ジョーカー: 旧約探偵神話 (講談社ノベルス セA- 2)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 340
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (778ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061819467

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ2作目。
    すごい長い。
    言葉遊びが連発する。
    混乱した。
    キャラクターも個性的で、好き嫌いがわかれると思う。
    ミステリと言って良いのか。

  • ☆をどう付けたら良いのか…。
    3つにしてみたけど、そういう次元で語るべきでない作品な気がします。

    若い。
    文章の美しさとか構成の緻密さとか、そういうことは打ち捨てて、とにかくアイデア勝負っていうのかな…降りてきたアイデアを零れ落ちないうちに書き留めておかないと!みたいな勢いを感じる作品だった。

    「清涼 in 流水」のアドバイス通りに先に『コズミック』上巻を読んだんだけど、『ジョーカー』は文庫版が見つからず、仕方なくノベルズで読みました。
    (大丈夫? 文庫化する際に加筆してないよね?)

    ミステリオタクが住む幻影城なる館に合宿に来た「関西本格の会」所属の作家のうち、2名が一夜のうちに他殺体で発見される。傍らには「芸術家(アーティスト)」を名乗る犯人(?)からの連続殺人予告状とも取れる紙片が…。
    たまたまJDCの探偵が同宿していたことで、JDCから第一班の探偵が派遣されるも、事件は連続殺人へと発展してゆく。
    「関西本格の会」メンバーの一人、濁暑院溜水はこの事件の記録者としての啓示を受け、「芸術家」のメッセージから取ったタイトル『華麗なる没落のために』の執筆を始める…。みたいな。

    なんていうか、アイデア最優先で体裁が整ってないというか、説明が行き当たりばったりだし、その割には無駄な描写が多いし、登場人物の過去が誰も彼も壮絶すぎるし、人物の個性が書けてないから誰が誰だか混乱するし、いろいろネタ詰め込み過ぎだし……言いたいことは沢山あれど、「小説」の枠組みから逸脱した、いや、枠を壊しにかかった作品なのだろうと思う。
    「小説じゃありません大説です」と言いたい気持ちは伝わった。

    でも、古いと言われようがやっぱり小説に文章の美しさとか洗練された構成とかを求めてる自分は、イマイチ集中して読めなかったかな。
    文章を味わう系じゃないと気づいた時点で、ちょっと流し読みっぽくなっちゃった。

    JDCの面々の個性も曖昧で、世間の(一部の)嵌った人たちのように世界観を共有出来なかった。
    探偵達の能力が優れてる優れてるってしょっちゅう書かれてるけど、螽斯にも霧華舞依にも九十九音夢にも正直あまり凄さを感じなかったし。

    それだけに、龍宮城之介のキャラと推理力が際立って見えてちょっと心を摑まれた(笑)。

    ネタ元が四大ミステリとかミステリの古典的作品だったりしたので、読んでない書名が出てくるたびにネタバレしてないか不安になった。
    多分コアなミステリファンには受けるネタばかりなんだろうけど(多分諸々の固有名詞がオマージュになってる)、そこもちょっと内輪で楽しんでて一般読者に向けてない印象を受けた。
    言葉遊び的な推理も、それが解けたからなんなの?的なモノが多くて、何だかな。
    とどのつまりは詰め込み過ぎなんだと思う、やっぱり。

    九十九十九がやってきてやっと幾分ミステリらしくなった。一応納得行く謎解きだったし。
    だから犯人は魅山薫でいいと思う。誰でもいいなら。
    魅山で納得したのに、本当の実行犯は小杉少年って言われたらせっかく合った辻褄がまたズレちゃうじゃないですか。虹川の偽装告白文とか、魅山の偽遺書とか…。
    挙げ句に誰でも良いなんて言われちゃった暁にはどうしたらいいんだ。

    十九は振る舞いがスマートで好感が持てる。美しいって設定はあまり伝わらなかったけど。

    甲冑の密室が解明されないままなのは斬新だった。そのほかの拾われなかったままのいくつかの伏線も気になったし、殺人の不明点も放置されたものあるし、「伏線回収されてスッキリ♪」ってところを目指してないのだろう。

    冒頭から「最後の一行」が強調されてるけど、どれが最後の一行なんだろ(笑)。「読了」かな。
    自分の中ではスッキリ落ちなかったんだよな…、多分作者の意図が分かってない。
    (やっぱり文庫で読むべきだったかもしれない)


