楽しみに読んで、やっぱり傑作であると改めて思った。「作品」として、日本エンタメ小説史上に残る一冊。文学賞を受賞していないのが不思議。鉄鼠の檻や狂骨の夢の読後感が霞んでしまったのは、間違いなくこの作品の影響だったのだろうなと。
緻密に構成されたプロットと、十重二十重に張り巡らされた伏線、陰惨で「映える」凄惨な事件の数々、魅力的なキャラクター、フェミニズムと民俗学の高い次元での融合、エンタメ作品として極上すぎるほど極上と思う。
一方で、「物語」としては、改めて読むとそこまででもないかもな、と思ったりも。「作品」としての壮大な仕掛けがあまりにも見事すぎるため、物語として肉付けされるべき構成要素が排除された感がある。たぶん、この1.5~2倍くらいの分量に膨らませることが出来るレベルのポテンシャルを秘めていると思う。あえて削ったのか、或いは単にしんどくなったのか。後者かなあ。
次は塗仏の宴。これもあまり記憶にないので、ほぼ初読に近い感じで読める気がする。初出は絡新婦の理の2年後に出版されているから、当時は絡新婦の理から連続しての読書って感じでもなかったはずで、フレッシュに続けて読める今だからこそ感じる感想がある気がする。楽しみ。 -
今回の百鬼夜行シリーズ、絡新婦の理は四人の美女を中心に据え、二つのストーリーが交錯する。
前作までとの違いは、冒頭がエピローグとなっており読み終わった後に最初の冒頭を読み返さないと気が済まなくなる。
いくつか考察しないと理解が難しい箇所もあり、その点もあいまって面白い作品となっている。
ただし、読了後は悲しさも出る作品でもあり哀愁感を漂わせることは必至。
尚、この作品を読んでシリーズ性を垣間見たが、今回は1作目もある程度リンクしてくる。内容を忘れないようにするのが難しい(笑) -
百鬼夜行シリーズ5作目。
分厚かった~~~!2つの事件が少しずつリンクしていて、とにかくややこしい。そしてその上にさらに黒幕が…!となると完全に脳のキャパを超えました。ひとつひとつの事件は一応理解したつもりだけど、全体図を見るとこんがらがってきて、黒幕の犯行動機や仕組んだ筋書きと各事件とがどうリンクしてそうなったのか、という整理が自分の中でつけられず、ぐちゃぐちゃと複雑に絡み合った事件の表面をすいーっと撫でた程度しか理解が及ばなかった。これは要再読。京極読んだ後は毎回言ってるけど要再読。
今回はいつにもまして前作までの事件の登場人物が複数絡んできて、碧を見てなんとなく魍魎のあの子のことを思い出してたら名前が出てきてちょっと嬉しかった。一通りノベルス版で読んだら今度は分冊で読んでみようかな。
エピローグからプロローグに戻る部分の情景が美しくて印象的でした。
著者プロフィール
京極夏彦の作品





