絡新婦の理 (講談社ノベルス)

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  • 講談社
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レビュー : 276
  • Amazon.co.jp ・本 (830ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061819320

感想・レビュー・書評

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  • 目潰し魔を追う刑事・木場修、
    聖ベルナール女学院の生徒による集団売春疑惑の解明に巻き込まれる探偵・榎木津、
    織作家の憑き物落としに駆り出される陰陽師・京極堂。
    それぞれの事件は、絡み合う登場人物たちが各々の意思で起こしたものであるはずなのに、全ては蜘蛛の手の平で踊らされていただけだった、というか。

    毎回、京極堂の薀蓄というか憑き物落としは、
    宗教とか概念とかいまいちよくわからんものと、
    事件や人物の表とか裏とか、そういう全てを集約して収束してくれますが、
    今回はその京極堂の言葉をもってしても、
    自分には全てを納得することはできませんでした…

    真犯人やら理由なんかよりも、人の繋がりが複雑すぎて、
    前作の登場人物まで出てくるともうお手上げです。

    ただ、全てをわかっていないとは言え、
    このお話の気味悪さや緻密さと悲しさには脱帽。

    どんなに長くても面倒でも、
    シリーズを読めば読むだけキャラクターや世界観には引力があって、
    陰惨な事件と宗教や民俗学的な諸々を絡み合わせる技は圧巻ではないかと。

    とりあえず、シリーズを読み直して全部繋がったらとても気持ちがいいだろうなあと思いますが、きっとそれを実行する日は来ないだろうとも思います。

  • どんでん返しに次ぐどんでん返しを売りにした推理小説は多いだろうが、それを昇華しここまでの構成に仕上げた作品はまずないだろう。冒頭に結末を持ってくることでその構成の妙を放棄した意図は絞れないが、蜘蛛の正体が判った所でこの作品の面白さは損なわれない。

    女生徒の首を片手で掴んで持ち上げたり、飛び降りた女生徒を受け止めたり、女性の首を掴んで振り回したりと、実行犯に恐ろしく屈強な人が多いのも印象的。

  • プロローグとエピローグの情景があまりに美しいせいで、読み終わるたびにもう一度頭から読もうとしてしまう。

    どっちが上とか偉いとかを解体していく話。
    犯人は次々に割れるのに事件はわからない。
    筋を追っていく物語。つくづく気持ちよくだまされたい人向けのシリーズだ。

    狂骨の精神分析もそうだけど、フェミニズムやらジェンダーは舞台となっている時代と今で認識がずいぶん変わっている。
    登場人物は戦後の人で、読むのは今の人だから、すりあわせるのが難しい。
    だから蘊蓄係が京極堂じゃないんだろうな。
    それは違うだろうと思う部分が時代設定のために仕方がない部分なのかうっかりなのか微妙にわからない。

  • 「私の情夫だから」、これは男にとって女に言われる最上の言葉だが、大概の男は、一生に一度もこの台詞を聞くことは無い。何故なら、この台詞を吐き出す女こそ、性悪な女だからだ。そして性悪女の美しさを、大概の人は知らない。彼女達が、どれほど恠しい女なのか。この作品は、それを教えてくれる。――『絡新婦の理』には、主題はあるがメロディーはない。登場人物は、全てパートであり、それらが実に巧みにアンサンブルしている。百鬼夜行シリーズ第五弾。

  • シリーズの中で一番好きな話。書き出しの描写が印象的です。桜の季節に読みたい一冊。

  •  百鬼夜行シリーズを通して、最も好きな作品。
     構想も構成も描写も、見事の一言。

  • とにかく面白かった。
    超ボリュームなのにすらすらと読めた。

  • 百鬼夜行シリーズの中で一番あっさり読めました。

  • 短かった。
    800頁以上の本の感想にしては
    不自然だが、読んでいただければ解る。

    本作はいきなりラストシーンから始まる。
    もちろん犯人に関しては性別位しか判らない様
    出来ているが、さすがに一寸驚いた。

    そして、その後
    幾らかの同時進行する物語が描かれ
    それらは、交じり合いながら中心に向かう
    それはまるで蜘蛛の巣の様に。

    そして完読後は
    一寸も間を空けず
    冒頭に戻った。

    毎回内容は然ること乍、
    物語の構成に驚かされるのだが
    今回は文章構成自体が
    蜘蛛の巣を体現している。

    その秀逸さに◎

    追伸
    漸く関口君が出てきたと思えば
    物語は終わりです。
    其処が一寸残念ではある。

  • 百鬼夜行シリーズ5作目

    理に巣喰うは最強の敵――。
    京極堂、桜の森に佇(た)つ。

    当然、僕の動きも読み込まれているのだろうな――2つの事件は京極堂をしてかく言わしめた。
    房総の富豪、織作(おりさく)家創設の女学校に拠(よ)る美貌の堕天使と、血塗られた鑿(のみ)をふるう目潰し魔。連続殺人は八方に張り巡らせた蜘蛛の巣となって刑事・木場らを眩惑し、搦め捕る。中心に陣取るのは誰か?


    今までで一番読みやすくて面白かった!関口さんいない方がわかりやすいのかも。いつものメンバーに加え、織作家の女たちなど新たな登場人物たちもとても魅力的でした。
    呉美由紀がよかったなぁ。おじいちゃんの仁吉も。
    他にも今までに出てきた登場人物たちがちょこちょこ出てくるのも楽しい。
    思い出すのに時間かかる人もいたけど。
    フェミニズム、売買春と夜這、神話に見られる女系社会…すごく興味深い内容でした。

    「恐いのはお化けじゃねえ。悪漢でもねえ。人の心でもねえど。恐がんのはお前、自分だ。恐がってる者は、傍から見りゃ滑稽なだけだぞ。」

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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