絡新婦の理 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (830ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061819320

感想・レビュー・書評

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  • 最後の最後まで謎に包まれ、ハラハラさせられた。

    これぞ、京極堂の真骨頂。

    しかし、茜の父親だけが最後までわからなかった……

    私の読解力が不足しているのかもしれない。

  • 京極堂シリーズの臨界点。
    これ以降残念ながらキャラクター小説になってしまうので、この小説でミステリとして書きたいことは全て出し切ってしまったのだと勝手に思っている。

    テーマと一致した物語構造に対するフェチがくすぐられる。幾つもの子蜘蛛を操る絡新婦は,事件自体をも蜘蛛の巣状に張り巡らせる。そういった事件の性質による当然の要請なのか,物語構造自体が蜘蛛の巣状になっているところがいいなあと思った。四角い建物でどうして放射状になるのかとは伊佐間の言だけれど、この小説もまるでレンガみたいに四角いのにその中身は正しく同心円状になっているのが面白い。
    今回だけはぜひ講談社ノベルスで読んで欲しいですね。

  • 数年ぶりにシリーズ最初から読んでいます。フェミニストやムラ社会。悪魔の儀式や日本の神話のような話まで。ストーリーもですが脱線に思える会話の全てが面白いです。
    以前に読んだ時よりも違う箇所が気になっていくのも、再読の楽しさですねー。

  • 目潰し魔、絞殺魔、2つの事件にかかわる登場人物たち。

    調べていくにつれ次々と事件の背景が明らかになるが、

    別の側面からは全く異なる人物と背景が見えてくる。

    さらに、2つの事件に関連性が見え犯人を追い詰めることができるが

    その犯人を裏で操る人物の影がちらつく。

    事件の糸を手繰るたびに真相に近づいているようにみえ、

    実は真犯人の思惑通りに動いてしまう中禅寺。

    糸の中心には蜘蛛の存在。ただしそこに捜査の手を伸ばすことができない。


    ------------------


    映画「メメント」のような結末から始まる冒頭に興味を惹かれ、

    読み終わったときにはまた冒頭を読み返して、そしてそのまま再読してしまいたくなる内容。

    とにかく内容が重厚で、途中のやりとりを飛ばしてしまいたくなることもあったが、

    最後の憑き物落としの語りでは怒涛の展開からすべての伏線を回収してくれる。

    男らしさ、女らしさ、

    今の時代でも抱えている性差の問題に対し、史実を参照しながら著者の想いが

  • 百鬼夜行シリーズ第5巻。

    読んでから間が空いてしまった為、少し内容が薄れてしまっているが、エンターテイメントとしての完成度はシリーズ随一か。
    本作では女性軽視の歴史に対してスポットライトが当てられており、基督教は男性の為の宗教であることが印象的だった。
    標題にあげられた絡新婦のまた制御不可能な故の緻密な完全無欠さに舌を巻いた。

  • 京極夏彦すげーの書いたなー
    こりゃ『姑獲鳥の夏』から読み返さなくっちゃだな
    5冊の中では一番好き
    寝不足注意
    毎晩寝落ちするまで読んじゃうから
    変な夢みる

  • もう一度、熟読しないと、なんて書いていいかわからない~。

    哀しい女性たちがたくさん出てきた。

  • 京極堂シリーズは、読み始めた以上はとにかくここまでは頑張って読んでくださいとおすすめしています。

  • 次の展開が気になりすぎて、気づけば朝……
    寝不足になりました。
    あと、本が重たくて腕が筋肉痛になりました。

  • 並行する連続殺人事件、迷走する警察、妖しい噂の蔓延る閉鎖的な学院、オカルト、女系の旧家...
    てんこ盛りな要素で登場人物と読者をさんざん混乱させた後、情報を整理し鮮やかに解体して見せることで事件を提示して見せる手並みはさすが。
    派手なミスリードで蜘蛛の正体を誤解させたまま、終章で静かに対決し幕を降ろすのも緩急があって素敵だなあ。

    メモ程度に。

    葵の述懐にもあったように、織作の四姉妹全員が自分の居場所を作ろうともがいていた。だからどこか痛々しさを感じてしまうのかな。
    美由紀の芯の強さと聡明さはとても好感が持てる。美由紀の人気を改めて確認。幸せになってほしい。
    京極堂がひどく感情的になっている場面が印象的。蜘蛛の仕掛けには逆らえないし、関わる以上は京極堂も駒となってしまう。
    禅の話に比べたら女権拡張とかキリスト教における悪魔の話のほうがわかりやすい。禅と比べたら(理解できる訳ではない)。
    目、視線というのは人が人を傷つけるときに最も忌避するものであるというから、そこをピンポイントでズブズブいく目潰し魔はやっぱり怖い。
    増岡や降旗の再登場、懐かしい名前への言及などは嬉しいよね。

著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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