絡新婦の理 (講談社ノベルス キF- 5)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (829ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061819320

作品紹介・あらすじ

「私の情夫だから」、これは男にとって女に言われる最上の言葉だが、大概の男は、一生に一度もこの台詞を聞くことは無い。何故なら、この台詞を吐き出す女こそ、性悪な女だからだ。そして性悪女の美しさを、大概の人は知らない。彼女達が、どれほど恠しい女なのか。この作品は、それを教えてくれる。-『絡新婦の理』には、主題はあるがメロディーはない。登場人物は、全てパートであり、それらが実に巧みにアンサンブルしている。

感想・レビュー・書評

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  • 百鬼夜行シリーズの中では一番好きです。
    すっごいです。

  •  上手いタイトルだよなぁ、と思いました。
     蜘蛛の巣というのは、縦糸が中心から放射線状に広がっているのに対し、横糸は一本だけで、渦巻き状になっているそうです。
     で、この物語では、刑事の木場修がその蜘蛛の巣の横糸を辿るように、少しずつ真相に迫っていきます。

     と、ここからちょっと面倒くさい話になります。

     後で気づいたんですが、作者の作品の構造自体が基本的にコレなんですよね。
     そして、この作り方に似ているのが、『モンスター』や『20世紀少年』での浦沢直樹さんだったりします。

     これ、又聞きで申し訳ないんですが、以前、島本和彦さんが浦沢直樹さんのマンガを分析したことがあるそうで、そこで以下のようなことを話されていたそうです。

     普通のマンガというのは、一つの話がだんだん盛り上がり、クライマックスを迎えるとクールダウンします。一度リセットされて、また次盛り上げていかなければならない。グラフで言うと、横軸を物語の進行、縦軸を盛り上がりと取ると、ちょうど富士山のような形になるわけです。二次曲線で盛り上がって、クライマックスからまた二次曲線で下がるわけです。

     このオーソドックスなやり方の欠点は、一度クールダウンしてまた新たに盛り上げなければいけないので、どうしても「下がる」ときが発生してしまいます。

     しかし、浦沢さんの話の組み立て方は違います。浦沢さんは、例えばA・B・C3つの話があるとすると、まずAを描き始めます。そして、ある程度の所まで来たら(便宜上、1から3くらいまで盛り上がってきたとします)、そこでいきなりAの話をぶつんと切っちゃいます。で、今度はBという話を始める。これがまた3くらいまで盛り上がってきたら、突然ぶった切って、今度はCを1から始める。で、Cが3くらいまで来たら、今度はAの話を2か2.5くらいから再び始めるわけです。
     こうやって3つの話を交互に繰り返しながら少しずつ進めていく中で、一つの大きな物語を浮き彫りにしていくわけです。

     このやり方の上手いところは、A・B・Cを回すことで、全てが盛り上がり続けており、クールダウンする瞬間がないのです。つまり、ずっと盛り上がっているように見せることができる。

     …と、ここまでが伝聞です(ちょっと私の整理も入ってるかもしれません)。

     京極堂シリーズの話も3つか4つくらいの話がコロコロ入れ替わりますよね。構造としては浦沢作品と同じなんだと思います。それこそ、複数の話を先に書いておいてそれらをそれぞれ4つのブロックに切り分け、A1・B1・C1・A2・B2・C2…と配列し直しているかのようです。
     このやり方って、また比喩的になりますが、デッサンの線を引くようなモノのだと思います。鉛筆の線を何本も重ねて描いていく中で輪郭を見せていくように、複数の短い線のような物語の断片を重ねることで、一つの大きな物語を見せていくわけです。

     だけど、このやり方には欠点もあります。どうしても反復が多くなってダレやすくなるのと、途中で何となくオチが見えてくるのです。
     正直に言いまして、本作くらいから京極堂シリーズの話は繰り返しがくどく感じられるようになってきました。同じ事を延々と読まされ、読んでいて「もうちょっと編集がハサミ入れてまとめろよ」と思うことがありました。
    (ちなみに、浦沢さんの『モンスター』や『20世紀少年』も途中からそういう印象を受けました。何というか、もったいつけられているというか、引き延ばしをされているみたいに感じちゃうんです)

     話としては面白いんですが、それ以上に冗長を感じるようになってきて、その冗長が構造と密接に関わってるのかな? と思った作品です。

     何だかオススメしにくくなっちゃいましたが、話は十分面白かったです。

  • やばいっ!!面白かった~
    「姑獲鳥の夏」から「魍魎の匣」「狂骨の夢」「鉄鼠の檻」と京極夏彦、「百鬼夜行シリーズ」を、順を追って読み進めてきた。
    毎回、驚きと感動と達成感の様なものを得てきたが、「絡新婦の理」でなぜか何かを落とされたような気持になった。そう、憑き物が落ちたという感じ。すっきりしたのだ。

    「あなたが・・・蜘蛛だったのですね」
    冒頭の、漆黒の男、京極堂こと中禅寺秋彦と桜色の女、絡新婦とのやりとりのシーンで既に胸が高鳴った。ドキドキというのかワクワクというのか、ゾクゾクというのか・・・
    そしてそれは、ラストまで裏切られることはなかった。
    全てを読み終えた直後、再度その冒頭のシーンを読み返した。
    満開の桜の木々のもとで繰り広げられる漆黒の男と桜色の女の言葉達は、艶やかな意味を持ち深く深く胸に響き渡る。