    キャラ小説として見たとして、自分が若い頃に読んでればもっと嵌っただろうか…。
    京極夏彦を知る前だったら…(笑)。


    (以下、『コズミック』読了後の追記)
    作者の希望通り『コズミック』読む前に『ジョーカー』読んで良かったわ(ネタバレ的に)、くらいの感想しかなくて、自分が明らかに理解してないと思ったので、解説サイト読みました。
    えーこっちもみんな密室教なの?? だから犯人は誰でもいいの??
    その前提で読み直すといいのかもしれないけど、もう一度読む気力がありません(笑)。
    それより、最後の「読了」が改めて気になってきた。『コズミック』ほど整理されてないから作中作の範疇が分からないんだよな…。
    『ジョーカー』で作者がやりたかったことがよく分かってない、ってことは分かりました。

  • 読みやすいからか、分厚くともあっというまに読める。次回作も期待。

  • コズミックの壮大感に比べると、物足りないような気もしたけど、真相が気になって一気に読めた。たくさん探偵が出てくるのですが、九十九十九は神がかってますね。彼が出てくると安心します。
    JDCシリーズはまだあるようなのですが、んー、お腹いっぱいなので、しばらくはいいかなと思います。

  • 前作よりこっちの方が良かったです。
    読了まで長かったです。
    探偵小説マニア、知識のオンパレードです。
    読んでいてこっちが恥ずかしいくらいでした。


    改訂版、再販とか表現見直し、言葉の見直しをして、小説の完成度を上げたらいいと思っています。
    生意気ですみません。

  • 多分前作のほうがまだよいです。
    これだけ壮大な構成をしておいても
    おそらく構成と真相関係前作と似たり寄ったりだから
    幻滅してくるのよね。

    真相の壮大さは買うわよ。
    だけれどもコンパクトにしておくれよ…

  • ミステリーのモチーフ要素や作者のミステリーを好きな気持ちを混ぜ合わせてミステリーの新たな型を作ろうとした…ような?

  • JDCシリーズ2作目。魅力的なキャラが盛りだくさん!ずっと読んでいたく、1ページ1ページを大切に読んだことを忘れません!

  • 漫画版から入ったので、こんなに違うとはびっくりした。

  •  京都府某所に建てられた巨大な旅館・幻影城。ここには毎年春と秋に、関西在住の作家たちとその家族が合宿をしに訪れる。
     彼らとは別に幻影城を訪れた、旅館の主人から「キリギリスさん」と呼ばれる初老の客や、二人の参加者によるトリックの盗作を巡る喧嘩など、所々で不穏なものが感じられるその晩、参加者の一人が、「推理小説を構成する要素を全て盛り込んだ物語」の執筆宣言をした。しかも、舞台はここ幻影城、登場人物は幻影城内にいる全ての人間だという。
     途方もない挑戦に傑作誕生の期待が高まる参加者の面々。その翌日、第一の被害者が異常な状況下で発見され――。

     連続して起こる不可解な謎と殺人。入り乱れる登場人物。そして、逆転に次ぐ逆転を繰り返して読者を翻弄する登場人物たちの推理。

     果たして、登場人物の誰が全ての真相を暴き、事件を解決に導くのか。犯人、【芸術家/アーティスト】の目的と正体は。

     これは、推理小説を愛する人に作者が送った、――挑発状だ。

    ------------------------------------------------------------------------

     挑発状。この一言に尽きると思う。

     推理小説好きにはたまらない構成と展開。だがその結末は、推理小説好きには受け入れ難いものになったはずだ。

     推理小説を構成する要素を全て盛り込んだ物語は、果たして推理小説と呼べるのか。

     この矛盾を内包した物語。推理小説好きなら、一度は読んでみてはいかがだろうか。

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著者プロフィール

一九九六年、『コズミック』で第二回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。以後、小説だけでなく、ビジネス書、ノンフィクション、英語学習指南書など著作多数。小説執筆の息抜きとして始めた英語学習にハマり、独自のメソッドでTOEIC(現TOEIC L&R)テスト満点を五回達成。二〇〇九年から二〇一七年まで主宰していた「社会人英語部」では、のべ六五人の部員をTOEICスコア平均九〇〇点台にまで導く。日本人作家の小説を英訳して世界中の電子書店で販売しており、著者、英訳者、編集者として手がけた英語作品は一〇〇を超える。作家としての近著に『感涙ストーリーで一気に覚える英単語3000』(明日香出版社)、『きみと行く 満天の星の彼方へ』(リチェンジ)などがある。

「2020年 『三日坊主でも英語は伸びる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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