仮面舞踏会―伊集院大介の帰還 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 41
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061819559

感想・レビュー・書評

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  • これが90年代半ばに書かれた小説だと考えると、非常に意欲的な作品だと思います。私なんか、その頃は親のお下がりのワープロで一生懸命タイピングの練習してたもん(笑)。

    ネットで知り合った人間達が、現実社会で出会った時に事件が起こって…という、今となっては使い古された感のある設定ですが、リアルタイムで読んだ方にはとても斬新な形式の小説だったのではないでしょうか。
    特に、今作では最後まで探偵が容疑者達と現実に直接対峙しない、という今でも少し珍しい体裁を取っています。これは、当時は凄く奇異な物に見えたかもしれないな~。

    ネット社会に対する無邪気な信頼感や期待感、今では使われていない用語(パソコン通信…?)が出て来て、ネットが一般家庭に普及し始めた黎明期を想起させます。
    初めてYahooのトップページを開いた時の衝撃は私も忘れません…立ち上がるのに5分くらいかかったんですよ…それでも、パソコンの前でワクワクしながら待ってたんですよ…それが今やどうですか…技術の進歩ってスゴイネー!

    で、肝心要のミステリーの方ですが。
    「姫」と呼ばれたネットのアイドルと思しき人物が現実で殺される、という非常にショッキングな内容ですが、この辺りは探偵サイドに「被害者≠姫」というアドバンテージが事前情報として与えられています。可哀想な姫のファン達だけが、「あの化け物じみた女が姫で、しかも殺された!」という何とも可哀想な憂き目にあった上に、容疑者扱いを受けるという(笑)。この「実際はまるで化け物」という意見と、実際に被害者を知る探偵サイドの知識の間で齟齬が生じ、そこが推理展開の取っ掛かりになるわけですが、チャットの会話でこのやり取りが全て行われるわけです。うーん、すごい。
    下ネタ大好きインテリ男や説教くさい大学講師、ネットで知り合った男に悉くストーカーされる女性、様々な人物がネット上で言葉を投げ合い、最後にはもちろん名探偵・伊集院大介が登場。謎解きもチャットルームでこなしてしまいます。しかもタイプは代理起用(笑)。これぞワトソンの本領発揮、という感じの助手が大活躍な最終章でした(*^o^*)


    チャットルームでアイドルのように持て囃されていた「姫」が初めてのオフ会に顔を出すことになり、彼女の熱狂的なファン達は大喜び。
    ところが、約束の当日、待ち合わせ場所で一人の女子大生が何者かに惨殺される事件が発生した!
    彼女が「姫」なのか、それとも…?
    「姫」の正体を知る「ぼく」は、憧れの名探偵・伊集院大介に倣って調査を始めたが…。

  • 再読。1995年、インターネットはまだ普及しておらず、パソコン通信と呼ばれていた時代の話。
    みんなのアイドル「姫」、彼女が初めてオフ会に現れるという日、約束の場所で殺人事件が発生した。
    ネットの世界やチャットなどの説明が詳しくされており、ネット世界の特殊性を題材にしている。タイトルの仮面舞踏会とはハンドルネームをつけて仮面をかぶり、仮想空間で狂態を演じているというところから。

    栗本薫さんって、こんなに冗漫だったのかと改めて認識。面白いのだが、説明や会話が長すぎる。
    あと、この解決方法って、人道的によろしくない気がするが・・・。

  • 再読。やっぱり面白かったな~。ラストの畳みかけるような犯人あぶりだしや、松田さんのキャラ、わくわく感がある。ノベルズ版を再購入しましたが何故か文庫版のが読みやすかった様に思います。段組のせいかな?

  • 面白かったッッ!!マジ最高ww伊集院さんイイですねー☆はまりました笑

  • 栗本薫ファンなら誰もが知ってるでしょう!
    ご存知 伊集院大介のお話。
    まだインターネットが今ほど普及していなかったころ、パソコン通信と呼ばれるネット社会があった。
    その中で生まれたアイドル姫。
    彼女が現れるという日、約束の場所で殺人事件が発生。
    この事件をおいかけていくのが
    伊集院大介&滝沢稔!
    現代のネット犯罪を予言したかのような内容です。
    伊集院さんのあいかわらずぶりと稔君の成長ぶりがなかなか!

  • まだネット世界を知らない頃に読んだのですが、えー・・・。って感じでした。

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著者プロフィール

東京都生まれ。早大卒。江戸川乱歩賞、吉川英治文学新人賞受賞。中島梓の筆名で群像新人賞受賞。『魔界水滸伝』『グイン・サーガ』等著書多数。ミュージカルの脚本・演出等、各方面でも活躍。

「2019年 『キャバレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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