    昨夜読み終えたばかりなのに、すぐにもう一度読み返したい気持ちにもなる。。。

  •  個人的な百鬼夜行シリーズ再読キャンペーン5作目。
     初読時に度肝を抜かれた本作、再読でどういう感想を持つだろうと楽しみに読んで、やっぱり傑作であると改めて思った。「作品」として、日本エンタメ小説史上に残る一冊。文学賞を受賞していないのが不思議。鉄鼠の檻や狂骨の夢の読後感が霞んでしまったのは、間違いなくこの作品の影響だったのだろうなと。
     緻密に構成されたプロットと、十重二十重に張り巡らされた伏線、陰惨で「映える」凄惨な事件の数々、魅力的なキャラクター、フェミニズムと民俗学の高い次元での融合、エンタメ作品として極上すぎるほど極上と思う。
     一方で、「物語」としては、改めて読むとそこまででもないかもな、と思ったりも。「作品」としての壮大な仕掛けがあまりにも見事すぎるため、物語として肉付けされるべき構成要素が排除された感がある。たぶん、この1.5~2倍くらいの分量に膨らませることが出来るレベルのポテンシャルを秘めていると思う。あえて削ったのか、或いは単にしんどくなったのか。後者かなあ。
     次は塗仏の宴。これもあまり記憶にないので、ほぼ初読に近い感じで読める気がする。初出は絡新婦の理の2年後に出版されているから、当時は絡新婦の理から連続しての読書って感じでもなかったはずで、フレッシュに続けて読める今だからこそ感じる感想がある気がする。楽しみ。

  • 残り100頁、あと1時間で読めるなあ〜と予測するも、毎度ながらラスト怒涛の憑き物落としパートは頭の整理が追いつかない。結局夜更かしになる。面白いから途中で止められもしないし。
    特に今作は事件のピースが嵌まっていっても全体像が見えたような未だ霞んでいるような。「そうだったっけ?」でパラパラ読み返すことも多く(分厚いので該当部分を探すのも大変)、また過去作のキャラが名前だけ出てきたりするので気になって調べたり。ようやくゴールした読者は絶対に冒頭の桜吹雪の中に戻ると思うのでまた時間がかかる。褒めてる。

    うっすらとしか理解していないので何個か薄らとした疑問や「んな馬鹿な」と感じる部分もあるのだが、京極堂の言葉を聞いてると納得できてしまう。おそるべし拝み屋兼古本屋さん。そしておそるべし蜘蛛…
    今回は死人が沢山出ていた。織作姉妹、好きになってきたところでの退場、悲しい。

    関口くん出てこないのシリーズ初かな?と思っていたら、最後にひょっこり出てきたので和みました。美味しいところを持っていく小説家先生。
    鳥口は何しに京極宅へ来ていたのだろう。

  • 今回の百鬼夜行シリーズ、絡新婦の理は四人の美女を中心に据え、二つのストーリーが交錯する。
    前作までとの違いは、冒頭がエピローグとなっており読み終わった後に最初の冒頭を読み返さないと気が済まなくなる。
    いくつか考察しないと理解が難しい箇所もあり、その点もあいまって面白い作品となっている。
    ただし、読了後は悲しさも出る作品でもあり哀愁感を漂わせることは必至。
    尚、この作品を読んでシリーズ性を垣間見たが、今回は1作目もある程度リンクしてくる。内容を忘れないようにするのが難しい(笑)

  • 百鬼夜行シリーズ5作目。
    分厚かった~~~!2つの事件が少しずつリンクしていて、とにかくややこしい。そしてその上にさらに黒幕が…!となると完全に脳のキャパを超えました。ひとつひとつの事件は一応理解したつもりだけど、全体図を見るとこんがらがってきて、黒幕の犯行動機や仕組んだ筋書きと各事件とがどうリンクしてそうなったのか、という整理が自分の中でつけられず、ぐちゃぐちゃと複雑に絡み合った事件の表面をすいーっと撫でた程度しか理解が及ばなかった。これは要再読。京極読んだ後は毎回言ってるけど要再読。
    今回はいつにもまして前作までの事件の登場人物が複数絡んできて、碧を見てなんとなく魍魎のあの子のことを思い出してたら名前が出てきてちょっと嬉しかった。一通りノベルス版で読んだら今度は分冊で読んでみようかな。
    エピローグからプロローグに戻る部分の情景が美しくて印象的でした。

  • 再読だけど、読了日の登録がなかったので、
    新規で登録し直し。

    15年振りくらいの再読だが、とにかく面白い。
    辞書並みの分厚さだけど一気に読んでしまった。
    今回もキリスト教やユダヤ教、悪魔崇拝、
    心理学、性風俗に関する事柄など盛り沢山。
    読んでるはずなのに、再度勉強させてもらいました。

    これだけの錯綜した事件を破綻させることなく
    描ききっている作者の力量に改めて感嘆。
    蜘蛛こと織作茜に関しては、
    続く「塗仏の宴」でも描かれていたはずだけど、
    そこでもう少し掘り下げられてたかな?
    あまり間隔をあけないで、そちらも再読しましょう。

  • 今回は、最初の中禅寺と犯人のやり取りを、主要人物が出揃ったところで消去法で振り返ると、その時点で真犯人が分かってしまう。ただ犯人が分かっていても事件の真相は分からない。どんどん死んでいくし、憑き物落としの時には意外な事実が明らかになる。黒魔術、少女売春、慰安婦問題など女性に纏わる話題が多く取り上げられている。女の敵は女、という言葉を思い出すが、実行犯は意外な・・・。文句無しに面白いけど、長いです。

  • エピローグまで読んだ後、プロローグに戻ったとき・・・鳥肌が立ちました。忘れられない1冊です。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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